Fifthアルバムの録音とともに、エルトン・デーンがバンドを去ります。こうして、ソフトマシーンを支えてきたエルトンディーン-ヒューホッパー帝国の一角が崩れ去ります。
かわりに参加したのがカール・ジェンキンス。5thから参加したジョン・マーシャルに続きニュークリアスからの移籍組です。新メンバーになってソフトマシーンはまた動き始めます。まず、いままで、序数(3rdとか5th)でつけられていたアルバムタイトルが数字に変わり6そして7。そしてレコード会社の移籍。8にあたるアルバムには「Bundles/収束」というタイトルが付けられ、その後は音楽性も大きく変化していきます。
アルバム6は、3rdと同じLP2枚組。しかも半分はライブで、半分はスタジオ録音とこれも3rdとおなじ。そして3rd同様、新メンバーによる音楽の模索が為されています。その分、全体のまとまりがなく、ちょっと散漫な感じがします。
7。これはLP時代5に続けて買ったアルバムです。なんと、とうとうヒュー・ホッパーが抜けて、かわりに時々ゲスト参加していたロイ・バビントンが加わります。
ヒュー・ホッパーのベースが、ゴリゴリと大地に穴を掘って沈んでいくようだったのに対し、ロイ・バビントンのベースは、ともすれば浮遊してどこかに行ってしまいそうなバンドを大地につなぎ止める鎖のゴリゴリ感といいますか・・・奔放さを保ちつつ、しっかり地に足がついている感じがします。
リズム隊が代わることによって、バンドの性格が変わることがよくありますが、ジョン・マーシャル/ロイ・バビントンさらにバンドの頭としてのカール・ジェンキンスによって、7は今までアルバムとは印象が異る作品となっています。
まず1曲目からしてアップテンポでシンセサイザーが使われています。これはウェザーリポート意識している? というソフトマシーンにしては珍しい曲です。2曲目では一転して幻想的なスローナンバー。そして3曲目からアルバムの終わりまでが圧巻。5thで作り上げた幽玄の世界とはまた違った、どこか別の世界を旅しているような幻想的な雰囲気が広がります。その世界を歩くテンポを決めているのが、ロイのベース。そしてカール・ジェンキンスのペラペラしたオーボエの音。もう、何度繰り返し聴いたことかわかりません。
7の1曲目で、電子化の兆しを見せたソフトマシーンは「収束」でさらに電子化フュージョンバンドへの道を進みます。7を介して「ロイバビントンのベースライン=ソフトマシーン」という図式が造られないまま「収束」を聴くと今までのソフトマシーンとはまるで別物と思われるかもしれません。
そして「収束」の最大の聞き物はあのアラン・ワールズワースがギターとして参加していること。その指使いの速いこと速いこと。
でも、テクニックにばかり走った訳ではありません。6以降のソフトマシーンは、短い曲を組み合わせた演奏が多かったのですが、「収束」でその形が完成したように思います。
LP時代のA面はパート1から4に別れた「予期せぬ出来事」と短い「ゴーン・セイリング」という曲で構成されています。B面は「収束」から始まる組曲ドラムソロを経て、それまでの興奮を鎮めるかのような「フローティング・ワールド」。アルバムの最初から最後までが一つのコンセプトの下にまとまっていて、ここの曲の個性によって、全体が大きなうねりのなかでメリハリが利いている。昔ながらのソフトマシーン音楽を期待すると、全然違うものになっていますが、それでも聴いてみて納得させられてしまう、音楽としての名盤だと思います。
「収束」のあとは、ホールズワースが抜け、かわりにプログレバンドのウルフのぎたりすとジョン・エサーリッジが加入。次作「ソフツ」はさらにフュージョン色を強めた作品となっています。そして「アライブ&ウェル」。ホールズワースを彷彿とさせるエサーリッジの早引きと、息もつかせぬ演奏は相変わらずですが、アンコール曲のように付けたし(?)で収録されている「ソフト・スペース」。フローティング・ワールドをさらにトランスにしたような、フュージョンとも違った方向への前進を予感させつつ、ソフトマシーンは事実上解散してしまいます。実際のラストアルバムは「ランド・オブ・コカイン」ですが、これは聴いたことありません。
(その後カール・ジェンキンスはアディエマスで大ヒットをしばしますが、それまでにはまだ長い時間がかかります)
さて、3回にわたる長いイントロも終わり、やっと本題の「Floating World」。後期ソフトマシーンの絶頂期「収束」のメンバーによるライブです。購入したのは輸入盤ですが、ソフトマシーンレガシーの来日に合わせ、国内盤が出ていました。
収録曲は「収束」のB面を中心にして、いよいよ「予期せぬ出来事」、どんな展開になるのかと思ったところで、フェードアウト。録音が、ブレーメンのラジオ局とのこと。放送時間の都合でフェードアウトしているそうです。でも、録音された物はちゃんと最後まで演奏されているはず。CD化するときに放送の時のままというのは何だか納得できないですね。やっぱり最後まで聴きたい、どうしても聴きたい。是非完全版を出してほしいし、どこかに音源が残っていればきっと出てくると思います。
ライブということで、ベースソロやドラムソロという見せ場が入っていますが、全体としては「収束」の緊張感そのまま、聴き比べればスタジオ版よりかなり熱い演奏になっていると思います。「収束」のCDの入手が困難となったいまでは、完全版の発売を望みつつこのアルバムを聴いていることにしましょう。

