麻酔から覚める時ってだんだんと記憶が戻ってくる感じなんだろうか、、、と思っていたけど、スカーンと元の自分に戻っていました。でも、手に付けられている点滴のチューブとか喉から出ているチューブが血の色だったり、そのチューブの先に円盤形のClosed Wound Suction Evacuatorなんて器具が付いているのを見ると、「えぇ~~、やっぱり凄い手術だったんじゃない、、」と突然萎えたり、、。やはり麻酔のせいか、どの位回復室に居たのか記憶がおぼろです。病室の準備が出来たので、10階に移動しますよ、と言われその部屋を出ると、超心配そうな顔の夫が駆け寄ってきました。夫の顔を見た瞬間、安心感のせいか、ちょっと泣きそうになったけど、「大丈夫だよ~」と言うと、「ダメ。ダメ。ダメだって!!!しゃべっちゃダメだよ~~」と大慌てな夫。「大丈夫みたいだよ、話しても、、。声も出るし、痛くないし、、、」と言うと、買って来ていたノートブックとペンを(筆談をさせようとしてたらしい、、)手に、何だか気が抜けた様な顔になっていました。ずっとストレッチャーの横に着いていた夫、係の人から「ここは患者しか乗れないエレベーターだから貴方は他のエレベーターで移動して」と言われてました。係の人に「あのぉ、プライベートルームを予約してあるんですけど、、、」と言うと「まぁ、プライベートルームは数が少ないからねぇ。僕はこの部屋に移動させるよう指示されただけだから、、」と、、。えぇ??ひょっとして相部屋?、、、と言う間に3名が入っている部屋に連れて行かれました。何の為の予約だ?? ま、もう驚かないけど、、、。カナダだから。廊下で夜を過ごさなかっただけ良しとするしかないわ。
私のお部屋は10階のとても見晴らしの良い窓際。4人部屋でした。予約は?、、、。って、しつこいけど、、、。
夫が携帯で撮った病室からの景色。本当に良い天気でした。
筆談の必要もなく、かなりかすれた声ながらも何とか話せます。すぐに担当のナースがやって来て自己紹介をしました。このナースを最初に入院中、3人のナースがシフトで変わりました。皆変わるとそれぞれの患者のベッドにやって来て自己紹介をします。そして、血圧チェック、点滴の交換等をしてくれます。ベッドとベッドの間はカーテンで仕切られているのですが、斜め向かい側のおじさんのベッドが見えたりして嫌なので、カーテンをちゃんと閉めてと頼んでいたのですが、どのナースも開けっ放し、、、。最初の数回言って、後は諦めて自分で直していました。
夫が遅いランチを食べに出かけました。耳栓と雑誌を頼みました。この耳栓が、今回の入院で一番の友となるとは、その時には想像もしていなかったけれど、、、(爆)。
夫が買ってきてくれたOprahの雑誌。可愛いパピーの表紙に思わず「えぇ~~嬉しいぃ♪」と大喜びな私。Oprahは大の犬好きです。しかも大のゴールデン好き。2匹のゴールデンを飼っている彼女。今年になってシカゴのパウンドから捨てられた犬をアダプトして育てているそうです(向って彼女の左肩に乗ってる子)。この雑誌で、パウンドから二匹を受け入れたのですが、一匹はすぐにパルボウイルス感染症で亡くなり、この残った子も同じ病気で一時は諦めたそうですが、何とか持ちこたえた事を知りました。彼女は北米の若い女性にとても人気があり、影響力の強い人なので、これからパウンドで犬をアダプトする女性が増える事でしょう。
その頃、、、、、ジェニーはピーターと楽しく遊んでいた様でした。
当初、一緒に泊まると思っていたのですが、そうではなかったので、6時頃、夫はジェニーを迎えに行き家に帰る事になりました。時計やカメラ、携帯電話、貴重品を持って来ないようにとの指示だったので、夫が帰った後は時間さえ分かりませんでした。時計、置いていってもらえば良かったと後で激しく後悔。時間が分からないで過ごす一夜はそれはそれは長かったです。
