みゆきナマケモノ日記

気の向くまま徒然なるままの日記です。現在地=横浜🇯🇵

先住民村見学

2015-10-08 22:18:06 | 未選択

<10月8日の日記>

先住民授業の〆に社会見学に行きました。学校のバスに乗って1時間半、山の方にあるSan Francisco Tlanepantlaという村のDoña AngelとDon Gavino夫妻を訪ねました。

家族は昼食を用意して迎えてくれました。

↑肉団子スープ。

↑豆スープ。

↑トマト味のご飯&チチャロン(豚の皮を揚げたもの)スープ。

お腹が空いていた&おいしくて、おかわり×2。自己紹介もする前にごちそうになってしまいました。

食事の後は村のことや夫妻のこれまでの人生についてお話を聞かせてくださいました。話が始まるまでは二人のことを村の普通のおばあちゃんとおじいちゃんと思っていたら、とんでもなくすごい人だということが後でわかりました。

まずは、村の生活について、過去と現在の産業や収入源、一般的な村の生活について話してくれました。

次に、特に大切にしているお祭り等の行事について話してくれました。とにかく「神」とのつながりが強い地域なので、教会を中心に宗教に関連するお祭りをとても大切にしているようでした。教会の行事の中で最大のものが10月4日にあって、それをオーガナイズする一生に1回回ってくるかこないかの大切なFiscalという役回りがあるらしく、それが回ってきた年は何をおいてもそのことを優先して過ごすとのことでした。村の人からお金を集めたり、当日のイベントを企画したりと何かと大変そうでした。また、近隣の村(共同体)の同様のお祭りにも参加したり、自分の村のお祭りには各村の代表者(Fiscal+α)を招待しておもてなしをしなければならないとのことでした。

かの有名な「死者の日」(11月1日・2日)の過ごし方についても教えてくれました。メキシコの死者の日は日本のお盆にあたるもので、11月1日は子どもの魂を、11月2日には大人の魂を迎えて過ごします。豪華な料理を用意して家を訪問し合ったり、オフレンダという飾りを作ったり、して過ごすそうです。そして死者の日の花は何といってもマリーゴールドで、メキシコ中が黄色・オレンジの花でいっぱいになります。時期的にもハロウィーンのように聞こえるかもしれないけれど、(ルーツは同じかもしれないけれど)全く別物で、メキシコでハロウィーンをしようとしたら「おまえアメリカにかぶれやがって!」みたいな空気になります。

そしてここからの話を聞いて、先生がわたしたちをなぜこの夫妻のところへ連れてきてくれたのかがわかりました。

先生が「Lucha(闘い)について話してください」と言った途端、Don Gavinoが涙ぐみました。

かつてメキシコ政府がこの地域のバス代を一気に75センターボから3ペソ(4倍)に上げようとしたとき、当時現金収入が今よりなかった村の人々にとっては大きな衝撃となりました。交渉に応じてもらうことができず、そのことに対する反対運動は近隣の村を巻き込んで大きなものとなったそうです。その中心人物となったのがDon Gavinoでした。1年以上にわたって教会の前に集まってデモを続け、政府側との激しいぶつかり合いの末、2人の仲間が亡くなったそうです。村々が一丸となって交渉を続けたおかげで値段はかつてのままに決まったそうです。

次にDoña Angelaが語ってくれたことも壮絶でした。

Doña Angelaは日本以上に男性中心社会であるメキシコの、しかも先住民村の出身でありながら、村の土地を守るために選挙に出て主張を続けた勇気ある女性でした。サパティスタの活動家でもあり、政府から目をつけられて5年間家族からも離れて身を隠して生活しなければならなかったそうです。当時の活動や生活について詳細に語ってくれました。

先生があえて「どうしてこの土地を守ろうとするのですか」と尋ねたら、「自分の孫たちに自由を与えるためだ」と答えていました。インディヘナ(先住民)の血、人、ルーツに誇りをもっているから、と力強く語ってくれました。

彼らはもう彼らの民族の言葉であるナワトル語はもう話さないそうです。75歳と78歳の夫妻でさえすでに話さないし、数年前に亡くなったDon Gavinoのお母さんが自分たちの家族では最後のナワトル語話者だったとのことでした。それでも、今でも自分たちがナワトル族であることを誇りに思いながら生きていると話してくれました。

多文化共生って何だろう。これまでの長い歴史でも起こってきたように、現存する文化が自然淘汰されていくことは悪いことではないのかもしれないけど、それが多数派による経済的な理由だけでの強引な誘導によるものだったら何か違うと思うし、この前も書いたけど、今ある文化を保存することが多文化共生の答えではないと思うし。ちょっとずつちょっとずつ考えてみたいと思っています。

今日聞いた話をわたしじゃなくてこの村の子どもたちはちゃんと知っているかな、知っていてほしいな、と少し心配になりました。全国統一の教科書では学べない自分たちの地域を学ぶような機会がちゃんとあるのかな。日本の総合的な学習の時間や社会の地域学習の素晴らしさを改めて感じています。

↑家の外観はこんな感じ。水がくるのは2日に1度午前中3時間のみ。

↑トイレの水も自分ですくって流します。

↑裏庭。

↑裏庭には馬、ニワトリ、七面鳥、謎の鳥、etc.

↑この凄まじい女王感!何鳥?圧倒されました。

↑なついてきた子猫ちゃん&小犬ちゃん。

この授業とってよかったー。大学院でしたいこととつながっているので、本当に勉強になりました。

コメント
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