おいみず亭 Family & Friends

美味しい食べ物と知的好奇心、そして楽しい仲間!!

もしも...

2006-12-31 09:01:04 | 亭主独白

今年最後の自由訳シリーズ。
ピンクフロイドの「もしも」。
実は、もう随分前に訳していたのです。
「今年の言葉」に引かれて、登場させることにしました。

これ訳していたとき、なぜか、ダニエル・キースの「アルジャーノンに花束を」を思い出していました。
And if I go insane
Will you still let me join in with the game?
このあたりからの連想でしょうか。


[もしも]

白鳥のように、飛んで逃げだしたかった
電車のように、遅れてきたかった
だって君と、
 何を話したら良いのか、わからなかったから

夢の中に、逃げ込みたかった
怖いからって、隠れていたかった
だけど君には、
 僕がおかしいからって、冷たくしないで欲しかったんだ

月のように、クールに装ってたほうがよかったかな
僕のルールだって、君に合わせて曲げればよかった
だって君との間に、
 距離を開けるなんて、怖くてできなかったんだ

もしも。
もしも、だよ。
君がいなくなったら、
 僕はまた独りぼっち
君と一緒ならば、もう泣かないよ
みんなが僕のことをおかしいといって冷たくしても
 君だけは僕の事をわかってくれるよね、きっと

白鳥になって、逃げ出してたかもね
電車のように、また遅刻して来たかもね
だってあのころの僕は、
 君と何を話していいのかさえ、わからなかったんだから



元歌はこちら。





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今年の言葉

2006-12-31 08:32:27 | 亭主独白

昨年は年末企画として、iPodに取り込んだアルバムの紹介を行っていました。
ジャズ編、ロック編そしてその他編。各ジャンル毎のアルバム紹介を3日に分ければいいのに、1日で行うという思いつき企画でした。

今年は、取り込んだアルバムの数が多かったので、同じ企画は無理。
でも、なにか年末の企画をしたいなと思って「今年の言葉」を選んでみました。

 ミジンコに愛は通じない

「ミジンコ 静かなる宇宙」というDVDの中で坂田明が話していた言葉です。
ミジンコには、ミジンコ的な生活があり、ミジンコ的世界観の中で、ミジンコ的な日常を過ごしています。そこに、人間が一方的に愛情を注いだとしても、ミジンコによるミジンコ達のミジンコ的生活は変わることがありません。ミジンコ達はただひたすらにミジンコの生活を送るのみです。

ミジンコLOVEをただひすらに貫き通す坂田明の言葉だから、重みがあります。
一方的な愛情は、相手には伝わらない。
一方的な愛情の押し売りが、時には相手を破壊することもあり得ます。
人間とミジンコ。
ヒトと自然。
ヒトの愛が、全ての自然に通じると考えるのは、人間の思い上がりなのかもしれません。
自然の愛が、全て人間を中心として注がれると思うことも、人間の思い上がりなのかもしれません。
人間とミジンコ。
ヒトと自然。
それぞれが、お互い触れあう境界を通して、お互い育てあう世界。ウレシパモシリ。
2007年、このブログもウレシパモシリなものにしていたらと思っています。

※「ミジンコ 静かなる宇宙」へのリンクが違っていたので、修正しました。


ボーナストラック: 与太郎の風に語りて

2006-12-25 00:04:57 | King Crimson

ボーナストラックって、無いほうがいいなぁ、って思うこと多くないですか?
せっかく、アルバムとしてまとまっているんだから、そこで終わればいいのに。。。

「風に語りて」を落語で有名な与太郎さんに訳していただきました、

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あたしはねぇ、あっちこち見ながらゆっくり行くのが好きなんですよぉ。
アンちゃんみたいに、さっさか歩いてたら何も見えないんじゃないの?

あたしがなんか言ってもどうせ聞いてないんでしょ
あたしがなんか言っても、屁とも思ってないんでしょ
あたしの言ったことなんて、風に吹かれて、アンちゃんの耳に届きゃしないんですからね。

あたしが見たものはね、何だかぐっちゃぐちゃして、
なんだかわかんないんだけど、ごっちゃごちゃしたものが、いっぱいだったのよ。

アンちゃんは、あたしのこと変だって言うけど、
あたしはあたしのやりかたのままで居たいだけなんです。
あたしはやりかたを変えたりできませんよ。

あたしがなんか言ってもどうせ聞いてないんでしょ
あたしがなんか言っても、屁とも思ってないんでしょ
あたしの言ったことなんて、風に吹かれて、アンちゃんの耳に届きゃしないんですからね。






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CODA: キングクリムゾンへの道 / Eyes Wide Open

2006-12-24 23:40:32 | King Crimson

今回のクリムゾンシリーズを書いている最中に、2003年の東京のライブ「Eyes Wide Open」を見てみました。
このDVDは2枚組です。Disc1は東京のライブ。
もう一枚は、2000年のロンドンでのライブ。
実は、このライブは、フリップのギター学校の生徒が始めたBootlegTVとかいう、音楽ビデオのネット配信会社設立の記念ライブ。

小さめの会場だと思いますが、メンバーと観客の距離が近い。
いつもはスポットライトを嫌っているフリップも、ちゃんと明るい光の下でギターを弾いています。
そしてお祝い(?)のライブなのでメンバーも楽しげに演奏しています。
フリップもリラックスムードで演奏しています。
2003年の東京ライブよりかなり粗っぽい演奏ですが、楽しさは伝わってきます。
[2000年ライブの収録曲]
1.Into The Frying Pan
2.The ConstruKction Of Light
3.VROOOM
4.One Time
5.London Improv 1: Blasticus SS Blastica
6.Dinosaur
7.The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum
8.London Improv 2: C Blasticum
9.Cage
10.ProzaKc Blues
11.Larks' Tongues In Aspic, Part IV
12.Three Of A Perfect Pair
13.The Deception Of The Thrush
14.Sex, Sleep, Eat, Drink, Dream
15.Heroes


