おいみず亭 Family & Friends

美味しい食べ物と知的好奇心、そして楽しい仲間!!

Dark Side Of The Moon / Pink Floyd

2007-12-30 09:30:41 | Pink Floyd
今年も残すところあと2日。
大晦日というのは元日と繋がっているので、師走三十日が今年のブログの締めかな、と思います。
今年も1年、ありがとうございました。
そして、
来年もまたおつきあいの程、よろしくお願いします。

さて、「ゆず」にも書きましたが、12月の中頃に体調を崩しました。
ちょっとばかり忙しすぎたのが原因の一つではなかろうか、と思いその一週間は午前半休をとって、のんびりと出社させてもらいました。
行き帰りの電車の中では、気持ちをリラックスさせるために何が良いかな・・・とiPodの中を探って、Pink Floydを聞くことにしました。

何枚か入っているフロイドのアルバムを、気の向くままに聞いていたそんなある日のこと。
この日は「狂気/Dark Side of the Moon」を聞いていました。
このアルバム、今更説明するまでも無いと思います。
以前このブログでも書いたように、Beatles一辺倒だった音楽の趣味から、最初の一歩を踏み出す切掛になったのがこのアルバムでした。
ロック史に残る3枚のアルバムを選べ、と言われたら、迷わずこのアルバムを選ぶことでしょう(ちなみに、あと2枚は、アビーロードと宮殿・・・かな?)。

7人掛けのシートの端に座り、ひじ掛けに半ばもたれ掛かって、アルバムのB面を聞いていたときです。
とある駅で、電動の車イスに乗った女性が載ってきました。
付き添っているのは、お母さんでしょうか、車イスの女性は満面の笑みを浮かべて、付添の女性となにか話をしてるようでした。

実は、わたしのおくさんは、区の職員です。
確か福祉課とかいうところに所属していて、今は区内の障害者施設が職場です。
区内にいくつかある障害者施設のなかでも、そこは一番重度の高い障害者を受け入れているところだそうで、例えば軽度の障害者施設では作業訓練をしたりできるのですが、その施設の利用者さんは自分の意志では動くことも出来ないようなかたもいるそうです。
そこにもう5年位勤めているでしょうか・・・おくさんからいろいろな話を聞いて、障害者に対する考え方が少しずつ変ってきました。

正直なはなし、そういう重度の障害って、健常者とは関係ない事のように思ってました。
でも交通事故に遭っていつ障害者になっても不思議ではないんですね。
と、考えると、健常者としての生活と、障害者の生活って、本当に紙一重なんです。
いつ自分が障害者になっても不思議じゃないんです。
そうなったらどうするか、本当はちゃんと考えないといけないのでしょうが、悲しいかな、うまくイメージすることが出来ません。
そういうことをしっかり考えられる様になれば、障害を持ったかたに対して接する態度も変って行くんだと思うのですが・・・。

それと、おくさんが話してくれる利用者のかたとのコミュニケーションのこと。
こんなに喜んでもらえた、とか、怒らせてしまった、とか・・・
利用者のかたは、職員とのコミュニケーションに喜びを感じているのでしょうか。
自分の仕事を通じて、誰かに喜んでもらえるなんて、最高に素敵なことだと思います。
自分自身のことを省みて、そういう仕事しているかな。
できるだけ、そういうことが出来るようにしていきたいな・・・
と、いうようなことを、その車イスの女性を見たときに考えていました。

なんで、このときにそんなことを考えたのか。
フロイドの「Dark Side of the Moon」の影響かもしれません。
このアルバムA面は、人の誕生から死までの物語。
そして、B面は我々暮らすの社会が、だんだんと狂気に蝕まれていくというテーマ。
しかし、そこに流れているものは、死や破壊から生まれる再生のイメージ。
決してマイナス思考ではなくて、マイナスのイメージを克服することが出来るんだ、という強い意志を感じます。
「Dark Side of the Moon」を聞くと、いつもそういう前へ進む力のようなものが感じられます。
このアルバムが名盤たる所以は、この当たりにあるのだと思います。


