心の栄養♪映画と英語のジョーク

日々観た映画のレビューと英語のジョーク♪心の栄養いっぱいとってKeep smiling♡

「ノーカントリー」

2008-08-12 | 映画「な」行
テキサスの荒野でハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたモス
(ジョシュ・ブローリン)。複数の死体が横たわる現場の近くで、200万ドルの大金を発見した彼は、
危険と知りつつ持ち帰ってしまう。その後、非情な殺人者シガー(ハビエル・バンデム)に追われる身に。
モスは、妻カーラ・ジーン(ケリー・マクドナルド)を守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。
一方、老保安官エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)もまた、モスが最悪の事件に巻き込まれた
ことを知り彼の行方を追い始めるが、モスを保護できないまま、死体ばかりが増えていき・・。



う~~~ん、噂にたがわずハビエルの演技がすごい!
ありがちなクールでスマートな殺し屋というイメージからは
ちょっと離れていて(クールはクールなんだけど、やっぱり
あの髪型のせい?!)、ドーンとくるものすごい存在感。
とにかく続く緊張感。 特にモーテルのシーン、ホテルのシーンは
しびれちゃうくらいの緊迫感がありました。
  
他者との会話なんてしない、命乞いも無用、静かな狂気・・・。
彼に追われたら、もう絶対に逃げられない・・・。怖い、怖すぎる。
自分で自分の殺人のルールを作って、コイントスで生かすか殺すか
決める彼。絶対にそんな賭けしたくないけど、彼に容赦はなし!

でも、ある意味なぜか人間的だ、と感じてしまったりもしたんですよね~。
なんでだろう?人間の心を持ってないかのような彼なんだけど
ただのクールな、小説やアニメ・漫画等に出てくる
かっこよくて、冷静で、スマートで、この世には存在しないと
感じるような人ではなくて、実際いるかもしれないと感じるなにかが
彼にはありました。そのあたりで、人間臭いと感じたのかな~?
自分でもその理由が良くわからないけど。

逃げるモスもかなり頭が切れるし、ベトナム戦争を
生き残った彼だったので、戦闘能力みたいなのも備わってるし、
もしかして彼なら逃れられるのかもしれない・・・と
思ったりもするんですが・・・。

そして、観客を引き付ける映像。
映画の構成も、ちょっと考えてみると不思議だぞという
台詞などがコーエン兄弟らしいなぁ、と思いました。

後日こうやって思い出してみると、ほんとにさまざまなシーンが
さっと頭に浮かぶんですよね~。砂漠、暗闇の中の車のライト、
取られず鳴り響く電話、近づいてくる足音・・・恐怖を増長させるような
音楽はなにもなし。映像での陰影、静けさの中の音、絶妙な間。
そういったもので恐怖を表してて、それもみんな思い出すと
ゾワゾワ~~~っとして、ふぅ~ってため息つきたくなって・・そんな感じ。
それにちょっと「ファーゴ」を思い出しました。
あの雪の上に滴っていたあの赤い血が、今度は砂漠に・・・。

保安官ベルはこの映画の題名の象徴だったのかもしれないですね。
邦題はノーカントリーだけだけど、原題はNo Country For Old Menで
詩人W.B.イェイツの詩の引用から来てるらしいです。
彼が語る自分の見た”夢”の話しもとても象徴的でした。

俄然シガーが主人公っぽくて存在感もありえないくらいすごいけど
やっぱりこの映画の主人公は老保安官ベルだったなぁ、と思いました。
保安官である主人公が介入できない現実。何も変えられないという虚無感。
彼が古きよき時代を語り、壊れゆく世界を語り、そして
老いたるものはただ去るのみ・・という悲哀がたまらなく胸に響きました。
これはいつの時代も、誰でも感じてることなのかもしれないけど・・。

個人的お気に入り度3.5/5

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20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは! (由香)
2008-08-13 11:26:18
お邪魔します♪
メルさんは、映画の持つメッセージを受け取れたみたいですね~
私は、監督さんの作品を観るのがほぼ初めてだったせいか(違うかな・笑)、何が何だか分からないままに鑑賞を終えてしまいました(汗)
ただただハビエルの演技が強烈で印象に残っています。
凄く怖かったですね~普段は素敵な男性なのに!(笑)
返信する
Unknown (なな)
2008-08-13 19:56:12
こんばんは
お盆は帰省客の接待に追われていま~す。
メルさんもお忙しいのではないですか?

ほぼ同じ時期にDVDを鑑賞したのですね,この作品。
とにかくシガーの不気味な存在感と
やりきれないテーマに,暗澹となりますけど
映画としての完成度の高さや,ハビエルの名演技など
高い評価をつけることのできる傑作だとは思います。
でも,愛される作品では決してないですよね~。
ファーゴの方は,やりきれなかったけど,どこか
愛すべき点のある作品だったけど
こちらは悲壮としか言いようがなかったですわ。
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由香さんへ♪ (メル)
2008-08-14 07:38:36
メッセージを受け取れたかどうかって、全然わかりませんが(^^;;) 映像やら、台詞やらにコーエン兄弟らしいなぁと(^^ゞ
彼らは楽しんで映画を作ってる感じがするし
雰囲気がすごく好きなんですが、今回の映画も
その点では満足でしたし、素晴らしい映画だなぁ、と
思ったけど、完全に私の好みかっていうと、そうでも
ないところもあったりしたので、この星の数です(^^ゞ