Allan Holdsworth: electric guitar, violin
Mike Ratledge: Lowrey Organ, Fender Rhodes, synthesizers
Karl Jenkins: oboe, soprano sax, recorder, electric & acoustic piano
Roy Babbington: electric bass guitar
John Marshall drums: percussion
1. The Floating World
2. Bundles
3. Land of the Bagsnake
4. Ealing Comedy
5. The Man Who Waved at Trains
6. Peff
7. North Point
8. Hazard Profile
9. J.S.M.
10. Riff III
11. Song of Aeolius
12. Endgame
13. Penny Hitch (Coda)
「6」

Hugh Hopper: Bass guitar ( sound effects on 1983 )
Karl Jenkins: Oboe, baritone and soprano saxophones, electric piano and grand piano, celeste
John Marshall: Drums
Mike Ratledge: Organ, electric piano and grand piano, celeste
1. Fanfare / Between / Riff / 37 1/2
2. Gesolreut / E.P.V / Lefty / Stumble / 5 from 13 (for Phil Seaman with love and thanks) / Riff II
3. The Soft Weed Factor
4. Stanley Stamps Gibbon Album ( for B.O. )
5. Chloe and the Pirates
6. 1983
「7」

Roy Babbington: Bass guitar, Double bass
Karl Jenkins: Oboe, Baritone and soprano saxophones, recorder and electric piano
Mike Ratledge: Organ, synthesizer and electric piano
John Marshall: Drums and percussion
1. Nettlebed
2. Carol Anne
3. Days Eye
4. Bone Fire
5. Tarabos
6. D.I.S.
7. Snodland
8. Penny Hitch
9. Block
10. Down the Road
11. The German Lesson
12. The French Lesson
「Bundles」

Roy Babbing ton: bass guitar
Allan Holdsworth: electric, acoustic and 12 string guitar
Karl Jenkins: oboe, piano, electric piano, soprano saxophone
John Marshall: drums, percussion
Mike Ratledge : organ, electric piano, synthesizer
Ray Warleigh : alto flute and bass flute ( on Floating World only )
1. Hazard Profile Part 1
2. Part 2
3. Part 3
4. Part 4
5. Part 5
6. Gone Sailing
7. Bundles
8. Land of the Bag Snake
9. The Man Who Waved at Trains
10. Peff
11. Four Gongs, Two Drums
12. The Floating World
「Softs」

Roy Babbington: Bass
John Etheridge: Acoustic & Electric guitar
John Marshall: Drums, Percussion
Alan Wakeman: Soprano & Tenor saxophone
Karl Jenkins: Piano, Electric piano, Pianette, String & Mini moog
Mike Ratledge: Synthesizer on 4
1.Aubade
2.The Tale of Taliesin
3.Ban-Ban Caliban
4.Song of Aeolus
5.Out of Season
6.Second Bundle
7.Kayoo
8.The Camden Tandem
9.Nexus
10.One over the Eight
11.Etka
「Alive & Well」