1.Speak To Me/Breathe
2.On The Run
3.Time
4.The Great Gig In The Sky
5.Money
6.Us And Them
7.Any Colour You Like
8.Brain Damage
9.Eclipse




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A Pillow of Winds

2007-07-14 04:46:23 | Pink Floyd
MeddleのA面で好きな曲といえば、2曲目に収められたこの曲。
フロイドの、アコースティックな魅力にあふれたこの曲、このままEchoesに直結しても良さそう。でも、Echoesは、きょうの気分ではなかったので「More」を聞きながら電車の中でうつらうつらと。。。

会社の帰り、ふとこの曲が聞きたくなりました。
こういうときHDDのiPodは便利。

どんな曲なのか、歌詞を読んでみました。
まだ、こなれていないですが・・・

[A Pillow of Winds]
水鳥の羽毛のような
雲に包まれ
音の輪郭が曖昧になり
眠気に誘われ、僕は横になる。
君はというと
もう、小さな寝息をたてている。

そっとキャンドルを吹き消す。

本が落ちたような、ぱしゃりという音を立てて
君はドアを閉めた。
夜を締め出したはずなのに、
夜のしじまが僕たちを包む。
不思議な事に、風が変ったことが感じられた。
それは、季節の変ったしるし。

鳥さえ起きぬ暗やみのなかで
目覚めてしまった。
夢との区別もつかないが
もう夢の中には戻れない。
黄金色の扉を通ると
その向こうは緑濃い野。

深い草に身を沈め
夜の明ける音を聞くと
音の輪郭が曖昧になり
眠気に誘われ、僕はもう一度横になる。
君はというと
まだ、小さな寝息をたてている。

鳥とともに目を覚ますと
朝の霞を通した、一条の光が
空を染めた。

夜は翼をたたんで、去っていった。





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Wish You were here / Pink Floyd

2006-04-23 04:34:19 | Pink Floyd
火・風・土・水という世界を作る4つのエレメントをモチーフにした、ヒプノシスデザインのジャケット。LPではそれがさらに紺色の不透明のビニールに覆われていました。

「狂気」 の所でも書きましたが、ピンクフロイドと出会ったのは、「狂気」発表後の事でした。ということで、リアルタイムで購入した最初のピンクフロイドのアルバムは、この「Wish you were here/炎」でした。とはいえ、75年に「狂気」を発表してから「炎」までの2年間、かなり待たされての新作という感じがありました。

歌詞を読むと「狂気」が普遍的な内容であったのに比べて、「炎」ではシド・バレットおよびピンクフロイド自身に関するものばかり。シドバレットに対するオマージュでもあり、同時に当時のピンクフロイドの置かれた位置にたいする戸惑いの現れともとらえられます。
確かに「狂気」の歌詞は、普遍的な内容で、どのようにでも解釈して当て嵌める事ができました。でも、そうそう毎回道徳の教科書の様なお説教聴かされるのもちょっと勘弁して欲しいと思います。「狂気」は「狂気」1枚で完成しているので、その「パート2」(アニマルズ?)なんて聴きたくありません。
そんな意味でも、歌詞に普遍性がなくても良いのですが、それが身内に向けられているというのはちょっといただけません。いきなり個人的な感情まで、落としすぎではないでしょうか。もう少しアーチストとしての視線というものを保ってもらいたいとも思います。

