建築家・石上純也さんの講演会。
インタビュアーは建築批評家の五十嵐太郎さん。
とても充実した時間で素晴らしかった。楽しかった。
紹介されるプロジェクトはどれもクリエイティブで、発想が大胆でユニーク。
東京芸大建築科の出身で妹島さんの事務所にいたのか、なるほど。
プロフィールの写真より髪が伸びていて、若いながらも風貌も個性的で、
石上さんはまさしくアーティストのようだった。
水面に波が立つように揺れる見事に超薄くて大きいテーブル。
レクサスの哲学を表現してとのインスタレーションでは、
霧で満たされたあいまいな境界線の会場、部分によって空気の密度を変えた
発砲スチロールの手作り椅子の表面に・・・白いレースをかけたら、
きれいな質感で、可愛いなぁ、と思った。とは本人のことば。
他にも木洩れ日体験として、生け花するように敷地に木々を植えていく。
高く積み上げた建物、気が向いたら階段で上に上がる11階建てのハウス。
そして描かれた数々のドローイングの色づかいが美しくラブリーだった。
全体的に作品の印象としては、すごくやわらかくて優しい雰囲気、
リラックスした空気が流れていると思った。
もちろん至るところ、緻密に計算されているけれど。
ヨージ・ヤマモトのニューヨークのショップの敷地を
三角のケーキの形だと表現していた。
それをどう切るか、最終形は切った感じがしないのだが。
ケーキ、それも女性的モチーフ表現のようでかわいらしいと思った。
コンセプトの方向性はない、ゴールに向かうのではなく、
どこから考えてもOK、ループみたいにぐるぐる回って磨き上げていく。
どこで終わってもイイと言う考え方だと石神さんは話していた。
若い現代っ子、才能ある今の時代の人って感じがした。
その石上さんに続けとばかり、大勢の学生が講演に聞き入っていた。
それに交じって、私も話がうかがえて大変満足でうれしかった。
やはり最先端のフレッシュな風を浴びるのも大切なことだと思う。
会場は品川インターシティの大林組のホールだった。
品川グランドコモンズ、向かい合う窓の位置さえ揃わぬと、
建築評論家の松葉さんが辛口だったのをふと思い出した。
一階はたくさんの緑の木々が植えられ、そこから虫の声がして、
風もいくぶん涼しく秋の気配が感じられた。
都会の夜の景色をあじわいながら、私としてはとても気持ちがよかった。