Wanderers

試行錯誤のリターンズ はじめよう、ここから 日々のあれこれ・思うことなど 

木戸さんの行方

2009-06-17 20:06:42 | 本より
タイトルから内容が想像できないのは、私の頭がまだ固いからなのかしら。
そんなことを思ったのがコチラ。



「絶対、最強の恋のうた」:中村航

中村航さんの文体が好きなので、気になるものはついつい買っちゃうんですよね。

こちらの本には、おおまかにいうと2つの作品が入っています。
が、厳密にいうと3つの作品になっていて、もっと突っ込んでいうと「僕の好きな人がよく眠れますように」という、以前に読んだ作品の前編みたいになっています。

じゃあ、ざっくりな説明を。
1つの物語を、男性目線と女性目線とで書かれていて、恋の始まりから恋愛中まで楽しめます。
他に15ページ程度の小話が載っていて、こちらは先の1つ目の恋話とは違う方が主人公として書かれています。
これでざっくり2つ、厳密に3つの作品。
ほのぼの読める話だと思います。

で、前編ってどういうことかというと、作品全体を通して「木戸さん」という男性が出てくるのですが、この人が「僕の好きな人がよく眠れますように」にも出てくるのです。
ちなみに、この人はどちらの作品でも主人公ではありません。
そしてどちらの作品でも不思議な立ち位置なくせに、妙に説得力があってものすごく気になる存在としてそこにいます。

私は「僕の好きな人がよく眠れますように」を先に読んだのですが、この「絶対、最強の恋のうた」を読んだあとに思ったのは、読む順番間違えたな、ということ。
もちろん両作品ともに各々が確立されていて面白いのですが、この木戸さんの登場を考えると、「絶対、最強の恋のうた」を先に読んでいたほうがより「僕の好きな人がよく眠れますように」を楽しめる。
そして、木戸さんの発言に説得力が増す。
私はそう思いました。

ちなみにこの文庫本の裏カバーを開くと、中村航著「100回泣くこと」に寄せた北山さんのコメントが掲載されています。
ついコメントに「うん、うん」と頷いたのは私です。