今日は、。松本法人会の例会で、。帝国データバンク松本支店長の方を講師に迎えた講演会に参加しました。テーマは「2005年長野県経済の動向」。レジメをめくると、一ページ目が「最近の倒産の動向」・・・・・・さすが帝国データバンク。
「最近の倒産の動向」によると、全国の倒産件数が最も多かった年が、円高不況とよばれた1984年で20,000件強。それから、バブルの絶頂期の80年代後半は、ぐっと減って6,000~7,000件あまり。バブルが崩壊した1990年代からは14.000~19,000件あまり。倒産件数が増加傾向にある中で、がくんと減った年が1999年と2004年の2回。いずれも国の中小企業安定化法などによる特別保障制度が実施された年になるとのこと。確かに、まじめにがんばっている中小企業は、日々の資金繰りさえなんとかなれば、なんとか倒産せずに経営していけるものですが、このように数字に表れたことには驚きました。バブルの時も、土地や株の値上がりによる利益というよりは、銀行がお金をどんどん貸してくれるのですから、倒産件数が少ないのも当然でしょう。カッコいい言葉でいうと、「キャッシュフロー経営」なのですが、中小企業では、もっと切実に、「資金繰り」が経営の基本になるのがよくわかる「倒産の動向」でした。
あと、典型的な倒産の「ケーススタディ」として、2例ほど、解説していただきました。一つは「天才的な起業家」と呼ばれる人が、時流に乗って、10年で400億円弱を売り上げるのですが、(1)災害があって、仕入れに支障を来し、売り上げ大幅減→(2)あわてて新たなマーケットに挑戦→(3)在庫が増えて資金繰り悪化→(4)民事再生法申請、となったケースです。特に(3)→(4)への転落はわずか1ヶ月あまり、取引先も気がつかないほどの早さでした。教訓としては、資金繰りが悪化したとき、「天才起業家」が災いして、取引先に「すいません、支払いは1ヶ月待ってください」と言えず、あっさり会社を投げ出してしまったことが倒産の原因、つまり(1)→(3)のようなケースはどこにでも起こりうること、そこからの会社を保全するための粘り・努力にこそ、経営者の真価が問われるのでしょう。
もう一つは、業績が悪化した時に、経営者が責任を従業員に転嫁したため、従業員がどんどん退職し、結局立ち直ることができなかったケースです。大企業などでは、「リストラ」を盛んに行い、経費の削減・生産性向上に成果を上げているところもありますし、リストラされた側の悲しみも取り上げられます。それはリストラした人の代わりになる経営資源がある場合に有効なのしょう。中小企業の場合は、特に20年この道一筋といった「ベテラン社員」の代わりが勤まる人材はいないことが多く、リストラは、経費の削減効果以上の売り上げ減につながりかねないということです。
このほかにも、いろいろな話をうかがい、いずれの話もうなずかされることばかりでした。世間ではさまざまな起業家、ニュー・リーダーの活躍ぶりがもてはやされていますが、そのような成功事例ばかりではなく、このような失敗事例に鑑み、経営の基本に立ち返ることも必要であると感じました。いい勉強になりました。