もう一枚位の東京ライブは、ライブ三昧でも書きましたが、ほとんど完璧なライブだったと思います。
The Power to Believeで完成したというヌーヴォ・メタルは、さらに進化していると思います。やはり、このバンド、ライブを通して力を付けていくロックバンドなんですね。
以前も書きましたが、このライブ映像見ていて印象的だったのは、ステージが終わった後のメンバーの笑顔。特に、眼鏡の中のフリップ翁の笑顔。
この笑顔、もう一度見たいので、是非もう一度来日してもらいたいと思います。
[2003年ライブの収録曲]
1.Introductory Soundscape
2.The Power To Believe I: A Cappella
3.Level Five
4.ProzaKc Blues
5.The ConstruKction Of Light
6.Happy With What You Have To Be Happy With
7.Elektrik
8.One Time
9.Facts Of Life
10.The Power To Believe II: Power Circle
11.Dangerous Curves
12.Larks' Tongues In Aspic, Part IV
13.The Deception Of The Thrush
14.The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum


ただ、残念なことに2003年の来日の後に、トレイ・ガンが脱退を発表しています。
ガンの後がまのベーシストは、トニー・レビン。
この新しいラインナップで活動しているはずなのですが、クリムゾンのファンサイトelephant-talk.comを見ても、新作のリリースは2004年でとまっています。サイトの更新が遅れているだけならばいいのですが、もう2年間アルバムのリリースがなし。音源発掘シリーズもなし。
今までのクリムゾンを見ていると、2年ぐらいの休止期間は、問題ないと思うのですが・・・

DVD「Eyes Wide Open」と内容的に重なるので、買っていないのですが

がすごく気になっています。

EleKtrik - Live in Japan, 2003
1.Introductory Soundscape
2.The Power to Believe I: A Cappella
3.Level Five
4.ProzaKc Blues
5.EleKtrik
6.Happy With What You Have to Be Happy With
7.One Time
8.Facts of Life
9.The Power to Believe II (Power Circle)
10.Dangerous Curves
11.Larks' Tongues in Aspic, Part IV
12.The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum

あ、やっぱり聞いてみたくなっちゃいました。


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2003年4月16日のセットリストをnakapageさんが記録しておいてくれました。
nakapageさんに感謝。
1.Introductory Soundscape
2.The Power To Believe I: A Cappella
3.Level Five
4.Happy With What You Have To Be Happy With
5.The ConstruKction Of Light
6.One Time
7.Elektrik
8.Facts Of Life
9.The Power To Believe II: Power Circle
10.Dinasour
11.Dangerous Curves
12.Larks' Tongues In Aspic, Part IV
- ENCORE I -
13.The Deception Of The Thrush
14.The World's My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum
- ENCORE III-
15.VROOOM





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Tangram / Tangerine Dream

2006-12-24 11:20:16 | プログレ魂

先日、またまた終電近くまで仕事して「さすがに疲れたー」というときにふと、Tangramが聞きたくなりました。何だか安らぐんですよね、この発振器の音が。。。

Tangramの発表が、1980年。Stratosfear以降、普通(?)のバンドになっていたタンジェリンが、再びPhaedraのような大作を引き連れて戻ってきた、という感がありました。
Stratosfearからしばらくは、タンジェリンドリームとしての音が先行していたような気がします。Phaedraを超えるために、シンセサイザー/シーケンサーの使い方を模索していたというか・・・
Tangramは、その回答の様な気がします。
どのパートをとり出しても、タンジェリンドリームらしい音です。
大作でありながら、全体の構成は良くまとまっていると思います。
Phaedraのような(というのか、もっと前のタンジェリンのような)、奇妙な有機物的おどろおどろしさがなくなっています。
一般受けする音でありながら、とても精神性の高みに昇るような、凛とした筋が通った作品になっています。
そして、シンセサイザー技術の進歩によるところが大きいのでしょうが、音がとても自然です。シンセサイザー使って、自然な音を出すというのも、ちょっと矛盾しています。コンピューター技術もそうですが、最初は異形のモノとして存在をアピールしても、こなれてくると影に回る、技術ってそんなものだと思います。そんなものだから、そんなものの先頭を走って、シンセサイザー開発の旗振り役をしていたタンジェリンには余計この矛盾点がプレッシャーとしてのしかかっていたのではないかと思います。
それも、これも、このTangramで全て解決したような気がします。
自然な音でもタンジェリン。

タンジェリンドリームのライブを、新宿の厚生年金会館で見たことがあります。
Logosを演奏していたので、たぶん1982年だと思います。
演奏が始まって、ステージの幕が上がると(あんな広いステージに幕がかかっていたのか、今思うとちょっと疑問ですが・・・)小山のようなシンセサイザーに、シーケンサーのランプがピコピコついたり消えたり。その前に3人のメンバー。
何だかとても印象的なオープニングでした。
全体が2部構成になっていて(Logos part1とpart2の間に休みがあった)、その休み時間だったかライブ終了後だったか、誰かが飛ばした紙飛行機が、2階席からステージに向かってスーッと滑るように飛んでいきました。
なんだか、タンジェリンのライブに相応しいシーンだったように記憶しています




