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至上の愛 / ジョン・コルトレーン

2006-02-23 06:58:34 | Coltrane
ゴングとピアノに導かれ、コルトレーンのサックスが♪パララヒ~パラリラパラリラと鳴り響き、音楽史上唯一無二のジャズ説教が始まります。
そう、このアルバムはもはや「ジャズ」という形を借りた、コルトレーン教の布教活動です。後の世では、世紀魔IIがアルバムの事を「教典」と呼んでいましたが、このアルバムこそ「教典」と呼ぶにふさわしいものだと思います。

全体は「承認」「決意」「追求」「賛美」の4部構成になっています。
第一部「承認」は前述したように♪パララヒ~と始まり、エルビン・ジョーンズ、マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソンという力強いリズム隊を従えた教祖コルトレーンが♪パララヒ~パラリラの説教をはじめます。やがて、あの一度聞いたら忘れられないお題目♪パパ~ララが始まります。しだいに高揚してきた教祖は、サックスを通した説教のもどかしさを感じたのか、とうとう自らの言葉によって「アラ~ブスプリム」と語り始めます。そしてメンバー全員で「アラ~ブスプリム」のお題目を唱えて第一部は静かに終わりを迎えます。

第二部「決意」は、第一部の静けさを受けて短いベースソロで始まったかと思うと、その静寂を打ち破るかのように♪パヒ~ラリラリラ~と教祖のお言葉が始まります。教祖のお言葉を、マッコイ・タイナーの軽やかなピアノが引き継ぎ、しばらく弟子達がピアノトリオ形式で議論を展開していきます。頃合いをみはからって、教祖がお言葉を発します。教祖と弟子たちの軽やかな掛け合いが続き、第2部はエンディングをむかえます。

第三部「追求」LP時代ですとB面の、のっけからの長いドラムソロ。これはただ事ではありません。やっとピアノとベースが入ってきたかと思うと、教祖は不在のまま。1分半程過ぎたところで♪パリラ~パリラ パリラ~パリラ タリラと教祖がお題目を唱えます。その後再び弟子達がお題目に添って議論を展開すると、再びおもむろに教祖が♪パリ~ラリラリラ~リラと議論に参加して教えを述べ始めます。教祖、ここで再び高揚したのか、次第に早口になり声を嗄らしながらの説教となります。最後は再びドラムソロ。それをベースが引き取り、ゆっくりとあのお題目「アラ~ブスプリム」を唱え第四部に引き継ぎます。

第四部「賛美」今まで寡黙だった弟子ジミー・ギャリソンがここで長いソロをとります。みな、黙想しながらその言葉を噛みしめます。第三部「追求」の白熱した議論とは一転し、皆静かに「アラ~ブスプリム」について思いを語り始めます。やがて、それが「アラ~ブスプリム」への賛美となり、祈りのような教祖の語りとなり、再び教典最初のテーマ♪パララヒ~パラリラ~がやってきて、教典は閉じられます。


John Coltrane(ts)
Elvin Jones(ds)
Jimmy Garrison(b)
McCoy Tyner(p)