このアルバムが発表された70年代の半ばというと、シンセサイザーが広まり始めた時期で、シンセサイザー=プログレッシブロックという図式ができ上がった時期でした。この「炎」のなかでもシンセサイザーが大活躍しています。「Welcom to the machine/マシーンへようこそ」のような電子音満載、ギミック満載の曲でも当然シンセサイザーが活躍していますし、パート1~9までに別れた大作「Shine on you crazy diamond/狂ったダイアモンド」でも随所にシンセサイザーが使われています。アルバム全体に、デイブ・ギルモアの泣きのギターとリック・ライトの泣きのシンセサイザーが活躍しています。
当時のシンセサイザーといえば、リック・ウェイクマンの「地底探検」やELPの「展覧会の絵」などでも聴けますが、本当に機械的な音で、それまでの音楽とは異質なモノでした。ピンクフロイドの場合、この「炎」や次作になる「アニマルズ」の「羊」でも聴けるのですが、シンセサイザーで喜怒哀楽の「哀」を表現しようとしているようす。もしかするとこの時期にピンクフロイドの方向性が「哀」に向かっていたということなのかもしれません。「哀」の中に浸っている心地よさ。その心地よさが、その後のピンクフロイドを決定付けてしまったのかもしれません。

シド・バレットとともにサイケデリックシーンから浮上して、「神秘」「原子心母」「エコーズ」「狂気」と、サイケデリックな部分を引きずりながらも大作主義を貫き通していたピンクフロイド。確かに「Shine on you crazy diamond」は大作ですが、「狂気」前に比べて明らかに一般受けする内容になっています。この後ピンクフロイドはロジャー・ウォータース主導で「ウォール」という問題作を発表しますが、ギルモア、ライト、メイスンとの間に亀裂が生じ、ロジャー・ウォータースはピンクフロイドを離れてしまいます。そして、残った3人により「鬱」「対」という「哀」の中に沈んだピンクフロイド的なイージーリスニングなアルバムを発表していきます。「Shine on you crazy diamond」は、「鬱」「対」へと続くピンクフロイドの終わりへの始まりだったような気がします。




73年の「狂気」から75年の「炎」発表の間に、ピンクフロイドは長年住み慣れたEMIから、契約先をCBSに変更しています。同じ時期に、ソフトマシーンがCSBからEMIに移籍しています。60年代に一緒にUFOクラブなどイギリスのサイケデリックシーンで活躍していた二つのバンドが、まるでトレードされたかのようにレーベルを移籍しています。移籍後ソフトマシーンは「収束」という素晴らしいアルバムを作成しています。そして、その後Adiemusへと昇華していきますが、これはまた別のお話になります。

追記:
牛・耳・プリズムのジャケットはそれぞれのアルバムの内容と一致していたのですが、火風土水と「Wish you were here」の関係はどうなっているのでしょう。ジャケットの謎解きがうまくできないのですが。。。





1.Shine on You Crazy Diamond, Pts. 1-5
2.Welcome to the Machine
3.Have a Cigar
4.Wish You Were Here
5.Shine on You Crazy Diamond, Pts. 6-9

Relics / Pink Floyd

2006-04-15 03:10:07 | Pink Floyd
輸入盤はこんなジャケットでした。


邦題は「ピンクフロイドの道」。初期のシングルなどをまとめた、一応ベスト盤の形をとっています。

LPのジャケットは、ニック・メイスン画伯の線画でした。
個人的にはこのジャケットが気に入っています。


初期のシングル「アーノルドレイン」「シー・エミリー・プレイ」等が収められているこのアルバム。シド・バレットが在籍していた、初期のサイケデリックな雰囲気がしっかりと伝わってきます。

その中でもひときわ美しい曲といえば、シングル盤でヒットした(らしい)「夢に消えるジュリア」とアルバム「神秘」からの「追想」。耽美主義といわれたピンクフロイドらしい、ほんとうに美しい曲です。

でも、このアルバムの中で一番たくさん繰り返して聴いたのは「星空のドライヴ」でした。ノイジーで凶暴ともいえるギターサウンドで強引に展開するこの曲が、なんとも美しく、またピンクフロイド(あるいはシド・バレット)らしく思えました。ドアを開けて、一歩外に出ると、星が輝く宇宙空間であるような、そんなシュールな世界。こんな作品(だけじゃないかもしれない)を作り上げていたシド・バレットという人は、やはり現実の世界とはうまく折り合いが付かなかったのではないか。それも仕方ないかな、と妙に納得していたことを思い出します。