1.Tangram set 1
2.Tangram set 2

公式サイト
 http://www.tangerinedream.org/
 ※サイトに飛ぶと、いきなりTDの曲が流れます。


PS:
たいへんなサイトを発見しました。
 犬の店♪タンジェリンドリーム
名前の一致は偶然でしょうか。
♪マークが入っているのが、ちょっとあやしい・・・






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クリスマスの前日

2006-12-24 06:20:50 | 亭主独白

歯医者に行くついでに、吉祥寺→国分寺→新宿と出かけてきました。

歯医者は国分寺にあります。
殿ヶ谷戸庭園の向かいなので、少し時間が合ったので立ち寄ってみようかとも思ったのですが、その後の買い出しのことを考えて、今日は辞めました。すぐ近くまで、何度も来ているのですが、ここにはいまだに立ち寄ったことないんです。
aokenさんのブログの写真見て、行ってみたいなとは思っているのですが・・・・

国分寺丸井のCD屋さんで、ビートルズのLoveを試聴。
以前渋谷でも試聴したのですが、音はとてもクリアです。
ただ、どうしても、この部分はあの曲から取っている。こういうつなぎかたがあるのか。と、曲を分解して音探しに走ってしまいます。ちょっと音楽の聞きかたとして、違うかなと感じたので、今回は買わないことにしました。

同じくの丸井の本屋さんで、文庫になった口語訳古事記を買いました。
以前、単行本で買って、会社の行き帰りに読んでいたのですがもう一度読みたいと思っていました。
ただしあの厚さ。カバンは重いし、つり革にぶら下がって片手で持って読むのはつらいしで躊躇っていました。
今回文庫になったので、軽くてありがたいです。しかも、神代編と人代編に別れているのがありがたいです。

新宿に向かう電車の中で読んでいたのですが、2駅ともたず、寝てしまいました。。。

新宿はさすがに人出が多くありました。
あちこちの店先では、クリスマスケーキやチキンを売っています。
彼氏や彼女へのクリスマスプレゼントを探す人。クリスマスパーティーの食材を探す人。お節料理の買い出しの人。サンタのコスチュームをつけた一軍が、大騒ぎしながら何かの宣伝をして練り歩いています。やかまし過ぎてソソクサと逃げてしまったので、なんの宣伝だったのかわかりません・・・

おかしかったのは、三越のティファニー。
そとから覗いたら、まるで年末の八百屋の店先みたいに、人だかりができていました。やはりティファニーはプレゼントの定番ですからね。

三越のロフトが店じまいするということで、クリアランスセールをしていました。
なかなか重宝していたんで、ちょっとショックでした。
たしかに、出来立ての頃は「三越にロフト!?」と違和感はありましたが・・・

小田急のイトウ屋は、レジ待ちの人の行列が店内に長く延びていました。
来年のカレンダーや手帳それにグリーティングカードなど、文房具屋さんもけっこう季節感があるものなんですね。

ヨドバシカメラのポイントがたまったので、懸案だったイヤフォンを買いました。
候補はソニーのとオーディオテクニカの

ソニーMDR-EX90SLは全体的に低音指向。テクニカのATH-CK9は高音が華やか。
問題は、お店で試聴してみると、今使っているテクニカのATH-CM7TIの方が音が良いこと。多分、慣れもあるのだと思います。しかし、このイヤフォン、耳にあわなくて、すぐにずれてしまうことが最大の問題点。そとで使うには不向きなのかもしれません。
ということで、買い替え。
どの音が「一番良い」というものもないので、後は好み。慣れている音に近いATH-CK9を購入しました。
老水亭でイヤフォンを検索してみると、去年の9月から時々話題になっています。1年にわたるイヤフォン探しも、このあたりで辞めなくては・・・。上を見たらきりがない世界だから。

買い出しを終えて、一息ついていると、夕飯の惣菜を買ってきて欲しいとのメールがきました。小田急の地下食品売り場に行きました。
いつもだと、夕方の買い出し客でいっぱいなのに、なんとなく空いている感じでした。
もう、みんな買い物を終えて家に戻って、クリスマスのご馳走を作っているのかもしれません。

と、こんな一日を過ごしているので、年賀状はまだできていません。





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Solstice / Ralph Towner

2006-12-22 04:19:41 | 最近聞いた音楽

もうすぐクリスマス。そして今日は冬至。冬至カボチャの日。
確かめたわけではないのですが、冬至の時期って食べ物と結びついたお祭りが、実は世界各地にあるのではないでしょうか? お日様の出ている時間がどんどん短くなっていき、暗い夜が長くなる。暗く寒い冬。その時期に、みんなで集って、わいわい騒いで、おいしいもの食べて、栄養付けて、そしてみんなの力を一つにまとめて、辛く長い冬を乗り越えて、みんな一緒に春を迎えようよ。。。なんか、そういうお祭りが開かれているような気がします。
寒さの厳しくなる季節、彼岸と此岸が近づいているのでしょうか。
そんな季節を此岸で過ごすためには、栄養とよい仲間が必要なのでしょう。


ラルフ・タウナーのこの一枚、実は彼岸に渡ってしまった人たちの追悼のために買ったものでした。
何か静かなジャズがいいなと思ったときに見つけたのがこの一枚。Solstice。
何がSolsticeかというと、5曲目のタイトルがWinter Solstice、つまり冬至。

ラルフ・タウナーというと、オレゴンのギタリストという印象があります。
とはいっても、オレゴンのアルバムは持っていません。FMで流れているのを聞いたことはあると思いますが、アルバムを買って聞くということはありませんでした。ジャズコンボというより、ニューエイジの走りでしょうか。心情的に嫌いじゃない部類なので、いつか機会があったら聞いてみたいと思います(といいつつも、はや10数年)

