ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

映画「ウミヒコヤマヒコマイヒコ」

2018-10-11 | 映画・TV
 先日買ったDVDを観た.映画『ウミヒコヤマヒコマイヒコ』.

 インドネシア各地を旅しながら,熱帯の自然のなかで,人々の暮らしにまじって,その時と肉体に訪れる踊りを踊る田中泯を追ったダンスドキュメント.力強く大らかな山や海,また,そこに溶け込むようにして暮す農民たちの,稲作と歌・遊び・儀式が渾然一体になった神秘的な風俗に,始めは物怖じしながらも,田中は徐々に踊り始める.曰く踊りとは,体を動かせば成立するのではなく,踊らずにいられなくなるような環境や動機を含めて踊りであるのだ.村々の道端で踊る彼の周りで住民や通行人らは,不思議そうに眺めたり,ちょっかいを出したり,つられて踊り出したり,驚いて逃げて行ったりしながらも,その見慣れぬ存在を拒絶しない.なかでも,挙動の一々に見入り,大笑いしては駆け寄ってくる子どもたちの様子には,思わずこちらも気持ちが和む.田中の踊りは,きわめて静的なものでありながら,人体そのものの生々しい伸縮や痙攣を伴ったもので,テレビの画面を通して目撃しているだけの身としても,「見ていたい」というよりは,つい「見続けてしまう」独特の迫力に満ちている.なお,全編に亘り,田中自身のナレーションによって,旅のなりゆきや,人々との交流が言葉少なに振り返られるが,おそらくは同じく彼の手になると思しきその台本に,ややナルシシスティックというか,持って回った言い方がところどころで鼻に付くのは,難点.


映画『ウミヒコヤマヒコマイヒコ ―田中泯 ダンスロード インドネシア―』 (DVD)
デザイニングジム,HPDC-D0037
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映画「A2」

2018-09-20 | 映画・TV
 先日買ったDVDを観た.映画『A2』.

 旧オウム真理教の集団住居に潜入し,同教関連の騒動があれば現地へ走り,それぞれで繰り広げられる信者と近隣住民の衝突や交流の実態を追いかけたドキュメンタリー.まずは,オウム信者たちのどこまでも内気な素顔と,市民団体など反撥勢力との対話が,その最前線においては実はごく穏やかに行なわれていることが,強く印象に残る.また,いちいち仲裁にしゃしゃり出てくる警察が双方から疎ましがられているのには,失笑を禁じえない.撮影時,事件から数年が経過しているとはいえオウムを取り巻く状況は依然厳しく,敵意むき出しの世論やマスメディアから追及され続ける信者たちの暮らしは,やはり大混乱である.当時の報道を何となく憶えているだけの僕でも,彼らが河野さん宅を訪ねながらも終始ヘラヘラしている様子を観ていて,未だに嫌悪感が沸き起こってくるのだ.いっぽう,若い信者の一人のもとへ,新聞記者となった旧友がインタビューにやってくるシーンは,互いへの親しさと警戒,批判が言葉少ななやり取りに見え隠れし,和やかかつ面白かった.全編に亘って森監督は黙って撮り続けるが,ときどきカメラの後ろから意地悪な質問を投げかけ,相手側は押し黙ってしまうこともしばしば.かと思えば,そんな氏も別のシーンでは,深夜に胃洗浄の修行に勤しむ信者の傍らでなかなか寝付けなかったり,右翼団体を取材する際に街宣車に乗せてもらってはしゃぐなど,被写体となって笑われる役にも回るので,さほど憎たらしい存在でもない(その意味ではいちばんズルい).


映画『A2』
マクザム,MX-128S
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映画「乱世備忘 僕らの雨傘運動」

2018-09-12 | 映画・TV
 夕方,名古屋シネマテークにて,映画『乱世備忘 僕らの雨傘運動』をMと観た.2014年,民主的な選挙制度を求めて香港の街中にあふれた若者たちの,短くも激しかった闘いの日々を追ったドキュメンタリー.あくまで暴力によらない非武装のデモ隊が,最前線で機動隊とにらみ合い衝突する様や,路上に座り込む彼らに心ない罵声を浴びせる通行人の映像は,ほぼ同じ時期に東京で高まった安保法への抗議活動におけるそれと,そのまま重なって見えてくる.また,社会に一定の影響をあたえながらも,政治的な目的を果たすことなく,急速に勢いを失い,公の場から姿を消していった点も同じだ.なお,仮設テントの下で盛んに行なわれる彼らの議論は,おもに各占拠区とデモ隊の進退をめぐる些末な問題についてで,政治一般に言及するものが少なかったのは,やや肩透かしだった(もっとも,ドキュメンタリーにおいて,カメラの前で「起こらなかった」ことに不満を持っても始まらないのであるが….ただし,それが本当に起こらなかったことで,監督の作為によって除外されたものでないのかどうかは,僕には確かめようがない).その点,法科の学生だというレイチェルが,ある教授がインターネットに発信した迎合的なスローガンに憤って語った,民主政治への渇望とその達成に向けた基本理念は,まったくの正論を極めており何とも痛快だった.


映画『乱世備忘 僕らの雨傘運動』
(C)太秦,2016
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DVD「ハナシネコ」

2018-09-07 | 映画・TV
 先日買ったDVD『ハナシネコ』を観終えた.

 映画『レンタネコ』のスピンオフ番組として当時放送されたもので,市川実日子と歌丸師匠のたあいない漫才に始まり,首都圏および九州のネコたちとその生態,また,彼らを通じてふれあう猫好きたちを取材したもの.まあ言うなればドキュメンタリーの一種であるが,その内容はとことん平凡で,映像のなかで気ままに振舞うネコたちの姿が目に楽しいばかりである.


ハナシネコ (2DVD)
バップ,VPBF-13723
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映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」

2018-08-18 | 映画・TV
 先日買ったDVDを観た.映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』.

 おととしNHKが放送したものを録画して持っているが,再生に支障を来すようになったため,このたび購入.改めて映画の内容に触れれば,現在(といっても2007年)の不景気を立て直すべく,1990年の日本へタイムスリップし,バブル崩壊の阻止に奔走する親子をめぐる抱腹絶倒のドタバタコメディ.俳優陣も,ヒロインを務める広末の軽薄な演技が鼻につくのを別にすれば,キャラクターの立った顔ぶれが楽しませる.題材の特性上,すなわち現代とバブル期の対比を際立たせるため,とりわけ時代考証に本腰が入っており,街並みや服装の再現はもちろん,ポケベルとケータイへのクローズアップ,また,変化してしまった日本語が互いに通じずまごつくシーンなど,細部にも見るべき点は多い.劇中で代わる代わる流れるディスコ音楽も,とにかく耳に賑やか.もっとも,この物語での「現在」も,それから十年余りが経った今となっては,当時のファッションや暗い世相が思い出されて懐かしいものだ.
 付録の特典映像は,メイキング・インタビューともに平凡な内容で,何ら面白いものではなかった.とくに後者では,終始インタビュアーの相槌がうるさく不愉快である.いっぽう,制作の最終段階でボツになったというもう一つのエンディングは,現行版のそれと較べても,じゅうぶんに魅力あるアイディアだ.


映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』 (DVD)
ポニーキャニオン,PCBC-51230
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