長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

366. 『ライヴ・プリンティング① 銅版画を刷る』

2019-04-26 17:55:01 | イベント・ワークショップ
今月12日から千葉県市川市の公共美術館、芳澤ガーデンギャラリーで始まった個展『長島充 - 現実と幻想の狭間で - 』も折り返しの中間地点を過ぎた。ありがたいことにほとんどの新聞に掲載され、ローカルテレビなどにも取り上げられたこともあり連日多くの来館者で賑わっている。

先週20日(土)に展覧会の関連イベントとして『ライヴ・プリンティング① 銅版画を刷る』というタイトルで自ら制作した銅版画の摺りの実演を行ってきた。僕はこの日イベント会場の準備もあり午前中から在館していたのだが、個展会場には週末ということもありすでに多くの来場者がいらしていた。中には遠方から来館いただいた旧知の友人もあり、嬉しい再会となった。

イベントはお昼休みを挟んで13時開場、15時までの間に人の流れを観ながら2回ほど行う予定となっていた。『ライヴ・プリンティング』という言葉は僕が作った造語である。音楽のコンサート会場のステージなどで行う『ライヴ・ペインティング(ステージ背後に貼られたシートなどにアーティストが絵の具を用いてアドリブで絵を描くイベント)』に対して、版画なので刷る=プリンティングということで名付けたというわけである。過去のブログにも投稿したが今回が初めてというわけではない。

工房から持ち込んだ小型の「卓上エッチング・プレス機」の周囲には13時前から見学希望者が集まってきている。今日の僕の頼りになる相棒はこの小さなプレス機ということになる。
刷りに使用した版は連作版画「日本の野鳥」の中の「森の入り口」という作品。北海道に生息するフクロウの亜種、エゾフクロウをエッチング技法で制作したA4サイズぐらいの銅版画作品である。

イベントはいつものように自己紹介からスタートし、一般の人たちにはあまりなじみのない西洋銅版画技法の歴史、技法、エピソードなどをジョークも交えて解説してから実際に版にインクを詰め、さまざまな種類の布の端切れでふき取り、数日前から水で湿してあったビニール袋の中のドイツ製の銅版画用紙を取り出してプレス機で刷り上げていくまでのプロセスを、これも解説付きで行った。毎回反応がどうか気になっているのだが、みなさん銅版画を刷り上げて、紙をめくって見せると「おぉ~ッ!!」という歓声がいくつも上がりとても喜んでいただいたので、ほっと一息である。終了後質問の時間を作るのだが、美術館を訪れるという人たちは版画制作の経験者などもけっこういらして質問も専門的に突っ込んだ内容が多かった。

1回目の実演が終了するとこちらも少しゆとりが出てきて、その後も人の流れを観察しつつ合計3回、6枚の『ライヴ・プリンティング』を行った。今回、この企画に理解をいただいた美術館関係者の方々、会場設営などを手伝っていただいたボランティアスタッフの方々、そして参加していただいた多くの来館者の方々、ありがとうございました。この場をお借りして感謝申し上げます。

展覧会は大型連休最終日の5/6(月・振)まで。なお、会期中5/4(土・祝)に同美術館で午後13時から『ライヴ・プリンティング② 木口木版画を摺る』というタイトルのイベントを行います。ブロガーの皆様、美術ファン、版画ファンの皆様、この機会に是非ご参加ください。

詳細は芳澤ガーデンギャラリーのホームページ:http://www.tekona.net/yoshizawa/ で、ご確認ください。


画像はトップがライヴ・プリンティングのようす。下が同じくライブ・プリンティングのようすと個展会場風景



            





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