オレゴンは聞いたことないけど、ラルフ・タウナーこれが2枚目です。
1枚目はレコード屋でたまたま聞いて、ジャケ買いしました。タイトルは忘れてしまいましたが。。。
そしてこのアルバム。メンバーを見て、これは絶対に買いだなと思いました。
ヤン・ガルバレイクとヨン・クリステンセン。ECMは北欧系のミュージシャンに強いです。

内容は、だいたい予想通りのものでした。
ラルフ・タウナーのクラシックギターと12弦のアコースティックギター。静の部分に、ガルバレイクの力強いサックスが割り込みます。
二人を支えるクリステンセンとウェバーのリズム隊。派手ではないけど、個性的。
なんといえば良いのでしょうか、もちのような(?)モチモチしていて、柔らかなリズム。
これぞECMのジャズ。
冬の日だまりの中で、じっとしているような、そんな印象のアルバムです。


Ralph Towner: 12-string and classical guitars, piano
Jan Garbarek: tenor and soprano saxophones, flute
Eberhard Weber: bass, cello
Jon Christensen: drums, percussion


1.Oceanus
2.Visitation
3.Drifting Petals
4.Nimbus
5.Winter Solstice
6.Piscean Dance
7.Red And Black
8.Sand





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キングクリムゾンへの道 (その8)

2006-12-19 05:08:01 | King Crimson
The Power To Believe(2003)





現時点で、最新のオリジナルアルバム。
主な曲は、Level FiveとShoGaNaiで既に発表されていますが、それでもやはりこのアルバム、現時点で個人的クリムゾン人気アルバムのベスト1です。

それにしても不思議なジャケットです。ガスマスクをつけているのは、大気が汚染されているからでしょうか。どこか野戦病院をおもわせる建物の中で、生まれたばかりの赤ん坊だけがマスクをつけずに居ます。絶望の淵に瀕した人類が、この子どもに未来を託しているのでしょうか。アルバムタイトルにあるように、「信じ続ける力」のようなものを感じます。

このアルバムが発表されたのが2003年。このジャケットのデザインといい、タイトルといい、どうしても9.11同時多発テロと結びつけて考えてしまいます。9.11以降、世界がテロリストとそれを取り締まる警察に二分されて、グローバリゼーションの名の元に、対立がますます激化していく、そんなときに発売されたのがこのアルバム。「敵か味方か」という二項対立ではなくて、同じ人間として信じあうことがてきるという希望。いままで、どちらかというと今という時代を越えたところに居たクリムゾンが、突然同時代的な問題を提起したように感じました。

それにしてもロバート・フリップ翁、1946年生まれ。老いて枯れるどころか、ヌーヴォ・メタルと称して全電子化バンドを作り上げるなんて、ちょっと凄いじゃないですか。初期のアコースティックギター弾くフリップも好きですが、こういう電子化されたバンドも大好きです。DVDでライブの映像見ていたら、ほんと、ただのロック小僧に見えるんですね。複雑なリズムを演奏しているにも関わらず、そこにいるのはギター小僧としてのフリップ翁。クリムゾンの歴史の中で、このラインナップが一番ふつうのロックバンドの様に思えてきました。
多分、このラインナップが一番ストレスを感じないで、メンバーが伸び伸びと演奏していたのではないでしょうか。クリムゾンとして集って演奏するのが楽しくてしょうがない。2003年のライブを観てもそう感じました。そういう良い環境から生み出されたヌーヴォ・メタル。バンドは、なんのためらいも無く、自身のロックを演奏し、新たな音楽を生み出すための挑戦を行うことができたのだと思います。
クリムゾンというバンドの、一番幸福な時の記録。聞いていると、こちらまで幸せになるような気がします。





Personnel:
 Adrian Belew (guitar and vocals)
 Robert Fripp (guitar)
 Trey Gunn (Warr guitar, fretless Warr guitar)
 Pat Mastelotto (traps and buttons)


1.The Power To Believe I: A Cappella
2.Level Five
3.Eyes Wide Open
4.Elektrik
5.Facts Of Life: Intro
6.Facts Of Life
7.The Power To Believe II
8.Dangerous Curves
9.Happy With What You Have To Be Happy With
10.The Power To Believe III
11.The Power To Believe IV: Coda



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スーパー・エッシャー展

2006-12-17 12:52:27 | 亭主独白

渋谷の東急文化村で開催されている「スーパー・エッシャー展」に行ってきました。

土曜日の午後1時過ぎということもあって、チケット売り場には2-30人の行列ができていました。でも、見終わって出てきたら、列の長さが3倍ぐらいに・・・
エッシャーの人気の高さが伺えます。

文化村の展示っていつも「もう終わっちゃうの?」という感じで、今一つまとまりが無いことが多いのですが、今回のエッシャー展は、初期の作品から、最後の作品までが、時代にそってびっしりと並んでいました。
正直「もういいよ」と思えるほどの作品数。
でも、いままで見たことも無かった初期の普通の(?)作品を見ることができて、とても良かったと思います。

初期の作品は主に版画、木版とリトグラフを中心に展示してありました。
白と黒しか使用しない木版画ですが、黒地の中に太さと密度を変えた白の線を描くことによって、グラデーションが見事に描かれていました。木版画でも、こういう表現ができるんですね。

ベルリンの町を描いたシリーズでは、この白線の使い方に工夫を凝らしていて、白線を + の形で入れてみたり 「」 のような形にしてみたり。空間が濃淡の違う同じ形で区切られているような描き方をしていました。
この版画を見ていてると、なるほど版画を幾何学的な線で描いていたことが「空間の正則分布」の出発点だったのだな、と感じました。

