ロドス島の薔薇

Hic Rhodus, hic saltus.

Hier ist die Rose, hier tanze. 

『ディープ・インパクト』の衝撃──文明の質

2005年07月06日 | 教育・文化

『ディープ・インパクト』衝突の画像、ネット上で速報 (HOTWIRED) - goo ニュース

 

先日の七月四日、この日はアメリカの独立記念日だった。日本では郵政民営化関連法案が、特別委員会で可決された日でもある。この日に宇宙では、アメリカ航空宇宙局(NASA)宇宙探査機『ディープ・インパクト』から発射された370キログラムの衝撃弾がターゲットのテンペル第一彗星に激突した。その際の映像もさまざまなサイトで見られる。

それにしても残念ながら、こうした宇宙探検のできる国は、今のところアメリカのみである。このアメリカは今、イランやイラクの国民から憎まれているが、冷静に客観的に見ても、毎日自爆攻撃で他殺自殺に励んでいるイスラム教徒と比べても、アメリカのキリスト教文明は自由で明るい。中東やアラブ諸国のいわゆるイスラム圏との文化文明の質の相異は明きらかだ。

 

宗教にせよ文化にせよ、その良否は果実によって識別できるとするならば、イスラム教は必ずしも良い果実を生んでいるようにも思えない。パレスチナの住民も、その多くはイスラム教徒で、ユダヤ人と比較しても、その生活水準の差は歴然としている。私は決して、アメリカに対して何の義理立てする必要もないし、アメリカにも嫌いなところは少なくない。また、個人的にはイスラム教は好きな宗教だが、過激派のそれは別だ。彼らの暴力的で狂信的な宗教には吐き気を催す。

 イランやイラクなどのイスラム諸国とアメリカのキリスト教の文化文明の差違は、諸国民の持っている自由度に比例していると思われる。イスラム諸国では、まだ多くの婦人は選挙権も持てず、チャドルを身につけることを強制されている。先のイランでの大統領選挙では、保守派のテヘラン市長が選び出されたが、この市長が信奉するような他人の死を叫び、憎しみを駆り立てるような宗教は、まともな宗教だとは思えない。要するに、多くのイスラム諸国では、「自由」が少ないのである。これは、これらの国の民主化の水準と比例している。それが宗教に起因するのかどうかは、私にはまだ良くわからない。

 イラクの国民にしても、一刻も早く、武器を捨て、全国民一体となって民主国家の建設に励み、国民が流血ではなく、アメリカが従事している宇宙探査のような科学研究に乗り出すことを願うものだ。イランにしても、核兵器に使うような原子力の研究を止め、科学技術の水準でアメリカと競争する段階に達して欲しいと思う。アメリカ国内の自動車の販売実績でGMやフォードを上回ったトヨタを生んだ日本を見習うべきである。

 日本についても、小泉首相の靖国神社参拝が問題になっているが、この靖国神社は戦後は一宗教法人過ぎない。そして、日本では、刑法に反しない限り、どんな宗教を信奉しようが自由な幸福な国である。ただ、忘れてはならないのは、この靖国神社が、今日のイスラム教徒のように、かってアメリカに向かって国民を自爆攻撃や玉砕に駆り立てた『宗教』であったことである。私にはアメリカに反抗している今日のイラク国民やイラン国民が、戦前の日本国民にダブって見える。残念ながら、どんなに公平な目で見ても、「靖国神社」の宗教や「イスラム教」という宗教が、キリスト教ほどに「人間的」であるとも思えない。

 今年の一月十二日にケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ、ほぼ六か月掛かって、四億三千百万キロメートル離れたテンペル第一彗星に向かって激突したそうである。このニュースとそれによって宇宙からもたらされた、衝突の映像を見ながら、それぞれの国家や国民の持つ宗教や文化文明の差違について考えざるをえなかった。

 

 


コメント (1)
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