同室の病人達は、私の隣にフィリピーノの女性。カーテンで仕切ってあるだけなので、顔は見えないものの、話が全部丸聞こえ。婦人科系の手術だったようで、時々唸り声も聞こえ、かなり体調が悪そうでした。同じ窓際の向いの人はブリティッシュアクセントの強い年配の白人のおばさんで(後でサウスアフリカ出身と分かる)、脊髄の手術だったようで、私が退院して帰るまで、寝たきりでした(食事もなし)。でも、痛みはないと元気そうに問診の時に答えていました。その横に(私の斜め前)初老の元気な親父(腰を痛めていたらしい。すでに数日この部屋に居る様で4名でシェアするバスルームには彼の私物(ひげ剃り等)が置いてあって、何だか自己中な人だなと思いました。英語のアクセントからイタリア人だと思っていたのですが、後でポルトガル人だと判明。実はこのオヤジが、、、、、。
それぞれのベッド脇に電話が付いていて、このオヤジが電話をかけ始めました。それが、、、、、大きな声。信じられない程の声。早速夫が買って来てくれた耳栓を、、、。33デシベルの耳栓を越えて、オヤジの声が聞こえます、、。40分位話した後、電話を切りました。あぁ、やっと静寂が、、、、。7時頃ディナーが運ばれてきました。これが私のディナー(写真でお見せ出来ないのが残念です(笑))。超、寂しいディナー。メインコースのない機内食のような感じを想像して下さい。
ディナーが始まったと同時くらいに、オヤジに面会の2人がやって来ました。家族の様です、、、。やっぱり同じDNAのせいか、大声。ワハハ、ガハハ、笑うはしゃべるは、、、。ここが病院で他の患者がいる事なんてすっかり忘れているかの様でした。あっと言うまにディナーの終った私は雑誌を読んでいましたが、耳栓から聞こえる声にうんざり。周りは私を含め、手術を終えたばかりの患者。それなのに、全くおかまいなく大声で談笑。でも30分位我慢した所で私、キレました。「ちょっと、すみません。声少し落として話してくれませんか?」とカーテン越しに言いました。一瞬、声が止まったようでしたが、又すぐに元のガハハ、ワハハ、モード。結局面会時間が終る8時迄続きました。あまりにも常識のなさに、驚きと腹立ち。8時にようやく病室に静寂が戻ってきました。まだまだ明るいのでサングラスをしたまま雑誌を読んでいました。そしたら、今度は隣のフィリピーノの女性が、、、、オエェ~~~、オエェ~~~、、、、って。凄い声、、。体調悪そうで気の毒だったけど、その声を聞いていただけで、何も食べてないのに、私も気持ち悪くなってきて、、、、。慌てて再び、耳栓。33デシベル、彼女の声も聞こえました、、、。オヤジのよりずっとマシだったけど。その頃に再び、「私が予約したプライベートルームは?、、、」と怒りがフツフツ。あぁ、こんな気持ちじゃダメダメと気を直し、雑誌に集中。この雑誌、かなり読み応えあります。経済の話あり、政治の話あり、健康、グルメ、等、分かり易い言葉で軽く書いてあるのでさらっと読めます。今迄たまに待合室等で手にしてパラパラとながめただけだったのですが、今度から購読しても良いかなぁと思いました。特に今号はパピーの話、シカゴのドッグパウンドの話など、犬の話題も豊富だったし。
そうこうしていたら、夜勤ナースの登場。彼女が私のベッドサイドに来て挨拶したのに気づきませんでした。耳栓していたからねっ! 声の小さいナースでした(笑)。トントンと足をつつかれ、ナースに気づき、耳栓を外して、わざとオヤジに聞こえるように「いやぁ、大きな声で話すウルサい人達がいるから、耳栓していたの。ご免なさいね、気がつかなったわ」とリベンジしてやりました(笑)。その後、オヤジ、結構静かにしていたので、効果はあった様です(爆)。
