ひとり井戸端会議

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小沢秘書逮捕陰謀論を嗤う その2

2009年03月05日 | 国政事情考察
野党共闘にも影落とす、共産は小沢氏の国会招致も検討(読売新聞) - goo ニュース

 民主党の小沢代表の公設第1秘書が準大手ゼネコン「西松建設」から違法献金を受けたとして東京地検特捜部に政治資金規正法違反容疑で逮捕された事件は、野党共闘にも影を落としている。
 鳩山幹事長は4日の党代議士会で、「小沢氏は記者会見で十分に説明責任を果たした。皆さんは政権交代に向け、一致団結して行動してほしい」と強調し、党内の結束を訴えた。
 しかし、波紋は収まりそうにない。
 共産党は「小沢問題」を追及する構えだ。
 志位委員長は4日、国会内で記者会見し、小沢氏の記者会見について「国民に対する説明責任を果たしたとは到底言えない。開き直りと言うほかない対応をするのは、公党の党首として取るべき態度ではない」と厳しく批判した。そのうえで、「誠実に説明責任を果たす意思がないなら、国会が真相究明のための責任を果たす必要がある。必要な方の招致も含めて考えなければならない」と述べ、小沢氏の証人喚問や参考人招致を検討する考えを示した。



 共産党に肩入れするつもりは全くないが、志位氏の「国民に対する説明責任を果たしたとは到底言えない。開き直りと言うほかない対応をするのは、公党の党首として取るべき態度ではない」という批判はもっともであり、民主党はきちんと説明責任を果たさなければならない。

 もし与党の幹部クラスないしは閣僚が小沢氏と同様の説明をしたならば、これまでの民主党の言動からして猛批判をしたに決まっている。仮にこのまままともに国民に説明をせずに終わらせようとするならば、他人に厳しく身内に甘いという党の体質が露見し、国民に対する印象が悪くなることは避けられないだろう。



 ところで、この期に及んでも根拠のない陰謀論を盾に民主党(というか小沢氏を)庇おうとする論者がいるのには、やはり呆れるばかりだ。前回も書いたが、仮にこの捜査が国策捜査だとしても、小沢氏サイドの行った違法行為が免罪されるわけではないし、(言い方は悪いが)外から付け込まれる余地のあるような人物を党首にしていた民主党が間抜けなだけなのだ。

 小沢氏は会見で、「衆院選が取りざたされている時期に異例の捜査が行われたことは、政治的にも法律的にも不公正な国家権力の行使だ」と述べたそうだが、こうした批判がまるで的外れでナンセンスなのは言うまでもない。小沢氏のこの発言は、ただただ権力の座を何としても射止めたいがための見苦しい悪あがきに過ぎない。



 そもそも、我が国は三権分立の確立した国である。どこかの朝鮮半島にあるような独裁国家ではない。検察が強制捜査を行うには、事前に裁判所から令状の発布を受けなればならないという強制処分法定主義の原則に従わなければならない。たとえ政府・与党が小沢氏を貶めたいからといって検察に捜査を頼んだとしても、裁判所が令状を発布するには、捜査対象に強制力を行使するに足る犯罪の嫌疑がなければならず、ときの権力者の意向で何とかなる次元ではない。よって青天の霹靂のごとく、突如として強制的に捜査がなされることなどない。簡単な言い方で表現をすれば、火のないところに煙は立たないのである。

 民主党は野党といっても、今や自民党を凌駕するほどの国政への影響力を有し、次期衆院選で圧勝するとまで言われている政党である。権力の強さでいえば自民党に伍すものがある。その政党の党首の側近に捜査権が行使されるということは、このことはむしろ三権分立が正常に作用していることの証左である。



 それから小沢氏は、「衆院選が取りざたされている時期に異例の捜査が行われたことは、政治的にも法律的にも不公正な国家権力の行使だ」と言うが、それでは捜査当局は、「これから衆院選だし、ここはやめておくか。」として、捜査を思いとどまったほうがよかったのか。検察に時の政治情勢を考慮して、「空気を読め」とでも言うのか。これこそ民主主義の否定であり、「民主」党の看板が泣くというものだ。

 捜査は誰かを貶めるためではなく、犯罪の嫌疑を解明するために行うものであって、その捜査が国内の空気を読んでなされるとすれば、それこそ捜査権が時の権力者によって支配されることになりかねない。小沢氏のこの発言こそ問題視されるべきだ。

 次に、「法律的にも不公正な国家権力の行使だ」という批判は、全く意味が分からない。何の法律の、一体どこの条文を根拠にして言っているのか。犯罪行為がなされているのではないかという嫌疑が濃厚になったから強制捜査に踏み切ったまでで、検察側の捜査が不公正だなどと言われる筋合いは全くない。繰り返すが、むしろ法律が公正に適用されたからこそ、時期総理候補の懐事情にメスが入ったのである。



 小沢氏は見苦しい言い訳や詭弁を弄さず、まずはしっかりと説明責任を果たし、その上で国民に謝罪すべきである。

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