この展示会、ただ絵画を展示するだけでなく、エッシャーらしくというのか、(大げさに言えば)テクノロジーとの融合が試みられています。
まず、入り口でニンテンドーのDS Lightを貸してくれます。DS Lightに内蔵された解説に従って作品を鑑賞することができます。音声だけの解説ではなくて、DBの液晶で作品を眺めたり拡大したりして見ることもできます。ただ、混んだ絵の前では、実物の絵よりも、ついDSの絵を眺めて「鑑賞」してすませちゃったり・・・これはちょっと困りものでした。

それと、ビデオと作品を組み合わせて、こんな作品をぐるぐる回してみることもできました。

今まで、エッシャーのだまし絵だけの展示会には行ったことがあったのですが、今回は時代を追って作品を知ることができて、大満足でした。

公式サイト: The M.C.Escher Official Website




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まぐくんのくりすます (2/2)

2006-12-17 03:28:06 | 亭主独白
3.もおりいさん

 まどべにせまるじゅうにがつのゆうやみのなか、まぐくんと、もおりいさんは、だんろのあかいひにてらしだされていました。
 もおりいさんは、しろわいんをひとくちのんで、ぼんやりと、ゆうひのいろをみつめていました。

 しゃんぱんは、もうじきひえるかしら。
 しゃんぱん。そうだわ。
 こどものころ、くりすますぱあてぃは、いつも、じゅりあおばさんのうちでひらいていましたっけ。
 しんせきのみんながあつまってきて、とおくのいとこたちにあえるのがうれしくて、いつもみんなではしゃいでいたわ。
 おばさんの、てづくりのけえきと、しちめんちょうりょうり。
 どうしても、ああうまいあじつけができないわ。こんやのとりは、どんなぐあいでしょう。
 そうそう、くりすますのよるは、まいとしおばさんが、でぃっけんずの「くりすます・かろる」をよんでくれたわ。
 ほんだなのどこかに、わたしのほんがまだとってあるはずだから、らいねんは、こどもたちによんであげようかしら。
 おばさんのよんでくれた「くりすます・かろる」をこどもたちは、みんなすこしこわがってきいていたわね。
 あるとし、わたしがひとりぱあてぃからぬけだして、まどから、ゆきのふるのをみていたら、いつのまにかおはなしのじかんになっしつまって、いとこたちは、わたしがいない、くりすますのゆうれいがつれていったんじゃないかっておおさわぎになったことがあったっけ。
 あのときわたしは、くものあいだから、きゅうにゆうひがさしてきて、はいいろのゆきぐもと、こまかいゆきのつぶがあかくそまるっていくのにみとれて、そして、いつのまにかそのままねむりこんでしまっていたんだっわ。
 そう、あのときのゆうひのあかいいろは、そうね、あなたとはじめてであったとしのくりすますいぶのゆうひのいろよ。
 ちょうどこんな。

  きょうは、ひえるわね
 もおりいさんが、わいんのぐらすをてえぶるのうえにおきながらいいました。
  ゆきがふってくるかもしれないわね。こどもたちをなかにいれたほうがいいみたい。

4.こどもたち

 たくらまかんさばくでらくだにのったんだよ
 たくらまかんさばくにいったのはおととしのなつだよ
 おととしって?
 まえのまえのなつさ
 じゃあ、さまるかんどでらくだにのったんだ
 さまるかんどもおととしだよ
 ほほう、いろんなところへつれていってもらっているんだね、きみたちは
 おじいさんは?
 おじいさんは、きみたちみたいなこどものいるところなら、どこへでもいくんだ
 ことしのなつは、もろっこにいったんだ。まらけしゅまで、きゅうこうでいったんだ
 もろっこでなにをみてきたんだね?
 らくだ らいおん ぞう きりん ふら……ふら…… ふらみんご?  ふらみんご! まんとひひ くま くま? らくだ?
 いろんなものをおぼえているんだね
 あっ! ゆきだ。ゆきがふってきたよ
 ほんとだ。ことしのくりすますは、ゆきになりそうだね
 きれいなゆうやけだなぁ
 ほら、ゆきがあかいよ
 うん、あかくそまっているね。このゆうやけも、おぼえておくといいよ
 どうして?
 どうしてかな。でもいつかきっとわかるよ
 いつかって、いつ?
 らいねんのなつぐらいかなぁ
 うーん、もっとずーっとずーっとさきになるかな
 ずーっとわすれちゃだめなの?
 わすれてしまうかもしれないね。でも、きっといつかおもいだすことがあるよ。そのときになぜだかわかるよ、きっと
 いつかなぁ
 さぁ、いつだろうね。たのしみにまっていなさい
 おーい、ふたりとも、そろそろなかにはいりなさい
 おや、おとうさんがよんでいるよ。どれ、わしもそろそろいくとするかな
 おじいさんどこへいくの?
 せかいじゅうの、きみたちみたいな、こどものいるところだよ
 せかいじゅう!
 せかいじゅういくの?
 そうだよ、あれにのってね
 あれ? しかだよ
 しかかな? よくみてごらん
 しかじゃないよ。となかいだよきっと。だって、そりをひいているもの
 ほんとだ、そりだ、となかいのそりだ
 じゃあ、おじいさんは、さんたさん?
 さんたくろおすのおじいさんだ
 わぁい、さんたくろおすのおじいさんだ
 さんたくろおすは、ほんとにいたんだね
 さんたさん、ぷれぜんともって、せかいじゅうをまわるんでしょ?
 そうだよ。あのおおきなふくろのなかにはいっているんだ。きみたちのぶんは、おとうさんにわたしてあるからね
 ありがとう
 どうもありがとう
 さて、では、もういくとするかな。となかいがまちくたびれているから
 おーい、ふたりとも、かぜをひくから、なかにはいりなさい
 さようなら
 さようなら、さんたさん
 はい、さようなら
 ぱぱぁ
 ゆきがふってきたから、なかにはいりなさい
 いまね、さんたさんとあったんだよ
 くりすますのけーきがまっているよ