現在CDになって、ニック・メイソンの絵に基づいた模型の写真になっています。
これはこれで面白いのですが、やはりLP時代のジャケットが好きです。
そして、これもやはりLPサイズで持っていたいジャケットの一つですね。



1.Arnold Layne
2.Interstellar Overdrive
3.See Emily Play
4.Remember a Day
5.Paintbox
6.Julia Dream
7.Careful With That Axe, Eugene
8.Cirrus Minor
9.Nile Song
10.Biding My Time
11.Bike

Atom Heart Mother / Pink Floyd

2006-04-09 00:05:36 | Pink Floyd
重厚なブラスとコーラスの音が消え去さると、立ち上がっていってLPを裏返す。するとそこには、A面とは全く違った、つぶやくような声でうたわれる「If」
 白鳥ならば、飛んで逃げてただろうね
 電車ならば、遅れてきてただろうね。
 でも僕はそんなに良いヤツじゃないから
 君とはあまり話をできなかったんだ。
一つの命が誕生する喜びを力強く歌い上げたA面と、女々しくさえ思えるB面。
この格差によって「ほっ」と一息つくアルバム構成。
緊張感の後の解放感。これこそピンクフロイド音楽の神髄であり、それを作り上げた「原子心母」こそ、ピンクフロイドがピンクフロイドとなりえた最高傑作ではないか。と、つい力が入ってしまうほど、このアルバムは大好きです。

僕が最初に「原子心母」を聴いたのは、「狂気」のところで書いたローテルのレシーバーでした。当時NHK-FM土曜の午後3時代は各地の放送局から、ローカルなプログラムを放送していました。NKH-FM水戸では隔週ぐらいにプログレ特集をしていたのですが、電波状態の良いときにしか聴く事ができませんでした。普段はNHK-FM横浜を聴いていたのですが、この日はNHK-FM東京(普段はクラシックを流していました)で、グレングールドとピンクフロイドをとりあげるというので聴いていました。

地響きのような重低音のなかに、キラキラと輝くようなブラスの音が混ざり始め、やがてそれがひとつのメロデーにまとまり始める。そしてファンファーレが鳴り響いたかと思うと、一呼吸ためを置いて、ピンクフロイドの登場。
何度聴いたかわからないほど聞き返した、イントロです。

そしてそれに続くゆったりしたリズム。このゆったり感は「牛」そのものです。
「原子心母」といえば忘れられないのが「牛」のジャケット。

(こちらのかたのページには、中ジャケットの写真もあります)
表ジャケットのこちらを振り向いている牛も印象的ですが、LP時代の裏ジャケット(左側ですね)の3頭。これがかわいいです。特に一番右の牛が楊枝を加えてるみたいなところが、愛嬌があって好きでした。
こちらの写真の方が良くわかるかもしれません
ピンクフロイドといえばヒプノシス(Hipgnosis)との組み合わせ、というイメージが確立したのもこのアルバムからではないでしょうか。(実際には一つ前のウマグマからヒプノシスが担当しています))

A面の「原子心母」からB面ラストの「アランのサイケデリックブレックファースト」まで、個々の曲魅力もありますが、なんといってもジャケットデザインを含めたアルバム構成全てにおいて「ああ、ピンクフロイドだよね」と思えてしまうこのアルバム、やはりピンクフロイドの傑作アルバムではないでしょうか。

例によって歌詞はこちら
 Green is the colour


おまけ
ヒプノシスのジャケットデザインを楽しむという意味でも、ピンクフロイドはLPがいいですね。A面/B面というアルバム構成も、CDなかなか伝わってこないですよね。

