心の栄養♪映画と英語のジョーク

日々観た映画のレビューと英語のジョーク♪心の栄養いっぱいとってKeep smiling♡

「鬼畜」

2009-12-17 | 映画「か」行
印刷屋を営む竹下宗吉(緒方拳)と妻のお梅(岩下志麻)。ある日、宗吉の愛人、菊代
(小川真由美)が3人の隠し子を宗吉に押し付けて失踪した。妻のお梅は子どもたちに
辛く当たり、やがて、末っ子の赤ん坊が不慮の事故で死んでしまう。お梅が故意に仕組んだと
察した宗吉は残る2人も何とかしなければと追い詰められて行き・・。


宗吉・お梅・菊代、3人が3人とも鬼畜といえば鬼畜。
人としてやってはいけないことをやってしまうこの大人たち。
愛人の菊代は、宗吉からお金がもらえなくなり、3人の子供と一緒に
どうやって暮していけばいいのか、もうにっちもさっちも行かなくなっている。
だからって、3人の子供を、旦那の奥さんにいじめられるだろうことは
わかってるのに、まるで旦那に当て付けるように置いていって、姿をくらます。
この子供を置いていってしまう菊代に一番頭に来たかなぁ。
その彼女の行動が基でこんな悲劇に・・と思ってしまいましたが、さらに
その元凶は宗吉が菊代を愛人にして、子供まで産ませたことなのかも。

でも、物語の途中で明らかになる宗吉の生い立ち。そこがきっと、そのさらに
大もとなのかもしれない・・と思いましたけど。でも、そういう負の連鎖は、
どこかで断ち切らなくてはならないですよね。でも、それができない宗吉。
そして我が子を手に掛けようとまでする・・。

宗吉の奥さんの、お梅もまた、夫の愛人が置いて行ってしまった子供たちを、
虐待しまくる。その様子たるやすごかったです。映画の中だからって、
よくぞあそこまでやった!と絶賛したくなるくらいの、イジメ・虐待でした。
いくらなんでもあそこまでやれるか?とは思いましたが、この奥さんの
気持ちはわかります。どっかに当たらなきゃやってられないだろうなぁって
思いましたもん。青天の霹靂とはこのことだ、というような状況に
陥っちゃったわけですし、夫は頼りないし、仕事もうまくいかなし。

この3人のやったことは、人として最悪(まぁもっと悪いこともないとは
言えませんが)。でも、ひどく人間的でもあるんですよね。
人間の醜悪な部分が、これでもか~!ってくらい描かれていて、人って
こういう風にもなれるんだよね・・と痛感しました。
普遍的な人間の醜悪な部分を描ききってたという感じ。

宗吉を演じた緒方拳の巧さには唸りました。自分の意に反したことを
不承不承やってしまう彼。悪いことなんだとわかってるのに、やらなくては
ならないと信じ切ってる宗吉の戸惑いと不安な気持ちを、微に入り細にわたり、
本当に巧かったです。さすがだわ~って何度も思いました。
こんな風に気の弱い人間が残虐な行為をしてしまうんだろうなぁ~・・と
説得力のある演技。

そして良かったのが音楽。オルゴールの曲が耳から離れなかったですし、
無機質な音楽がものすごくこの映画に合ってました。さらに映像も構図も
素晴らしく、能登の夕日、子供の目、東京タワー、暑さに汗で肌に絡みつく
髪の毛、などなど、細かいところまでこれは素晴らしい!と思いました。

ラストの子供の言葉は、それでも父親をかばう、健気で胸が詰まる・・という
感想が多いようですが、私も瞬間それを思って胸が熱くなりましたが、
直後には、あれは言葉通りだったのかもしれない・・とも思いました。
こんな酷い奴は父親なんかじゃない・・という叫びだったのかも・・と。
でも、かばった・・とした方が胸にくるものは深いですけど。

もう30年も前の映画ですが、街並みや経済状態、その他諸々、違うところは
たくさんありますが、現代にも通じるものがあるなぁと思いましたし、
やはりこれは名作ですね。

個人的お気に入り度4/5

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
清張の傑作ですね! (ぼの)
2009-12-17 23:47:14
メルさま、お久しぶりです。
年末になってちょとばかし忙しくなり、
中々映画観れません(泣)。
ブログもここ最近は音楽中心になってきてますし・・・。
レンタルしてる映画もまだ全然観れてない状況ですよ。
早く抜け出したいですぅ。

あ・・ちょっと前置きが長くなってしまいました。

本作は私が一番最初に読んだ清張作品でした。
普通「砂の器」とか「点と線」なのですが、
なぜか私は「鬼畜」なんですよね(笑)。
何回も読み、勿論この映画も観ています。
異色ながら流石清張!と言う感じの作品ですね。
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ぼのさんへ♪ (メル)
2009-12-18 09:06:00
ぼのさん、こんにちは☆^^

こちらこそ、ちょこっとご無沙汰です~(^_^;)
そう、年末になっていろいろ忙しいですよね~。
大掃除にもそろそろ手をつけなくては・・ですし、ちょっとごたごたもありまして、
すっごく慌ただしい今月です。
お互い、体には気をつけて、できるだけ・・ということで、頑張りましょうね~(*^^)v

・・と言いつつ、私は夜結局映画を見てるんですけどね・・へへへ

鬼畜が最初の清張作品だったんですね。
私は何だったんだろう??
点と線だったかなぁ?それとも砂の器だったか・・しっかりぼのさんの書いてくださってる典型をたどってます(笑)

で、この映画ですが、ほんと、流石!というものでした。
見応え充分。役者さんたちも良かったですし、昔の出来事なのに、今にも通じる何かがあるというところが、やはり名作なんだろうなぁって思いました。
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