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まぐくんのくりすます (1/2)

2006-12-16 17:11:12 | 亭主独白

去年は、本家へのリンクだけでしたが、
今年は、まんま転載します。
超お手抜きクリスマス企画第一段。
去年と同じ内容で、今年もスタート。

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まぐくんのくりすます




1.まぐくん と もおりいさん

 まぐくんは、すうぱあまあけっとではたらいていました。
 もおりいさんは、ばんどのかしゅでした。
 もおりいさんのばんどは、あるひ、すうぱあまーけっとでえんそうしました。まぐくんがはたらいているすうぱあまあけっとです。
 まぐくんは、ひとめみるなり、もおりいさんのことを、きにいってしまいました。
  もおりいさん、もおりいさん、ぼくはあなたのことがすきです
 そしてふたりは、けっこんしました。

 やがて、ふたりは、おうちをたてました。
 まちのはずれにある、ちいさな、ちいさな、にわのあるいえが、まぐくんのおうちです。
 おうちと、おにわはちいさいけれども、おにわのさくのそとは、ずっとむこうのはやしまで、くさはらがひろがっていて、とてもひろびろとしています。

 まぐくんは、だんろにひをおこしています。
 もおりいさんは、きょうかってきたかびんに、はなをいけています。
 まどのそとのにわでは、ふたりのこどもたちと、ねこがあそんでいます。
 たのしそうなそのこえをききながら、もりいさんは、こんやのごちそうのじゅんびをはじめます。
 いつのまにかもりいさんは、くりすますうのたをくちずさんでいます。
 だんろのうえには、ことしのなつ、もろっこのまらけしゅに、みんなでいったときのしゃしんがかざってあります。
 れっしゃのまどからは、とりやけものたちのたのしそうなすがたがみえます。
 まぐくんは、そのしゃしんをみてなんだか、ほっと、ためいきをつきたくなりました。
 ことしもいちねん、もうすぐおわるな。いろいろなことがあったけど、みんなたのしいおもいでだったな。


2.まぐくん

 まどべにせまるじゅうにがつのゆうやみのなか、まぐくんと、もおりいさんは、だんろのあかいひにてらしだされていました。
 まぐくんは、しろわいんをひとくちのんで、ゆうひのいろをみつめていました。

 このそらのいろは、とまぐくんはかんがえていました。
 このそらのいろは、もおりい、ぼくたちがであったとしのくりすますいぶのときのようだね。
 そうだ、そのとき、きみは、そのそらのいろが、きみがこどものころに、じゅりあおばさんのうちのくりすますぱあてぃのひにみたゆうひのいろに、にているといったっけね。
 そのとしは、ゆきのおおいとしだった。
 おぼえているよ。
 まだ、めのまえにみえるようだよ。
 ぼくも、ちょうどそのころ、じぶんのへやから、まどのそとにゆきがふっているところをみていたんだ。
 きみは、やっぱりきみも、ぱあてぃをぬけだして、ひとりで、へやのまどから、ゆきがふってくるところをみていたといったっけね。
 そのときだ。きゅうにくもがきれて、にしのそらがはれてきて、ゆうひがぼくたちのうえをおおっていたこいはいいろのくもと、ゆきのこなとをあかねいろにそめていったんだ。
 ちょうど、いま、ぼくたちをあかくそめているみたいに。

  きょうは、ひえるわね
 もおりいさんが、わいんのぐらすをてえぶるのうえにおきながらいいました。
  ゆきがふってくるかもしれないわね。こどもたちをなかにいれたほうがいいみたい。






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クレオパトラの夢 / バド・パウェル

2006-12-16 01:27:15 | 最近聞いた音楽

その本屋は、夜の9時を過ぎると、BGMがジャズに変ります。
いつもはiPodで音楽を聴きながら本を探しているのですが、今日はイヤフォンを外してBGMを聞いてみました。
「クレオパトラの夢」
なんだか、ひさしぶにこの曲を聞きました。
ちょっとマイナーで、日本人好み。良い曲です。

この曲を初めて聞いたのは、村上龍がホストを勤めていたトーク番組「Ryu's Bar」でした。
タララタララララタラーララン
というピアノのイントロが魅力的なこの曲、Ryu's Barでは日本人のピアノトリオが演奏していたと思います。

「いいなぁ、この曲」と思いつつも、Ryu's Barバージョンではなく、オリジナルを聞きたかったので、バド・パウェルを聞いてみました。
バド・パウェルって、バップのイメージがあって、ちょっと苦手だなぁ、という印象を持っていました。だからCD買うまで随分迷いました。ジャズファンにいわせると、バド・パウェルはもっと前の時代のものが本流でしょう、という人もいることでしょう。バド・パウェルを聞くなら、「ジャズ・ジャイアント」とか「ジーニアス」からにしたほうが良いかな、とも考えました。

が、やはり「クレオパトラ」が聞きたかったので、「ザ・シーン・チェンジズ」を聞いてみました。

これが、びっくり。キース・ジャレットかと思うほどの軽やかなピアノ。うなり声も入っています。聞いているうちに、キース・ジャレットがバド・パウェルのパクりかな、とも思えました。
さらに聞いていくうちに、これは天才的な軽さだな、と感じました。なんていうか、モーツアルトの曲が一点の迷いや曇りがないように、バド・パウェルのビアのが迷いの無い軽やかなものに聞こえてきました。

もうすこし他のバド・パウェルも聞いてみたいなぁ、と思いながらも、いまだにこの1枚しか聞いていません。しかも、このアルバムも、もう随分ながいこと聞いていません。
はっきり言って、「クレオパトラの夢」とか覚えていませんが・・・それでも、あのピアノは、今でも心に残っています。

一度聞いたら、ずっと心に残っている名盤ですね。
必聴!!





