経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

菅首相への更なる問い

2010-07-05 03:59:15 | Weblog
    菅首相への更なる問い

 菅首相、貴方は消費税率アップについて、明確な答と展望をお持ちなのですか?なにやら増額のご意向のようですが、はっきりした意見が伺えません。自民党は既に財政再建の見地から、消費税率を10%にすると明言しています。首相は自民党案を参考にするといわれるのですから、基本的にはこの方向でしょう。政権担当者としてまず、自らがはっきりと、消費税率をアップするのか否か、アップするのなら何%かを明言されるべきです。首相の態度は右顧左眄・首鼠両端の典型です。優しい言葉を用いれば、ウロウロしているということです。強大な権限を有する政権担当者がこの状態では、いかなる経済政策も効果を発揮しえません。  
 本来なら国会、特に予算委員会で、経済政策は審議されるべきです。それを放棄しあるいは、この作業から逃避したのは、菅首相ご自身ではなかったのですか?最重要な場を放棄して超党派で議論云々もありますまい。選挙に突入して野党がTVでの公開討論を要求すれば、吊るし上げだと、逃げる。政治の最高責任者はつるし上げにあっても、耐えて頑張るべき存在ではないのでしょうか?甘えにもほどがあります。討論を逃げるのは、政策遂行に自信がないからですか、それとも世論を無視して独裁政治を強行するためなのですか?吊るし上げといえば、安部内閣や麻生内閣の失点(それも時として微々たる)を捉え、朝日新聞などと共謀(?)して、世論を操作し、当時の内閣にあらん限りの悪罵をなげつけたのは、民主党自身ではなかったのですか。
 仮に財政再建を先行させて、増税路線をとるとしましょう。それで大丈夫ですか?私は増税には大反対です。それよりは国債発行を増やす方がいい。わが国の国債は、国民が国家に貸したものですから、景気浮揚まで国民に眼をつぶってもらえばいい。不況の時財政再建や増税、総じて緊縮財政を実行して効果のあったためしはありません。増税は消費を減少させます。単に数値だけの問題ではなく、気分が大切です。経済は弱気になれば切が無い。悪循環、デフレスパイラルに陥ります。こうならないだけの自信が首相にはおありなのですか?消費税のみならず、所得税も増税するという意見が一部にはあり無視できないようですが、それで宜しいのですか?均衡財政重視がいかなる結果になるかは、昭和5-6年(1930-31年)にかけて遂行された井上準之助蔵相の金解禁の結果を見ればよろしい。結果は流通貨幣量の収縮による、大不況でした。増税も同様の結果になります。
 福祉と増税をどう両立させられるのですか?福祉に金をばらまき、俗流ケインズ政策に基づいて愚考すれば、それが有効需要になり、消費が刺激されて、景気が良くなり、税収も増える、とお考えのようですが、それで大丈夫なのですか?福祉はだけで経済が立ち直ったという話は聴いたことがない。福祉を経済再生の基軸にすえるのなら、福祉を支える産業基盤特に製造業とどう連結させるか、つまり後方連関の問題がありますが、そこまで踏み込んで考えられておられるのでしょうか?要は徴収した税金の使い方だといわれるのなら、その機制の詳細と展望を伺いたいものです。
 農家への個別補償制度はどうされますか?これも歴史的愚案です。単なる選挙用の人気取り政策でしかありません。この政策の眼目は、生産費と販売価格の差額を政府が補償するという点にあります。例えば1ヘクタ-ルあたりの小麦の生産費はわが国では60万円ということですが、販売価格は6万円にしかならないと聞きます。差額54万円を政府が補償する事になります。これでは農業の自立はできません。農家から価格競争という、事業経営において最も重要なスピリットを奪い、日本の農業を補助金づけにするだけです。私は日本の農業は、資本主義的大農経営の方式をとる以外にはないと、思っています。現にこの経営方式で成功している農家は多いし、また日本の農業技術自身は極めて優秀です。個別補償制度は日本の農業を扼殺してしまいます。
 民主党は政権を取る以前に諸種の公約をし、マニフェストなるものを喧伝しました。いざ政権を取ると、何も実現できず、公約をすべて変更しました。ある程度の変更は許されるという方もおられますが、これほど極端な方向転換も珍しい。その最たるものが、消費税率アップの件です。公約では増税はしないと明言された。そして今増税やむなしのように言われる。なら変換への反省と将来への展望について、はっきりと説明されるべきです、菅首相は!しかし首相の態度は正反対でした。何事にも一切説明なし、臭いものにはふた、そしてすべては選挙に、です。国民を愚弄し、国政を壟断して、独裁政治を行わんとするものでしかありません。
 以下は、首相にではなく、世論一般に対して言いたい事です。現在不況不況と騒いでいますが、もう少し長い展望でものを見て欲しい。25年前のプラザ合意が転機です。この時点で先進国の資本と技術は過飽和状態になりました。この事態に対して、米欧は金融操作を手段とする内需拡大でもって対処し、日本は途上国への資本投下で対応しました。それで世界はなんとか生き延びてきた。現在世界的視野で見て、何が一番足らないかといえば、新基軸になる牽引力のある成長産業です。イノヴェ-ションの基本が足りないのです。だから新基軸を創造する以外に大なる発展の条件はありません。私はこの新機軸はすぐそこにあると思っています。要はやり方です。
 次に不況は日本だけではありません。世界中不景気です。むしろ日本の経済ポジションは優れています。自分たちだけだ、と思うから慌てて妙な政権を選ぶ事になります。鳩山政権から菅政権へのV字型回復は国民の軽挙さを示しています。もっとじっくりと考えるべきです。過去日本の歴史で四半世紀にわたる長期不況期はありました。日露戦争から満州事変にかけての時期、戦争と言う麻薬の効果を除けば、日本の経済は慢性的に不況でした。しかしこの間の技術革新あるいは技術の蓄積が、戦後の経済成長の基盤となったことは事実です。
 最後に、一見空想的とも思える提案をしてみましょう。保険診療における患者負担を一切ゼロにしてしまえばいいのです。もっともやり方次第ですけども。それ以上は皆様で考えて下さい。

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本の原点を探索 (山陰神話ロマン人)
2014-02-09 22:13:01


島根県の安来は古事記では根之堅洲国というところでスサノオの活躍地ですね。正確には十神島根之堅洲国となりますが長いので古事記では省略されています。この省略された、十神島というのは出雲国風土記では砥神島という陸繋島であったであろう現在の安来市の十神山です。この島は安来市のシンボルと見いわれ、きれいな円錐形をした小山ですが、古代の人たちにの崇敬した島だったらしいです。この十神というのはイザナギ・イザナミ以前の神々を指し、両神を含めその後の神代の時代と分けて神世と表現されます。この神世七代の十柱の神々が宿る神聖な島だったのだと言われています。ここは、中海という湾岸にあり、例えば淡島と古事記に見える島と認識しうる粟島が対岸の鳥取県米子市にもあり、ここがオノゴロ(淤能碁呂)島と考えると、近くに国生みの神、イザナミの神陵地、比婆山もあることから合理的なのではと思われます。
返信する

コメントを投稿