milkyway‥☆‥☆∵☆∵

心に通り過ぎるたくさんの思い
あなたにも どうか、届きますように…

ピーマンと けんたろう

2005-07-06 21:30:08 | 子ども
夕方、学童から帰ってきた けんたろう。
いつもの元気が ありません。
「どうしたの?何かあったの?」
聞いてみると、帰り道で ころんで怪我をしたようす。
「そう。ころんじゃったの?痛かったね。大丈夫?」安心したのか甘えたくなったのか、ポロリと涙がこぼれます。
でも、傷の方は、一緒に帰ってきたお母さんにテープを貼ってもらったので、もう大丈夫。

その時になって、私は初めて
けんたろうが、ハンカチを ずっと握りしめていることに気付きました。
「けんたろう、ハンカチどうしたの?」
けんたろうも、自分が握りしめたままのハンカチに
やっと気付いて。
「あ…これお母さんに おみやげ。
学童で取れたの。
一つ もらったの。」
そう言いながら、宝物みたいにソーッとハンカチを開けました。

でも、中を見たとたん
「わ~ん!ピーマンがつぶれちゃった。
ボクがころんだから、ピーマンがつぶれちゃった!」
と大声で泣き出してしまいました。

見せてもらうとピーマンの頭が、少し へこんでいます。
ころんだ時も、ハンカチを離さなかったんですね。
自分の怪我より、ピーマンが傷ついたことが、
ショックで悲しいようでした。

「けんたろう、ありがとう。
ころんでも離さなかったから、ピーマン少しつぶれちゃったんだね。
それだけ大事に大事に、持って帰ってくれたんだよね。
ありがとう。
このピーマン ちゃんと使えるよ。大丈夫だよ。」

そう言うと、やっと涙をふきながら
「このピーマン、大丈夫?お料理できる?」

夕食にけんたろうのピーマンを使いました。
「これ、ボクのピーマン?おいしいね!
よかったね、ピーマンさん。
ボク、全部食べるからね。」

一生懸命食べていました。
きっと、ピーマンも喜んでいるだろうな…。
そんな気持ちになりました。