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佐賀のがばいばあちゃん

2006-12-12 04:14:17 | 最近読んだ本

少しずつ、少しずつ読んでいたのですが、読み終わりました。
というか、とうとう終わったちゃいました。
ばあちゃんと別れるの、寂しいよ。

終電まで仕事して、電車が無くなるから仕方なく、という感じで帰って来ました。
さすがに疲れた、ということでiPodでキース・ジャレットの「The Melody at night with you」聞きながら。
終電間際にホームにたどり着いたのに、電車は運良く座れてしまいました。いやしかし、これが侮れない。先日はこのまま寝込んでしまい、終点まで。終電といっても、30分も歩けば家に着けるので、たいして困らないのですが。
それでも、寝らないように、と電車の中で「がばいばあちゃん」読み始めました。
BGMと全くあってないじゃん!!

それで、図らずも、読み終わってしまいました。
Macの横に置いといて、ブログ書く前にちょっとずつ読んでいたのに。
電車の中の時間というのは、Macが起動する時間とは、比べようも無いぐらい長い時間です。そこで、この本を読むと、あっという間にページが進んでしまいます。
ああ、もったいない。

それにしても、洋七さんのおばあちゃん、凄いものです。
うちにいたばあちゃんも、足掛け3世紀に渡って生きて、相当な貧乏と苦労して、子どもたち(父親とおじさんだ)を立派に育てた、それなりに凄いばあちゃんだったはず。
ああ、もっといろいろ話聞いとけば良かったなぁ。きっと話してくれなかったろうが・・・

それにしても凄いばあちゃんだ。
先祖代々の貧乏で、娘達も嫁いでいってしまって、一人暮らし。そうとう辛いこともあったことでしょう。
そこに幼い洋七さんが突然現れた。孫ですよ、孫。かわいくないはずが無いじゃないですか。きっと嬉しかったんだろうなぁ。

そして、とても気品のあるばあちゃんだ。
懐が寒いからって、心も冷えているわけじゃない。
筋を通した、凛とした誇り高い潔さ。
品とか格とか言う言葉があるならば、こういう人こそ品がある人。
こういう人が「美しい」人。

こんなばあちゃんは、昔のばあちゃんだけなのか?
今のばあちゃんはどうなんだ? そして、将来のばあちゃんは?
あれ、じいちゃんはどうなるんだ!!

思わず本に集中し、今度はそれで降りるのを忘れてしまいそうになりました。




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硫黄島からの手紙

2006-12-11 03:48:25 | 最近見た映画

12月8日は、太平洋戦争開戦の日。
それに合わせてということでも無いのですが、クリント・イーストウッドの「硫黄島からの手紙」を見てきました。全体的に黒っぽい映像で、それが戦場の重苦しい雰囲気を伝えていました。

最初にちょっと駄目だし。
なんだか渡辺謙の台詞が聞き取りにくいところがありました。監督がイーストウッドで、俳優が日本人。当然台詞は日本語なので、台詞の言い回しとかどうやってチェックしていたのか、監督も苦労したんじゃないかと想像したりしていました。
それと、カメラがフラフラ動いているところがありました。ハンディカメラで撮っているような感じなのですが、アップにされた俳優の顔がフラフラと動いたりして、ちょっと見ていて乗物酔みたいな気分になってしまう場面もありました。これは、この映画に限ったことではないのですが、最近映画見ていてよくこういうこし感じます。カメラが小型化して、自由に扱えるようになった分、手持ちカメラの映像が増えたのでしょうか。
まぁ、でも、映画全体に影響するようなことではありません。

お話は、硫黄島玉砕時の指揮官栗林中将を軸に、若い兵隊の目から見た戦場を描いています。
栗林中将は軍人としてアメリカに留学もしたエリート。与えられた役割を遂行するために、合理的な戦略をたてるような実務派の軍人。それが、精神論だけで戦おうとする周囲の軍人との軋轢を生みます。
しかし、そんな栗林のことを若い兵士西郷は、優れた指揮官だと見抜きます。結局、栗林に従った西郷が、硫黄島の戦いを最後まで目撃し、戦場で散っていった兵士の思いを後の世に伝えるという役割を演じます。

それにしても、凄い映画です。
イーストウッドの戦争に対する憎しみが伝わってくるようです。
戦場における悲惨な場面。そして残された家族の悲しみ。
戦闘の場における敵と味方、という二項対立ではなくて、戦争そのものが「悪」であるというメッセージ。

硫黄島にある日本軍の基地が、初めて空襲にあうシーンが印象的でした。
戦闘機の攻撃によって人が殺されていきます。
爆撃によって、あらゆるものが破壊されていきます。
戦争というのは、結局モノを破壊し尽くして、もうこれ以上耐え切れなくなったとき、やっと決着くものなのだと思います。想像しただけでも恐ろしく、そして愚かな破壊行為だと思います。
国と国との間の紛争は、この破壊行為でしか決着できないというのでしょうか。
相手の全てを奪い尽くすまで戦う以外の決着方法は無いのでしょうか。
最初から別の解決方法を放棄してはいないでしょうか。
他の選択肢が無いと、思い込んではいないでしょうか。

