ロドス島の薔薇

Hic Rhodus, hic saltus.

Hier ist die Rose, hier tanze. 

日本はいつまでアメリカに甘えていられるか

2007年05月10日 | ニュース・現実評論

米副大統領、8日から中東4カ国歴訪=イラク支援・安定化が焦点に(時事通信) - goo ニュース

日本はいつまでアメリカに甘えていられるか

「自由の使徒」アメリカはイラク戦争問題で共和党と民主党で対立を深め国内も混迷を深めている。イラク戦争でアメリカが窮地に陥っているのをみて、日本国内でも反米主義者たちの多くはほくそえんでいるのではないか。


自爆行為や無差別テロで市民を殺戮し、スンニ派とシーア派の宗派対立をあおってイラク国内の民主的な体制の確立を遅らせ妨害している「テロリスト」たちこそ、早く武器を捨て、イラクの民主的な制度の確立に参加し協力して、その中で自らの政治的な目的を追求すべきでないのか。彼らがそれを承認さえすれば、アメリカはすぐにでもイラクから撤退してゆくだろう。


イラク戦争に大きな欠陥があったとすれば、それはその戦争目的にではなく、戦争後のイラクの「占領統治」における戦術に大きな欠陥があったためであると思う。しかし、今更そんな過去を振り返っても仕方がないので、アメリカは今後は、イラクの国内政治に関与する度合いを低くして自らは後方に退くと共に、イラクの「戦後復興」の役割を国際的な枠組みに肩代わりさせてゆかざるをえないだろう。先のエジプトでのイラク安定化外相会議は、武力でイラクを安定化させることに失敗したアメリカのやむをえない方針転換を示している。


そうして、いずれにしてもイラク戦争で疲弊しつつあるアメリカは、冷戦を勝ち抜いた唯一の大国としての「世界の憲兵隊」としてこれまで果たしてきた役割を今後は縮小してゆかざるをえないだろう。すでにドイツからはアメリカは主要な兵力は撤退させているし、また、韓国では半島で戦争が起きた場合の戦時作戦統制権が、2012年には韓国軍に戻され、今の韓米連合軍司令部も解体されることになっている。こうしたアメリカの政策転換は先の北朝鮮ヘの大幅な譲歩にも現われている。


こうしたアメリカの動向は日本にも影響を及ぼさざるをえない。アメリカ国内ではすでに、憲法に戦争放棄条項をかかえて独立して自国の防衛を果たすこともできない日本のために、日米安保条約で日本の防衛義務をになってゆくことを、重荷に感じ始めている。その端的な例が北朝鮮を巡る六カ国協議だった。極東アジアの問題にアメリカは深入りすることを避け、それらの問題は北東アジアの当事国自身に委ねようとするものだった。


安倍首相は先の訪米で、北朝鮮の拉致問題にも深くかかわりたくないブッシュ大統領やライス長官の袖を引っ張って、どうにかテロ指定国家の解除に慎重な態度をとらせることに成功はしたが、もし、このまま北朝鮮が時間稼ぎの中で核ミサイルを完成させて、アメリカ本土への直接攻撃を可能にすれば、日米安保条約も有名無実化するだろう。アメリカは自国民の多大な犠牲を覚悟して、日本の防衛に走ることはないだろう。そのときにはアメリカはその代償として日本が自国の自由と独立を守るために、核武装することを容認するかもしれない。

それを日本の自由と独立のための好機と見るべきか。しかし、いずれにしても、そうした状況は、ある意味ではアメリカ任せの日本の安全保障がこれまでのように暢気なものでは済まされなくなるということでもある。平和ボケはいつまでも許されないということかもしれない。


これまで日本国民は日米安保条約によるアメリカの庇護のもとで暢気に憲法第9条の戦争放棄条項を巡る神学論争を続けて来たが、アメリカという強力な後ろ盾を期待できなくなったそのときに、中国や北朝鮮、さらにはロシアの強大な武力の前にして、果たしてそうした状況をそのまま続けてゆけるだろうか。それとも、命さえあれば自由や独立はどうでもよいか。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 醜い日本人 | トップ | 現象と本質 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ニュース・現実評論」カテゴリの最新記事