John Marshall: drums and percussion
Karl Jenkins: piano, electric keyboards and synthesizer
John Etheridge: guitars
Rick Sanders: violin
Steve Cook: bass guitar
1. White Kite
2. Eos
3. Odds Bulletts and Blades pt I
4. Odds Bulletts and Blades pt II
5. Song of the Sunbird
6. Puffin
7. Huffin
8. Number Three
9. The Nodder
10. Surrounding Silence
11 Soft Space
その1
その2
かわりに参加したのがカール・ジェンキンス。5thから参加したジョン・マーシャルに続きニュークリアスからの移籍組です。新メンバーになってソフトマシーンはまた動き始めます。まず、いままで、序数(3rdとか5th)でつけられていたアルバムタイトルが数字に変わり6そして7。そしてレコード会社の移籍。8にあたるアルバムには「Bundles/収束」というタイトルが付けられ、その後は音楽性も大きく変化していきます。
アルバム6は、3rdと同じLP2枚組。しかも半分はライブで、半分はスタジオ録音とこれも3rdとおなじ。そして3rd同様、新メンバーによる音楽の模索が為されています。その分、全体のまとまりがなく、ちょっと散漫な感じがします。
7。これはLP時代5に続けて買ったアルバムです。なんと、とうとうヒュー・ホッパーが抜けて、かわりに時々ゲスト参加していたロイ・バビントンが加わります。
ヒュー・ホッパーのベースが、ゴリゴリと大地に穴を掘って沈んでいくようだったのに対し、ロイ・バビントンのベースは、ともすれば浮遊してどこかに行ってしまいそうなバンドを大地につなぎ止める鎖のゴリゴリ感といいますか・・・奔放さを保ちつつ、しっかり地に足がついている感じがします。
リズム隊が代わることによって、バンドの性格が変わることがよくありますが、ジョン・マーシャル/ロイ・バビントンさらにバンドの頭としてのカール・ジェンキンスによって、7は今までアルバムとは印象が異る作品となっています。
まず1曲目からしてアップテンポでシンセサイザーが使われています。これはウェザーリポート意識している? というソフトマシーンにしては珍しい曲です。2曲目では一転して幻想的なスローナンバー。そして3曲目からアルバムの終わりまでが圧巻。5thで作り上げた幽玄の世界とはまた違った、どこか別の世界を旅しているような幻想的な雰囲気が広がります。その世界を歩くテンポを決めているのが、ロイのベース。そしてカール・ジェンキンスのペラペラしたオーボエの音。もう、何度繰り返し聴いたことかわかりません。
7の1曲目で、電子化の兆しを見せたソフトマシーンは「収束」でさらに電子化フュージョンバンドへの道を進みます。7を介して「ロイバビントンのベースライン=ソフトマシーン」という図式が造られないまま「収束」を聴くと今までのソフトマシーンとはまるで別物と思われるかもしれません。
そして「収束」の最大の聞き物はあのアラン・ワールズワースがギターとして参加していること。その指使いの速いこと速いこと。
でも、テクニックにばかり走った訳ではありません。6以降のソフトマシーンは、短い曲を組み合わせた演奏が多かったのですが、「収束」でその形が完成したように思います。
LP時代のA面はパート1から4に別れた「予期せぬ出来事」と短い「ゴーン・セイリング」という曲で構成されています。B面は「収束」から始まる組曲ドラムソロを経て、それまでの興奮を鎮めるかのような「フローティング・ワールド」。アルバムの最初から最後までが一つのコンセプトの下にまとまっていて、ここの曲の個性によって、全体が大きなうねりのなかでメリハリが利いている。昔ながらのソフトマシーン音楽を期待すると、全然違うものになっていますが、それでも聴いてみて納得させられてしまう、音楽としての名盤だと思います。
「収束」のあとは、ホールズワースが抜け、かわりにプログレバンドのウルフのぎたりすとジョン・エサーリッジが加入。次作「ソフツ」はさらにフュージョン色を強めた作品となっています。そして「アライブ&ウェル」。ホールズワースを彷彿とさせるエサーリッジの早引きと、息もつかせぬ演奏は相変わらずですが、アンコール曲のように付けたし(?)で収録されている「ソフト・スペース」。フローティング・ワールドをさらにトランスにしたような、フュージョンとも違った方向への前進を予感させつつ、ソフトマシーンは事実上解散してしまいます。実際のラストアルバムは「ランド・オブ・コカイン」ですが、これは聴いたことありません。
(その後カール・ジェンキンスはアディエマスで大ヒットをしばしますが、それまでにはまだ長い時間がかかります)
さて、3回にわたる長いイントロも終わり、やっと本題の「Floating World」。後期ソフトマシーンの絶頂期「収束」のメンバーによるライブです。購入したのは輸入盤ですが、ソフトマシーンレガシーの来日に合わせ、国内盤が出ていました。
収録曲は「収束」のB面を中心にして、いよいよ「予期せぬ出来事」、どんな展開になるのかと思ったところで、フェードアウト。録音が、ブレーメンのラジオ局とのこと。放送時間の都合でフェードアウトしているそうです。でも、録音された物はちゃんと最後まで演奏されているはず。CD化するときに放送の時のままというのは何だか納得できないですね。やっぱり最後まで聴きたい、どうしても聴きたい。是非完全版を出してほしいし、どこかに音源が残っていればきっと出てくると思います。
ライブということで、ベースソロやドラムソロという見せ場が入っていますが、全体としては「収束」の緊張感そのまま、聴き比べればスタジオ版よりかなり熱い演奏になっていると思います。「収束」のCDの入手が困難となったいまでは、完全版の発売を望みつつこのアルバムを聴いていることにしましょう。