おまけその2
webで「原子心母」を検索していたら、こんな店が見つかりました。
ひっとして有名ですか?
バー原子心母

Meddle / Pink Floyd

2006-04-02 09:24:37 | Pink Floyd
静けさの中に響き渡るピアノの音。それはまるで深い海の底で、仲間を探す潜水艦のソナーの音のように響きます。

傑作アルバム「原子心母」と、超ベストセラー「狂気」にはさまれた「おせっかい」は、ちょっと地味なアルバムではないかと思います。アルバムの作りは「原子心母」とおなじく1面大作でもう一面がアコースティック、というのも、なんだか「原子心母」のコピーみたいです。A面のできはともかく、「エコーズ」が聴けるので、それで満足です。

「エコーズ」は大好きなのですが、我が家ではしばらくの間(もしかしたら今でも?)「家庭内放送禁止」となっていました。理由はおくさんが「怖い」というからです。同じ理由でマイク・オールドフィールドの「チューブラーベルズ」(これは確かに怖いですね)とチック・コリアの「リターン・トゥ・フォエバー」(カモメのチックの1曲目です)が「家庭内放送禁止」となっていました。
「チューブラーベルズ」については、なにかのインタビューで、マイク・オールドフィールド自身が「個人的な感情が入りすぎた」というような事を話していましたが、これら3曲とも「気」というか感情のようなものが強く伝わって来るような気がします。

名曲「エコーズ」を最初に聴いたときのイメージは「青」でした。Meddleのジャケットそのものですね。歌詞を読むと空を飛んでいるアホウドリ(*)だの、珊瑚礁の洞窟だのやはり空や海の「青」をイメージさせる絵画的な表現が並んでいます。その中で主人公の「僕たち」は海の中に潜んで暮らしているのですが、光に向かって登っていく事を試みる。
最後には(と、ここまでに曲は20分ぐらいかかるのですが)、朝日に乗った使者がやってきて「僕」の目を覚ませる。そして僕は窓を開けて遥か彼方の「君」に呼びかける。

あらためて、歌詞を読み返してみたのですが、珊瑚礁のラビリンクのように深いですね。最初、光に向かって登っていくときには
 And no-one showed us to the land
と複数形を使っています。

それが最後には
 And no-one sings me lullabies
 And no-one makes me close my eyes
と単数系になります。

「us」がいつ「me」になったのかと詩をたどってみたら
 Strangers passing in the street
 By chance two separate glances meet
 And I am you and what I see is me
これは、夢の中で、無意識のyouと自己としてのmeが別れて、その後
 Inviting and inciting me to rise
されて、やがて目覚める。

こんな解釈をして、地下のフロイト先生からおしかりを受けるかもしれませんが、ずっと気になっていた「エコーズ」の解釈がやっとできたような気がします。
そしてついでに「Meddle」=「おせっかい」の意味も「他者からの干渉」と解釈すれば、すっきりしそうです。

アルバム「Meddle」は名曲「エコーズ」のイメージそのものと言ってよいと思います。(A面には目をつぶろう)
そして、「エコーズ」は、深い海の底で自分自身を探す潜水艦のエコーの音から始まり、自分探しの旅へと続きます。
「Meddle」が「エコーズ」を持ってしても「地味」と感じられるのは、実は「エコーズ」の持っている内省的なイメージが強いからではないかと思います。


1. One of These Days
2. A Pillow of Winds
3. Fearless
4. San Tropez
5. Seamus
6. Echoes



歌詞はこちら
www.pink-floyd.org:ファンサイト

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*ところで、アホウドリ。日本語ではかわいそうな名前ですが、ゴルフでは「イーグル」よりさらに一打少なくてホールアウトするという凄い事を「アルバトロス」といいます。英語の世界ではアホウドリはワシより「凄い」んでしょうか?