そうそう、ハビエルの演技はすごかったですね~。
怖かったし、彼のお陰で(?)ずっと緊張しっぱなしでしたわ(^^ゞ
こんなに印象に残る役柄もそうそうないですよね。
忘れられないです、あの顔も演技もなにもかも(^^;;)
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ななさんへ♪ (メル)
2008-08-14 07:52:39
ななさんもお忙しそうですね~。
お疲れ様ですm(_ _)m
お察しの通り、私もいろいろ忙しいです~(涙)
(って、こんなことやってますが(^^ゞ)
一応長男の嫁なので、なにやらやることが
たくさんあり、さらに息子も帰省して来ていて・・と。
早く通常通りの日々に戻りたいです。
お互い、体に気をつけて、暑さに負けないで
頑張りましょうね~^^んで、映画も見たりして
のんびり出来るときはのんびりしましょうね~(笑)

ほんと、この映画は傑作ですよね。
でも、完全に好みかというと、わたし的には
そうでもないところがあって(^^ゞ
でも、あまりにも印象に残るシーンや映像が
たくさんあったので、忘れられない映画になりそうです。
そうそう、ちょっと「ファーゴ」も思い出しましたし
あの映画も大好きなんですが、やはりななさんが
書いて下さってるように、ファーゴの方が救いが
会ったように思うし、ファーゴの方がずっと好きです。
返信する
TBありがとうございました (sakurai)
2008-08-14 09:27:03
人間的だという気持ち、なんかわかります。
でもって、とっても律儀なんですよね。
きっと、税理士なんかになったら、最高の仕事をしたのでは。。。などと思ったりして。
コーエン兄弟、嫌いじゃないんですが、見るとき、ちょっと勇気が要ります。
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sakuraiさんへ♪ (メル)
2008-08-14 20:59:52
そうそう、律儀でもありましたね~、彼は。
自分でルールを決めてて、ちゃんとそれにのっとって
やる、というところがありましたもんね。

>税理士なんかになったら、最高の仕事をしたのでは。。。などと思ったりして

そうか!確かにね~。
もったいないですよね。もっと違う方向にあの
能力を使えば・・って思っちゃいますよね~。

>コーエン兄弟、嫌いじゃないんですが、見るとき、ちょっと勇気が要ります。

私もコーエン兄弟は大好きなんですが、あの独特の
世界に入り込むんだ・・とワクワクしたりしますが
勇気がいる、っていうのなんとなくわかります~。
今度はどんな題材で見せてくれるんでしょうね^^
返信する
TBさせて頂きました。 (小米花)
2008-08-17 23:07:12
昨日までの猛暑とうってかわって、今日は気温が下がりとても過ごしやすかったです。
そちらの方は、秋の気配などありますか~~?

この映画、ズッシリ来ましたね~。
暴力を扱ったテーマで、こんなに心を掴まれたのも珍しいことでしたよ。
静かな中での恐怖感にしびれました。

そう、展開の〆の部分でのトミー・リー・ジョーンズの嘆きと見た夢が印象的、これで主役はトミー・リー・ジョーンズだって念をおされた感じでした(笑)。

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小米花さんへ♪ (メル)
2008-08-18 08:53:33
やはりそちらも涼しかったんですね~。
こちらもです~。かんかん照りなんだけど
風が(空気が)冷たくて、半袖の腕が寒く感じてしまいました。
夜はすっかり秋でした(^^;;)
毛布かけて寝ました。
そちらもこのまま秋・・ということはないのかも
しれませんが、徐々に秋らしくなってきて、
ちゃんと”秋”がある日本、四季がある日本であり続けて欲しいですよね。温帯だったはずの日本が亜熱帯とかにならないように(^^ゞ

で、この映画ですが、
ずっしり重厚、恐かったし、いろいろ監督さんたちの
意図が隠されてた感もあり、なかなか良く出来た映画だったなぁ、と思いました。
ほんと、おっしゃる通り静かななかでの恐怖感に
しびれました、私も。

>展開の〆の部分でのトミー・リー・ジョーンズの嘆きと見た夢が印象的、これで主役はトミー・リー・ジョーンズだって念をおされた感じでした(笑)。

確かに^^
あれで〆!でしたもんね。
あ、やっぱりこれが言いたかったのか、彼が主役だったんだな、と改めて感じましたね~(^ー^* )フフ♪
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こんばんは (David Gilmour)
2008-08-18 23:00:50
トラバ、サンクスです。

この映画は、途中までハラハラドキドキする上質なサスペンスのような気がしたのですが、ラスト近くからなぜか割りきれないような、かつ難しいような感じがしました。

しかし、懸命に自分が納得できるような、半ばこじつけみたいな解釈を考えてしまいました(笑)。
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David Gilmourさんへ♪ (メル)
2008-08-19 09:58:42
こちらこそトラコメどうもありがとうございます♪

そうですね~・・ハラハラドキドキもしましたし
怖かったりもしましたが、おっしゃる通り見てるこちらで解釈を・・ってところがありましたよね。
少なくともスッキリするタイプの映画ではなかったですよね~。
ものすごくいろいろ考えて作られたんだなってことは
わかるし、素晴らしい映画だとも思うんですが
やはり割り切れないというか、素晴らしい映画だと
思えるのに、好きなタイプの映画ともちょっと違うかな、と思えるような・・なんだか複雑です~(^^ゞ
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