随所随縁

所に随(したが)い、縁に随い、時に随い、想いに随い、書き留めていきたい。

今週のNEWSWEEK日本版

2006-05-25 22:36:02 | NEWSWEEK日本版



今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「世界遺産が危ない~観光ブーム、温暖化、乱開発 地球の宝が消えていく」でした。内容は、このタイトルの通りで、ユネスコの世界遺産登録により、観光客が増加し、乱開発が進み、却って環境を破壊してしまうというものです。確かに観光客が通り過ぎるだけで、損傷を受けるであろうし、大勢の観光客が押し寄せれば、周辺にホテルから土産物屋までが乱立することになります。そもそも、世界遺産の登録は、貴重な自然や文化遺産を保護することにありますが、運営の仕方を誤ると、逆効果になりかねません。

ただし、NEWSWEEK誌の中に「金満観光客が人類の遺産を救う」というタイトルの記事があるように、観光客は地元の人たちが捨て去った、または、放置している古い建物や文化、そして自然を求め、沢山のお金を落としていきます。観光客の誘致のために、各地でさまざまな伝統行事や伝統芸能、文化遺産などが復活していますが、これも観光客効果といえるでしょう。一例として、観光客の増加により、南米の先住民族が、「ジーンズを穿いてテレビを見る」生活から、「伝統的な家屋に暮らし、民族衣装を身につける」生活に戻った例が上げられています。「復活した伝統」などは、どうも観光客向けのまがい物か、安易なテーマパーク風になりがちですが、全く伝統が消滅してしまうよりましなのかもしれません。

もう一つの記事に、「消えゆく世界の7大スポット」というタイトルで、存続の危機に名所として「ルクソール(エジプト)」「万里の長城(中国)」「ベネチア(イタリア)」「モルディブ」「マチュピチュ(ペルー)」「バビロン(イラク)」「コーラルトライアングル(インドネシア~フィリピン)」が紹介されていました。要因も、乱開発による浸食や地球温暖化による水没、観光客による損傷、紛争などさまざまです。建築物は予算さえあれば修復も可能ですが、自然ともなると、修復は容易ではなさそうです。観光客が世界遺産を救うのか、滅ぼすのか、やり方次第といった感じがします。