初夢の再現。
富士山頂にて、ラジオの公開録音の本番中。
女友達を飲みに誘う僕。
僕『今日、このあと飲みにいかない？』
友『いいですね。どこ行きます？』
僕『本場のビールを飲みにドイツまで』
友『いやいや、国内で充分でしょ。日本の食べ物がいちばんおいしいって言うじゃないですか？』
僕『日本のおいしい食べ物って言うと、こないだメキシコへ行ったんですけど・・・』
友『完全に国内を飛び出してますけど、まあ、聞きましょう。私、他人の話の腰を折るの嫌いですから』
僕『１泊３日の強行スケジュールでした！』
友『それはそれは大変でしたね。で？』
手にとまった鷹を撫でる僕。
僕『・・・(笑顔)』
友『食べ物は？』
僕『あ、お構い無く。満腹なので、僕も鷹も』
友『今の話じゃないよ！メキシコに行った時の話！それに鷹のメシまで面倒見きれるか！』
僕『・・・何？不満？』
友『不満！』
僕『じゃあ、３６５泊３６６日って言えば良かった？』
友『スケジュールに不満はないよ！だいたい何だ、３６５泊３６６日って？移民？それとも、原住民？』
僕『江沢民』
友『それは中国の国家主席！随分とまたピンポイントな民になったもんだね！はい、もうこの話はおしまい！(嘆息)最初に腰を折っておけば良かった。お客さん、下らない話に付き合わせてごめんなさいね』
僕『そうだ！至らなかった君が悪い。だから謝れ！』
友『うるさいよ！』
ここで名もなき競争馬が一頭、ステージと客席の間を駆け抜けて行った。
言うまでもなく、スタッフ数人が馬に踏まれた。
僕『そう言えば、君のところの息子さん、大きくなったよね～。』
友『私、子供なんていませんよ』
僕『君は段取りをメチャクチャにする気か！？(激怒)』
友『段取りなんて最初からないでしょうが？これ、別に漫才じゃないし、ラジオの公録だし』
僕『カッコつけてんじゃないよ！“人生は筋書きのないドラマ”だ？そう言いながら死んでいったやつを僕は何人も知っている！』
友『・・・』
客席から沸き起こる大ブーイング。
『帰れ！』『ふざけるな！』『ワンワンワンワン！』
ステージには大量の麻婆茄子が投げ込まれた、いや、注ぎ込まれた。
友『わかったよ！乗りますよ！・・・なんでこんなにアウェイなんだ？私の公録なのに・・・だいたい、ふざけてるのは私じゃないし、どうして犬がいるのかわからん(小声)あ～もう、麻婆が袖に付いちゃった！』
麻婆茄子で足を滑らせないように慎重に客席に近づき、客に千円札を、犬にペディグリーチャムを支給する僕。
友『買収するな！』
僕『はい、気を取り直して、続き続き！』
友『何だかな～？・・・えっと、私の息子の話でしたっけ？』
僕『そうそう、君のところのバカでモテなくて、朝ひげを剃っても夕方にはうっすらと青くなって目立つ息子』
友『やめて！架空とはいえ、あんまりだ！』
僕『・・・そんなだけど、とっても優しい子なんだよね』
友『あっ、ちゃんとフォローがあったんだ。最後まで聞かないで怒ってしまって、ごめんなさい！』
僕『気にするな。いつもの口座に５万振り込んでおけよ』
友『今月苦しいから、せめて３万に負けてください』
僕『うむ、了承。さて、君の息子は大きくなったよね』
友『じゃあ、勝手に設定しますね。え～、・・・小学３年生になりましたよ、うちの子供は』
僕『違う違う。高校３年の方ですよ』
友『ちょっと待って！私は２７ですよ。いったいいつ産んだ子ですか！？』
僕『何言ってるの？再婚相手の連れ子がいるでしょうが！』
友『再婚？連れ子？そんな複雑な人生設定にしなくても』
僕『君、まさか！』
友『何？』
僕『連れ子をいじめて・・・』
友『いじめてない！今日だって、会場に来てますよ。』
僕『へぇ～、どこどこ？』
友『いや、素人なんだから、あんまりいじらないで下さい。』
僕『そうだよね。タカシくんの話はこれでおしまいにしましょう』
友『名前言うな！私の息子だってバレたら、それこそ学校とかでいじめられるじゃないですか！』
僕『連れ子だしね』
友『いい加減にしろ！連れ子とその母をなめんなよ！』
僕『まぁ、架空の話なんだから熱くならないで』
友『お前が熱くさせたんだろうが！ついでに架空の話を始めたのもお前！みなさん、私は息子どころか、結婚相手すらまだいないんです！』
客席、大爆笑。
その中にひとり、酸欠気味で苦しそうなおじいちゃんがいる。なんせ富士山頂だから。
友『どこで笑ってるんですか！？独身がそんなにおかしいか？』
僕『・・・ところでさ』
友『もう、何？』
僕『このあと飲みに行く話だけど』
友『どうしたの？何か予定でも思い出しましたか？』
僕『ええ、思い出しました。僕、未成年でした』
友『やめさせてもらうわ』
僕『みんな、気をつけて下山してね！』
こんな初夢・・・を作りました。
本当の初夢は覚えていません。