その後もフィリピーノの彼女はオエオエ続いていて、真っ暗になった外を見ながら、夜中の2時位かしら?早く朝になって家に帰りたい、、、、、と思っていました。ナースが血圧を測りに来たので、何時ですか?と聞いたら10時半よ、って、、、、。この時のがっかりした気持ちったら、、、、えぇぇ~~~、まだまだ長い夜は続くのかぁ、、、と絶望にちかいものがありました(大袈裟)。
6時間毎に鎮痛剤をもらって飲んでいたので、痛みはありませんでした。小さく刻んでもらった鎮痛剤を飲むのも結構大変で、普段、何の意識もなく出来ている事が出来ないって辛い事なんだ、、と思いました。私は時間が経てば治る問題のない外科手術でしたが、生死に関わる病気の人も沢山いる訳で、病院で会った人達を見て、つくづく健康でいられる事の有り難さを実感しました。
やっと朝になりました。今日も良い天気。朝ごはんが運ばれてきました。
また、リキッドダイエット、、、
朝ドクターが来て、順調に回復しているので、首にチューブで繋がれていた器具(吸引機)を取って、退院して良いと言われました。すぐに夫に電話をしたら、ジェニーを連れてマンディーパークで散歩中でした。「すぐに迎えに来て」と言ったのですが、急いでも12時頃になる、と言うのでがっかり。ナースが器具を外してくれ(首の中に入っていた吸引機を取るのが結構痛かった)、その傷口はどうなるのか?と思ったら、テープでペタっと止めておしまい。え?穴、閉じないでいいの?? 縫わなくても平気なの??? テープだけ、、、って、、 気になる?と聞かれたので、上にカバーしなくて大丈夫なんですか?と聞いたら、じゃ、ってガーゼのついた大きめなバンドエイドをしてくれました。でも、横はパカパカに開いているし、、。どこまでもアバウトなカナダ。
帰る前に、向かいのおばさんに、もう一組残っていた耳栓をあげました。「きっと役に立つと思うから、どうぞ」と言ってあげたら、おばさん、ニコニコして有り難うと言いながら、声に出さず、隣のオヤジを指差してました(大笑)。「お大事にね!」とおばさんに声をかけた後、ふと横を見ると、一晩中オエオエだったフィリピーノの彼女も初めて立ち上がれたようで、初めて顔を会わせました。「貴方もお大事にね」と声をかけて、オヤジは無視して部屋を出ました(笑)。大人げない?いいえ、そのオヤジ、本当に嫌な奴で、ナースにも「あれしろ、これしろ」と大柄でまるで召使いの様な扱い。そういう傲慢な人は大嫌いです。帰りの車の中で、夫が帰った6時からの事を「喉が痛くなると大変だから、あまりしゃべらない方がいいよ、、」と心配をする夫に、「こんな話、話さないで気が済まないわよ」と、話続けていたら、「そんな面白い話(あのぉ、面白い話ではないんですけど、、)、一度にブログに載せたら勿体ないよ(爆)、3~4回シリーズで楽しむべきだよね」って訳分からん事言って、私の怒濤の一晩の話に一人大受けしていました。
家に帰って飛びついて来たジェニーを抱きしめて、本当に無事終って家に帰れて良かった、、としみじみ嬉しさがこみ上げました。やっぱり家が一番♪
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床工事でホコリだらけの我が家(まだ終ってないし、、、)。夫は手術後、そんな家に居るのは良くないからホテルに泊まった方がいいんじゃないかと言ったのですが(ホテルだって何処迄奇麗か分からないし、そんな事言えば、病院だって、、、)絶対に家に帰る!と言う私の為に、空気清浄機を買い、手術のあった金曜日の夜から私達のベッドルームに設置し、空気の清浄をしてくれていました。本当に心優しい夫です。手術の翌日から傷部分(首)がかなり腫れて唾を飲み込むのも大変ですが、これも時間が経てば治まるでしょうし、暫くは声さえ出せないと思っていたので、思いのほか順調に回復していると思います。あとはゆっくりと休養して再来週から仕事に復帰予定です。
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