Dark Side of the Moon / Pink Floyd

2006-03-29 04:29:04 | Pink Floyd
最初に買ったオーディオは、
 FMレシーバー: ローテル
 LPプレーヤー: 中央電機
 スピーカー: 不明
というものでした。ローテルというメーカー、すぐにローランドと社名を変更したかと思うと、その後シンセサイザーで超有名になってしまいました。
購入したのは、秋葉原のトモカ電気。いまでこそ大きくなりましたが、当時はラジオ会館の片隅にありました。
5万円そこそこのセットだったと思いますが、可も無く不可も無くという当たり障りの無い音だったと思います。(しかし、かなり長い間使っていたので、音に不満は無かったようです)
中学の頃は、このオーディオセットでビートルズばかり聴いていました。

やがて、高校に入り、さすがにビートルズも聴くものがなくなった頃、世の中ではQueenやBad CompanyそれからBostonなんてバンドが流行り始めました。
そのころ、高校の友人と、となり駅の高田馬場BigBoxに出かけては、ビクター・ミュージック・プラザでLPを借りて聴くようになりました。Moody Bluesとか聴いていたような気がしますが、あるときPink Floydの「狂気」が置いてある事を発見して、聴いてみました。そのときは、あまりピンと来なかったのですが、このときの出会いが、その後現在まで続くプログレファンへの入り口になったのことは間違いありません。

高田馬場における「狂気」との出会いは、今にして思えば1975年ぐらいの事ではなかったと思います。アルバムの発売が73年らしいので、このとき既に発売から2年が過ぎています。そして、「正式」にこのアルバムと向かい合うまでは、さらに時間を要しました。「もう何年間もビルボード・トップ100チャートに乗り続けているよ。やっぱり凄いなぁ」なんてこと言いながら聴いていたような記憶があります。

PinkFloydの魅力というと、いろいろとあると思うのですが、ロジャー・ウォーターズの書く覚えやすい曲と、詩もその一つだと思います。このアルバムでは、LP時代のA面とB面がそれぞれ片面全部をメドレー形式で構成しているトータルアルバムとなっています。A面の1曲目「生命の息吹き」から「タイム」を通り過ぎ4曲目「虚空のスキャット」までは、人が生れてから老人になるまでが歌と音楽で語られています。
B面はシニカルな内容の「マネー」から始まり「Us and Them」「望みの色を」「狂人は心に」「狂気日食」(しかし、邦題が凄い事になってますね)へと続きます。アルバムタイトル「Dark Side of the Moon」邦題は「狂気」と付けられていますが、月の明るい面と暗い面。日常と、普段見えない狂気の世界、いわば二項対立の世界観を表しているのですが、LPのB面ではアルバムのテーマに沿った曲が並んでいます。そして「狂気日食」(現題はEclipse)では
 あなたが触るもの全て
 見るもの全て
 味わうも全て
と、ありとあらゆものの全てを列挙し最後に
 全ては太陽の下に調和を保つ
 しかし、太陽は次第に月に蝕まれつつある
(and everything under the sun is in tune
but the sun is eclipsed by the moon.)
と結ばれています。
ある意味、社会批判ともとれる内容ですが、アルバム発売後30年が経ってもあまり状況にかわりはありません、100年経っても変わらないでしょうし、100年前、1000年前でもあまり変わりなかった思います。つまりそれだけ普遍的なテーマについて歌っているのだと思います。実は、pink Floydがこれだけ売れているのは、早い時期から普遍的なテーマを見つけ出して、そのテーマに沿ったアルバム作りをしているからなのではないかと思います。そのあたりの売るための戦略のうまさ。ロジャー・ウォーターズにしてやられたという感があります。


1.Speak To Me/Breathe
2.On The Run
3.Time
4.The Great Gig In The Sky
5.Money
6.Us And Them
7.Any Colour You Like
8.Brain Damage
9.Eclipse

歌詞も是非読んでみてください。
Green is the colour