ひとり井戸端会議

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河野洋平を議長に留めておくことの意味

2008年11月21日 | 国政事情考察
河野衆院議長、在任最長に「戦前回帰が心配な次期も」(朝日新聞)

 河野洋平衆院議長(71)の在職日数が20日、明治時代の帝国議会以来最長となる1786日を記録した。河野氏は同日、国会内で記者会見し、「戦後レジームの見直し、戦前回帰の声がだんだん高くなるのではないか、という心配の時期でもあった」と在任期間を振り返った。
 河野氏は、印象深い出来事として小泉元首相の靖国参拝問題をあげた。05年6月、議長公邸に歴代首相を集め、「首相の靖国参拝には慎重にも慎重を重ねるべきだ」との認識で一致。官邸を訪ね、小泉氏に参拝の自粛を迫った経緯がある。河野氏は「『議長としてあそこまでやるのはいかがなものか』という批判もあったが、国のために大事なところだと思えば、先輩の意見を全部徴して、それを申し上げることは悪いことだとは思わない」と述べた。



 私のブログをご覧になっておられる方々には今さら語るまでもない存在であろうが、河野洋平が言う「戦後レジームの見直し、戦前回帰の声がだんだん高くなるのではないか、という心配の時期でもあった」という件と氏の首相による靖国参拝についての見解が全く理解できないので、河野氏のような聡明な頭脳を持っていない拙い頭の私が精一杯この言葉の意味を考えてみる。



 まず私が理解できなかったのは、河野氏が言う「戦前」とはどのようなものなのか、という点だ。彼は「戦前」というアバウトな時代区分を、どう捉え、そしてどう定義づけ、どのように理解しているのか。まさか日本の戦前を北朝鮮のような社会だと思っているとしたら、小学校から勉強をやり直したほうがいい。

 次に、「戦後レジームの見直し」について否定的な見解を持っている点だ。そもそも彼が所属している自民党という政党は、自主憲法制定を掲げ結党された組織だ。現在のアメリカ欽定憲法を後世大事に崇め奉るのではなく、日本の憲法は日本人の手で作り直そうではないか、というのが、従来の自民党の党是のはずである。

 そこで「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍政権が発足し、憲法改正のための国民投票法を整備し、自国の安全保障環境の整備のため防衛庁を昇格させ、教育を不当な支配から解放するため教育基本法を改正した。これら政策は本来自民党の所属する議員ならば諸手を挙げて賛成してもいい政策であるが、どういうわけか自民党所属の彼には受けが悪いようだ。もし当該コメントが安倍政権の行った一連の政策を否定的に評価するものであるのならば、自民党を離党するのが正しい政治家としての選択であったはずだ。これは加藤紘一についても同じことが言える。

 そして、首相の靖国参拝に対して彼が取った行動は、立法府の議長の行動としては不適切であったのは当然である。私は河野氏による首相の靖国参拝への容喙によって三権分立の趣旨が没却されるとは思わないが、歴代の総理を集め、首相のところへ陳情に行くとなれば、それは個人の信教の自由を圧力をもって圧殺しようとするようなもので、これを法律の制定権力を司る立法府の議長が行うことは、裁判所のように司法機関が違憲判断を下す場合とは全く異なり、許されるべき行為ではない。



 本題に入り、どうして河野洋平はここまで長い期間議長を務めることができたのか。それは一言で言えば、彼を議長に据えることにより、憲法改正等について与党の足並みが乱れることを防ぎ、そして彼のサヨクで自虐な行動を封じるためであったからだろう。要するに、与党としては、彼に自由に動かれては迷惑なのだ。そこで議長というポストを与えることにより彼の言動を封じ込め、おかしなことをされるのを未然に防止したのだ。それでも靖国参拝の一件はあったが、なかなか賢い選択である。

 このように考えると、もしかしたら自民としては、彼に離党をして欲しくなかったのかも知れない。というのは、議院の議長はその院において多数を占める政党(与党)に所属する者が担うのが常だからだ。つまり、もし河野に離党されると、与党としては彼を議長の椅子に末永く縛っておくことができず、手綱を放してしまった犬のように自由に動きまわれることになる。そうすると与党にとってはマイナスである。それならばいっそ自民党内に残したまま、飼い殺しにしておいたほうが得策なのかも知れない。

 河野洋平を議長に置くことの意味はここにあったのだ。

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2 コメント

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Unknown (gunkanatago)
2008-11-21 21:50:16
かつて土井たか子(口にするのも汚らわしいですが)も同様に衆議院議長に祭り上げられていましたね。河野洋平なんか、新自由クラブでこけた時点で政治生命は終わっていると思うのですが、こいつを総裁にまでした自民党も自民党ですね。参議院の江田五月といい、何か不毛ですね。
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gunkanatagoさん (管理人)
2008-11-22 01:50:07
コメントありがとうございます。

そういえば土井たか子は衆議院議長になったとき、議員の「君」づけをやめ、一律「さん」づけにしてましたよね。今思うとただのフェミ婆でしかないですが。

河野が総裁になったとき唯一よかった点は、自民が政権与党ではなかったことですよね。あいつが首相になろうものなら、下手したら村山よりも悪辣な「談話」を残していたことも推測できます。

ちなみに社会党を与党にした自民の思惑は、与党に取り込むにことにより、社会党を中から壊滅させることにあったといいます。これは確実に成功しましたよね。
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