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季節を忘れずに咲く花、大きくなる木、きまぐれ猫、その他もろもろ日々の綴りです。

帰ってきたかい人21面相

2011年06月05日 | 読 書

5月に読んだ読書会の本

実際にあった、「グリコ・森永事件」は未解決のままになっているそうですが、その時の犯人が復活して、経団連の会長を誘拐し、3兆円を身代金に取り、派遣切りにあった人や、年収2百万円以下の貧しい人達に“定額給付金?”を配るという義賊のお話です。

住宅情報誌の記者→バブル崩壊後解雇→タクシー運転手→事故→酒癖悪く妻に暴力・離婚→年越しの炊き出しの列に並ぶ・・。と身を落としていった久保寺圭一は、残飯あさりや生活保護を受ける勇気もなく、ましてや自殺もできないままでいる日々の中、ボランティアの就職相談員(実は首謀者)から、高額(5千万)な仕事の依頼をされる。同じような境遇の仲間5人は、コンピューターの達人、メーキャップのプロ、手先が器用、会長に恨みを持つ等、それぞれが秀でているが人生に事情のある者ばかり。

どう解釈しても現トヨタの社長(政財界との癒着)のことを言っていると思えたり、国民感情無視の前々首相のA(マンガしか読まない人と書いてあった)を皮肉っていたりとか、今起こっている日本の社会を風刺した内容でした。

5人は各自が秀でた腕を発揮し、経団連会長の誘拐は振り込め詐欺の手口を利用しうまくいき、警察の包囲網を潜り抜け、怪人21面相はまたも義賊としての仕事をやりぬく。極貧5人には約束通り5千万づつが配られ、首謀者・熊田虎雄は世界一幸せな国と言われるブータンへ逃亡する。この最後の部分がなんとなく気抜けしますが、面白かったので一気に読み終えました。



題名 : 帰って来たかいじん21面相
作者 : 小笠原和彦

 

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