嵐の二宮君が演じた、西郷という若い兵士。今生きてれば80代になっていると思います。
戦争が終わって60年。
歴史というスパンで見れば、わずか60年。
わずか60年しか前のことなのに、それがもう忘れられようとして無いでしょうか。
歴史の中では、わずかな時間ですが、一人の人間にとっては長い時間です。
戦争を経験した方は、一番若いかたでも60代になっています。
戦争の時代を記憶しているかたは、70才とか80才それ以上になっているはずです。
今の日本を見ていると、この年代の方々に対しての社会福祉が厳し過ぎないでしょうか。
幸せに、長生きしたい。ただそれだけの願いも、かなえられないのでしょうか。
まるで、戦争を知っている人たちには、はやく居なくなってもらいたいと思っているかのようにさえ思えてしまいます。
一番苦労してきた世代の方には、幸せに暮らしてもらいたいと思いますし、もっとその声を聞いて行かなくてはならないように思います。
次の戦争を起こさないためにも。




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Tales of Another / Gary Peacock

2006-12-08 01:35:47 | Keith Jarrett


梅酒の黒酢サワー。
子どもの頃の話。おばあちゃんがよく梅酒を造っていました。子どもだったので、梅酒は飲ませてもらえませんでしたが、漬けた梅は食べさせてもらっていました。果肉を噛むと、キュッキュッっとした、ザクザクした独特の食感。これが大好きでした。
でも、梅酒ってちょっと甘すぎます。
先日久しぶりに梅酒を買ってきました。チョーヤとか白鹿とか、普通に売っているものです。
それを炭酸水で割で飲んだのですが、どうも甘ったるくて仕方ありません。
会社帰りにみんなで立ち寄る飲み屋で飲んだ「梅酒の黒酢サワー」を作ってみました。
梅酒2+黒酢1を4倍ぐらいの炭酸水で割る。黒酢が入るだけで、味が引き締まります。けっこう大胆に黒酢をいれても、酸っぱくありません。

子どもたちには
 ポッカレモン+黒酢のソーダ割
を作ってみました。ソーダはカクテル用の甘くないヤツ。
これまた、さわやかで、子どもたちの大好物となりました。

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久しぶりにiPodをMacにつなぎました。
再生回数をみたところ、クリムゾンのThe Power to Believeの曲とThe ConstrucKtion of Lightの曲が断トツ。
ここのところ、この2枚のアルバムばかりきいていたので、当然といえば当然ですが・・・

高校の頃、LPアルバムを買うと、だいたい1ヶ月は毎日毎日繰り返してきいていました。
次第に聞き飽きてくると、次のアルバム買って、また一ヶ月繰り返し聞く。
こんなことの繰り返しでした。

クリムゾンもさすがにこれだけ集中的に聞くと、ちょっと飽きてきます。
ということで、ちょっと目先を変えて、ここ数日はキース・ジャレットを聞いています。

ということで、もう一つのお話・・・

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昔々、NHK-FMでもFM東京(当時)でも、週に一つや二つジャズ番組がありました。
当時、ピンク・フロイドやクリムゾンを聞きあさっていたので、ジャズはほとんど聴いていませんでした。楽しむポイントがつかめなかったというのか・・・

そんなある日、このTales of Anotherが紹介されました。
そして、この作品が、最初に気に入ったジャズアルバムとなりました。

当時、振興レーベルであったECMが、電化マイルスジャズスクールを卒業した若きスタイリスト2人、キース・ジャレットとジャック・ディジョネットをゲイリー・ピーコックに引き合わせて作ったのがこのアルバム。ピーコックのリーダー作ですが、長いことキース・ジャレットのアルバムだとばかり思っていました。

ECMのジャズって、ちょっとおしゃれで、とんがっています。
ECMのアルバムは、アメリカ的というよりは、ヨーロッパの知的に洗練された感じがあります。このアルバムも「熱い」というよりは「クール」という形容が似合います。
クールなフリージャズ。

1曲目Vignette。聞くたびに、どこか遠くの世界に繋がる通路に迷い込んだような気持ちになります。その先にあるのは、懐かしい人々がいる、どこか遠くの世界。
Tone Fieldで道を見失い、手探りでたどり着いたMajor Majorでひと心地ついたあと、Trilogyのクライマックスを迎えます。

新興勢力ECMと新進気鋭のトリオが生み出した記念碑的な一枚。
それは、アコースティックで幻想的なジャズ。
このトリオ、後にキース・ジャレット・スタンダーズとして復活します。ジャズのスタンダードに新しい光を当てたスタンダーズ。メインストリームの大御所として活躍していますが、その魅力は、実はその原点にこんなに素晴らしい世界を隠し持っているからなんだと思います。

ジャズファンはもちろん、プログレッシブロック好きにお勧めしたい一枚です。




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遠くの世界といえば、今日12月8日はジョンレノンの命日。
何年か前に、クラプトンのコンサートでさいたまスーパーアリーナに行った時に、ジョン・レノン・ミュージアムに立ち寄ってきました。

ジョンが亡くなってしばらくしてから、ヨーコさんが世界の新聞各紙にメッセージ広告を載せました。今は、ひどい世界だけど、いつかより良い世界になるように、希望を持ち続けましょう。なんだか、そんな内容だったと思います。


そして、12月8日は、遠くに行ってしまった友人を思う日でもあります。






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