前回の投稿内容である個展終了の御知らせと時系列が逆になってしまった。
4/12~5/6まで開催された千葉県市川市の公立美術館、芳澤ガーデンギャラリーでの個展『長島充 - 現実と幻想の狭間で - 』の会期中、5/4(土)に関連イベントとして『ライヴ・プリンティング② 木口木版画を摺る』というタイトルで版画の解説トークと摺りの実演を行った。前回、4/20(土)に好評のうちに行った『ライヴ・プリンティング① 銅版画を刷る』の姉妹編とも呼べる内容である。
このようなワークショップ的とも言える版画の摺りの実演を美術館や公共施設で行うようになったのは15年以上前からだと思う。イベントの機会をいただき度に行ってきた。
何故、このようなことを続けているかというと我々、版画の制作者というのは個展などの会場で常に来場者から技法についての説明を強いられる。例えば「銅版画というのはどのように彫って、刷っているのですか?」「木口木版画って、普通の木版画とどこが違うんですか?」等と言う内容である。
版画の中でも板目木版画は日本人には「浮世絵」や「年賀状」のイメージが強くその技法内容も一般の人たちには想像しやすい。それに対して西洋から輸入された版画である銅版画や木口木版画、リトグラフ、シルクスクリーン等の版画技法は一般の人たちにはほとんど知られていないと言っても過言ではないだろう。
なので、版画の展覧会場では版画家は技法の質問に対しての説明にかなりの時間を割かなければならない。絵の内容は二の次ということも多いのである。
このことは、版画家、版画商、版画関係者がその普及を怠ってきたということもあるのではないだろうか。そこで甚だ微々たる歩みではあるが私個人としても、より多くの人たちに版画芸術の魅力を理解していただこうとこうした実演活動を続けているのである。勝手に「版画辻説法」と名付けている。
今回のイベントも前回同様に美術館のロビーで13:00からスタートしたのだが、参加希望者の方々はすでに12時頃から集まって来ていた。前回の銅版画もたいへん好評をいただいたのだが今回も第一回目は70名程の参加者が集まった。
初めに解説トークとして木口木版画の西洋での歴史と技法、代表的な作品のコピーなどを説明と合わせて観ていただく。「版画紙芝居」である。それから版木の材質や彫りと摺りの道具の説明を実物を見ていただきながら行う。そして15年前に偶然知り合った、昭和30年代まで木口木版画の職業彫り師として活動していたF氏から譲り受けた「小刀(こがたな)」と呼ばれる彫刻刀や実際に広告のイラストレーションとして使用された版木などを紹介した後、実際に摺って見せる。その後、自分が制作した木口木版画の「野鳥版画」や「蔵書票版画」を摺って見せた。
1回のトーク&実演が40-50分だったろうか。30分の休憩をはさみ2回目も同じ内容で行った。この時は20名から30名の参加者だった。前回の銅版画の実演と合わせトータルで約200名近くの方々が参加されたことになる。まだまだ微々たる歩みではあるが少しでも版画の魅力を感じてもらうきっかけができれば幸いである。
今後も機会があれば、可能な限り「版画辻説法」を続けて行きたいと思っている。今回、僕の提案に賛同していただいた美術館関係者の方々、会場設営をしていただいたボランティアスタッフの方々、そして熱心な参加者の方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。
画像は高校のクラブの後輩でカメラの腕がプロなみのUGA氏に撮影していただいたカットから使用させていただいた。
4/12~5/6まで開催された千葉県市川市の公立美術館、芳澤ガーデンギャラリーでの個展『長島充 - 現実と幻想の狭間で - 』の会期中、5/4(土)に関連イベントとして『ライヴ・プリンティング② 木口木版画を摺る』というタイトルで版画の解説トークと摺りの実演を行った。前回、4/20(土)に好評のうちに行った『ライヴ・プリンティング① 銅版画を刷る』の姉妹編とも呼べる内容である。
このようなワークショップ的とも言える版画の摺りの実演を美術館や公共施設で行うようになったのは15年以上前からだと思う。イベントの機会をいただき度に行ってきた。
何故、このようなことを続けているかというと我々、版画の制作者というのは個展などの会場で常に来場者から技法についての説明を強いられる。例えば「銅版画というのはどのように彫って、刷っているのですか?」「木口木版画って、普通の木版画とどこが違うんですか?」等と言う内容である。
版画の中でも板目木版画は日本人には「浮世絵」や「年賀状」のイメージが強くその技法内容も一般の人たちには想像しやすい。それに対して西洋から輸入された版画である銅版画や木口木版画、リトグラフ、シルクスクリーン等の版画技法は一般の人たちにはほとんど知られていないと言っても過言ではないだろう。
なので、版画の展覧会場では版画家は技法の質問に対しての説明にかなりの時間を割かなければならない。絵の内容は二の次ということも多いのである。
このことは、版画家、版画商、版画関係者がその普及を怠ってきたということもあるのではないだろうか。そこで甚だ微々たる歩みではあるが私個人としても、より多くの人たちに版画芸術の魅力を理解していただこうとこうした実演活動を続けているのである。勝手に「版画辻説法」と名付けている。
今回のイベントも前回同様に美術館のロビーで13:00からスタートしたのだが、参加希望者の方々はすでに12時頃から集まって来ていた。前回の銅版画もたいへん好評をいただいたのだが今回も第一回目は70名程の参加者が集まった。
初めに解説トークとして木口木版画の西洋での歴史と技法、代表的な作品のコピーなどを説明と合わせて観ていただく。「版画紙芝居」である。それから版木の材質や彫りと摺りの道具の説明を実物を見ていただきながら行う。そして15年前に偶然知り合った、昭和30年代まで木口木版画の職業彫り師として活動していたF氏から譲り受けた「小刀(こがたな)」と呼ばれる彫刻刀や実際に広告のイラストレーションとして使用された版木などを紹介した後、実際に摺って見せる。その後、自分が制作した木口木版画の「野鳥版画」や「蔵書票版画」を摺って見せた。
1回のトーク&実演が40-50分だったろうか。30分の休憩をはさみ2回目も同じ内容で行った。この時は20名から30名の参加者だった。前回の銅版画の実演と合わせトータルで約200名近くの方々が参加されたことになる。まだまだ微々たる歩みではあるが少しでも版画の魅力を感じてもらうきっかけができれば幸いである。
今後も機会があれば、可能な限り「版画辻説法」を続けて行きたいと思っている。今回、僕の提案に賛同していただいた美術館関係者の方々、会場設営をしていただいたボランティアスタッフの方々、そして熱心な参加者の方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。
画像は高校のクラブの後輩でカメラの腕がプロなみのUGA氏に撮影していただいたカットから使用させていただいた。