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西川純『高校教師のためのアクティブ・ラーニング』

2016-03-10 | 政治・社会
 先日買った本を読み終えた.西川純・編『高校教師のためのアクティブ・ラーニング』.

 近年にわかに教育現場を賑わせている(混乱させているとも言う)アクティブ・ラーニングの,根本的な定義と高等学校における実践例を紹介したエッセー集.ここでは,生徒集団によるアクティブ・ラーニングの輝かしい効果と,意外なまでの手軽さが強調されており,次世代の教育法としての可能性を感じるに足る内容である.しかし,僕がこのごろ興味があるのは,少人数グループによる言語活動の充実であり,ちょっと手にする本を間違えた思いである.また,従来の授業形式に固執する教師たちから発せられるであろう不安に対しては,今のところ大丈夫だからこれからも大丈夫,というような逃げ方をしており残念.そこは是非,この半世紀で次々に教育改革に成功しているヨーロッパ諸国の情況とアクティブ・ラーニングの関係について,少しでも言及があるとよかった.実例の紹介にこだわるあまり,理論的に弱くなってしまった観が強い一冊であった.また,アクティブ・ラーニング導入のそもそもの動機を,もっぱら文科省の示達に求めるあたりも,独立した教育者らしい態度とは言えない.


西川純・編: 『高校教師のためのアクティブ・ラーニング』
東洋館出版社,2015,
ISBN978-4-491-03158-3

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