カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

鉄の箸

2009年11月09日 | 旅の徒然
韓国では食事のときに出される箸はどこへ行っても鉄製である。そのこともあって旅行中は、この国の木、石、鉄の文化のことを考えていた。そのことは10月23日の「ソウル到着」の記事でも書いた。朝鮮半島にはこれの素材が昔から豊富に存在した。高句麗、新羅、百済の時代のことである。

太古の昔、鉄はどのように作っていたのか?それは、花崗岩に含まれる砂鉄分を高温で熱することで、鉄を精製する。この技術を昔の人たちは持っていた。高温に熱するには燃料がいる。すなわち、薪が必要だったのだ。だから、花崗岩が豊富に存在し、そこから生まれる砂鉄がとれる朝鮮半島には鉄の文化が早くからあったのだ。もちろん、山々の森には豊富な材木が存在することも重要である。

日本列島にも花崗岩は存在する。森もある。鉄は四国で多く取れるが、技術力も未熟だったろうし、その量は十分でなかったのだろう。鉄の文化は半島、大陸から流れてきた優れた鉄の加工品をうらやましく思った人々がいたに違いない。