随所随縁

所に随(したが)い、縁に随い、時に随い、想いに随い、書き留めていきたい。

最悪の仕事始め~バックアップシステムについて

2006-01-06 21:52:05 | 仕事・ひと

私の勤める会社は、本日が仕事始めですが、出社してみると、正月の記録的な寒波でボイラーが故障、事務所内はすっかり冷え切っており、凍えて字も書けない有様でした。本年の先行きを予感させられそうなスタートでしたが、ここ数日の「寒波」は本物のようです。それでもミシンを扱う工場の方は、別系統の暖房装置があり、それで何とか操業することができましたが、ボイラー装置の故障が直ったのはやっと午後、それまで事務所の方は火力が弱い石油ストーブだけですごしました。しかも仕事始めとあって、次々に年始回りのお客様が来社され・・・本当にすいません。その中には取引先の銀行の方もいて・・・今後融資してもらえるだろうか・・・・


近年の暖冬続きで、「気温が氷点下10度になると肌がしびれ、15度を超えると水道管が凍る」という生活の知恵をすっかり忘れていました。小学校の頃は、その中で半袖・半ズボンの体操着に着替え、毎朝1kmづつランニングをしていたのですが、そんな自分がいたとは信じられないほどヤワな人間になってしまいました。

今日の仕事始めにおいて痛感したことは、「寒さを凌いで空腹を満たす」のが生活の基本、ということと、生活の基本を守るためには「バックアップシステムが必要」ということでした。前の職場で、情報通信システムの設計をしていましたが、この情報通信システムも様々な「バックアップシステム」を持っています。情報通信の重要性が高いシステムほど、そしてお金をかけたシステムほど「バックアップシステム」が充実しています。たとえば、通信機器の回路が壊れたら別の回路に切り替え、通信機器が壊れたら別の機器が直ちに動作し、ケーブルが切れたら別のルートのケーブルに切り替え、停電したら自家発電装置に切り替え、自家発電装置が起動するまでの時間は電池で通信機器を作動させ、その電池も2重に設備して、たとえ一方の電池が壊れてももう一方の電池に切り替え・・・というふうに。そして最終兵器は「手回し式発電機つき電話」という、ハンドルを回して発電しながら会話ができる電話で、電話機本体と電線だけという、いたってシンプル・ローテクな機器がありました。停電しても、他の装置がみな壊れても、電線さえつながっていれば最低限のコミュニケーションができる、というもので、まあ、この電話が実際使用されるほど、壊滅的な状況はないと思いますが・・・・

高度なシステムほど、利便性に比例して、脆弱さも大きくなります。脆弱さの対策の一つが「バックアップ」であり、もう一つが「フェールセーフ(失敗しても大丈夫)」と呼ばれるものです。これは人為的な操作ミスなどがあっても被害を最小限にして回復できるような仕組みですが、近頃の証券取引システムや銀行システムの障害などを見ると、この「フェールセーフ」の重要さもよくわかります。そして最後の切り札が「シンプル・ローテク」ということで・・・

ボイラーなどというシステムは「ハイテク」とはとても呼べないのですが、それでも故障すると素人には手に負えません。ボイラーが直るまで、冷え切った事務所で、マッチで石油ストーブに火を付けて、そのストーブに手をかざしながら、そんなことを考えていました。