Allan Holdsworth: electric guitar, violin
Mike Ratledge: Lowrey Organ, Fender Rhodes, synthesizers
Karl Jenkins: oboe, soprano sax, recorder, electric & acoustic piano
Roy Babbington: electric bass guitar
John Marshall drums: percussion
1. The Floating World
2. Bundles
3. Land of the Bagsnake
4. Ealing Comedy
5. The Man Who Waved at Trains
6. Peff
7. North Point
8. Hazard Profile
9. J.S.M.
10. Riff III
11. Song of Aeolius
12. Endgame
13. Penny Hitch (Coda)
「6」

Hugh Hopper: Bass guitar ( sound effects on 1983 )
Karl Jenkins: Oboe, baritone and soprano saxophones, electric piano and grand piano, celeste
John Marshall: Drums
Mike Ratledge: Organ, electric piano and grand piano, celeste
1. Fanfare / Between / Riff / 37 1/2
2. Gesolreut / E.P.V / Lefty / Stumble / 5 from 13 (for Phil Seaman with love and thanks) / Riff II
3. The Soft Weed Factor
4. Stanley Stamps Gibbon Album ( for B.O. )
5. Chloe and the Pirates
6. 1983
「7」

Roy Babbington: Bass guitar, Double bass
Karl Jenkins: Oboe, Baritone and soprano saxophones, recorder and electric piano
Mike Ratledge: Organ, synthesizer and electric piano
John Marshall: Drums and percussion
1. Nettlebed
2. Carol Anne
3. Days Eye
4. Bone Fire
5. Tarabos
6. D.I.S.
7. Snodland
8. Penny Hitch
9. Block
10. Down the Road
11. The German Lesson
12. The French Lesson
「Bundles」

Roy Babbing ton: bass guitar
Allan Holdsworth: electric, acoustic and 12 string guitar
Karl Jenkins: oboe, piano, electric piano, soprano saxophone
John Marshall: drums, percussion
Mike Ratledge : organ, electric piano, synthesizer
Ray Warleigh : alto flute and bass flute ( on Floating World only )
1. Hazard Profile Part 1
2. Part 2
3. Part 3
4. Part 4
5. Part 5
6. Gone Sailing
7. Bundles
8. Land of the Bag Snake
9. The Man Who Waved at Trains
10. Peff
11. Four Gongs, Two Drums
12. The Floating World
「Softs」

Roy Babbington: Bass
John Etheridge: Acoustic & Electric guitar
John Marshall: Drums, Percussion
Alan Wakeman: Soprano & Tenor saxophone
Karl Jenkins: Piano, Electric piano, Pianette, String & Mini moog
Mike Ratledge: Synthesizer on 4
1.Aubade
2.The Tale of Taliesin
3.Ban-Ban Caliban
4.Song of Aeolus
5.Out of Season
6.Second Bundle
7.Kayoo
8.The Camden Tandem
9.Nexus
10.One over the Eight
11.Etka
「Alive & Well」

John Marshall: drums and percussion
Karl Jenkins: piano, electric keyboards and synthesizer
John Etheridge: guitars
Rick Sanders: violin
Steve Cook: bass guitar
1. White Kite
2. Eos
3. Odds Bulletts and Blades pt I
4. Odds Bulletts and Blades pt II
5. Song of the Sunbird
6. Puffin
7. Huffin
8. Number Three
9. The Nodder
10. Surrounding Silence
11 Soft Space
その1
その2