経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

平沼・与謝野両氏への質問

2010-05-01 03:37:59 | Weblog
    平沼、与謝野両氏への質問

平沼および与謝野両氏の主導で、新党「立ち上がれ日本」が自民党から分離して誕生しました。私としては賛否相半ばする複雑な心境です。反民主党勢力を分断する、平均年齢68歳の老人軍団、という批判はともかくとして、新党の肝心な政策要綱に不安を抱きます。新党主脳である両氏に質問させて頂きます。
与謝野氏に対して。与謝野氏がリ-マンショックに対して冷静で緻密な経済対策を施行された事には、敬意を表する次第です。それはそれとして、与謝野氏は、新党の方針として、消費税増税と均衡財政を主張されておられます。この政策が真に遂行されれば日本は今以上の不況になります。世界経済の雲行きは楽観を許しません。状況次第で不況は深化します。増税と均衡財政といえば、井上準之助という不吉な名前を想起させられます。その二の舞にならないでしょうか?不況とかデフレというものは、多分に国民の心理によるところが大です。現在の弱気な心境の中で緊縮経済を実施すると、不況はますます増すでしょう。自民党が昨年の総選挙で大敗した理由を、考えて見ましょう。それは平成不況への当然の対策であるリコンストラクションが、国民に耐乏生活を強い、不況による倦怠感・厭世観を与えてしまったからです。与謝野氏の政策は常識ですが、常識ゆえに危惧感を抱きます。現在の経済情勢は単純な常識で対応できるものでしょうか?
平沼氏への質問。平沼氏の憲法改正には大賛成です。しかし平沼氏は郵政民営化に反対された。ここのところを財政あるいは景気対策の観点からどのようにお考えなのでしょうか?単に山村に郵便物が届きにくい云々の卑近で情緒的な観点ではなく、経済の観点から考えて下さい。郵政を国営にする事は、投資力を民間から奪い、極めて非効率的な融資を国家が主導する事を意味します。経済の原点は民間の市場にあります。民間の力を国家が奪っては立ち行きません。あくまで民間主導、そして時として国家が介入するのが、経済政策の常道です。亀井金融相のように、ペイオフの上限を大幅に上げ、保険料率を小さくするような、自己矛盾した政策で国民の人気を取りますか?あるいは前原国交相が言うような、郵貯の資金をすべて国家の政策の管理下に置きますか?
 与謝野、平沼両氏の経済政策は対立するのみならず、それぞれの内部に矛盾を抱えています。もう少し大胆で積極的な経済政策を考える能力は無いのですか?でなければ新党を立ち上げた意味は無いでしょう。
 現在民主・自民の両党の支持率は低迷し、25%前後を徘徊しています。民主党政府はすでに空中分解寸前にあり、思考停止状態に陥っています。いろいろの新党ができました。しかし新党設立者は、気楽な理想を宣言しても、日本の経済をどうするかという観点に立った、具体的な成長政策には言及しません。与謝野、平沼両氏、枡添氏、あるいは首長新党の発起人の方々、すべて同じです。新党の設立は一種の人気投票になる可能性もあります。「大阪維新の会」の橋本氏の主張にのみ、成長政策の一端を示唆するものがあるだけです。これでは日本の政治状況は一種のアナ-キ-になってしまいます。という事は、将来どんな政府が出現してもおかしくないということです。大胆な成長政策はあります。それは思い切った流通貨幣量の増大策と経済構造全体を転換させる新産業育成です。この政策提案のみが、現在の政治状況を収束させうる唯一の方途です。要は日本経済の潜在的パワ-を信頼できるか否かです。
関連諸氏のご賢察を請います。

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