ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

山口仲美「犬はびよと鳴いていた」

2019-01-17 | 日本語・言葉
 先日買った本を読み終えた.山口仲美・著『犬は「びよ」と鳴いていた』.

 日本語の特徴であり,かつ魅力の一つである豊富なオノマトペのボキャブラリーについて,近代以前のみならず以後の歴史的な用法および変遷の観点から詳述したルポルタージュ.そこから受ける印象としては,私たち日本人の擬態・擬音への感覚は古今和歌集の時代にすでにほとんど確立しており,揺るぎないという意外なものである.いっぽう,後半の動物の鳴き声論は,著者が自身のマニアックな好奇心を暴走させただけの,内容の煩雑さと読みにくさ.


山口仲美: 犬は「びよ」と鳴いていた ―日本語は擬音語・擬態語が面白い―
光文社,ISBN 978-4-334-03156-5
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こまつ座「父と暮せば」

2018-06-07 | 日本語・言葉
 昼すぎ,俳優座劇場にて上演された,こまつ座の『父と暮せば』を観た.あまりに有名な台本であり,僕もたびたび映像で接してその大部分を憶えているのであるが,それでもなお井上ひさしの力強く念入りな作風には,たちまちに引き込まれる.このような迫真の物語が一人の作家によって紡ぎ出されたことに,改めて驚くばかりだ.出演の両氏は,変に気取ったりせず生き生きとした役作りに徹しており,とくに娘の伊勢は才女という設定のわりに,親の言うことを聞かない駄々っ子のようである.ただし,劇中,激しいシーンになると,二人ともすぐに泣いてしまうのは気にかかった(われわれ観客は,役者がこらえた涙を,泣きたいのだ!).

 客席に自民の平沼氏と思しい姿あり.あの厳つい風貌で,スーツまで着込んで開演間近に現れるので,大いに周囲の注目を引いたようだった.


こまつ座 第122回公演: 井上ひさし作『父と暮せば』
【演出】鵜山仁
【出演者】山崎一,伊勢佳世
【日時】2018.6.7 14:00-
【会場】俳優座劇場
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沢辺有司「日本語 150の秘密」

2018-05-12 | 日本語・言葉
 先日買った本を読み終えた.沢辺有司・著『日本語 150の秘密』.

 日本語をめぐる至極キャッチーな話題―その成立ちから漢語・ローマ字との関連,国語教育や現代の流行り言葉に至るまで―を多数並べたエッセー集.個々の内容はよく調べられており,初めて知るような事がらも少なくないのであるが,本全体で何が言いたいのか今一つ分からず,冗漫な印象.また,細部で平凡な記述ミスを犯していたり,方言周圏説や敬語の正誤に関してはやや根拠の弱い決めつけをしているなど,論文として脇が甘いのも残念.


沢辺有司: 日本人として知っておきたい・日本語 150の秘密
彩図社,2016,
ISBN978-4-8013-0164-1
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中山裕木子「英語は3語で伝わります」

2017-11-27 | 日本語・言葉
 先日買った本を読み終えた.中山裕木子・著『会話もメールも英語は3語で伝わります』.

 シンプルでかつ伝わりやすい英作文の方法を,懇切丁寧に紹介したマニュアルブック.その技術の種類は多岐に渡っているが,僕なりに重要なポイントをまとめると次のとおり:
    ・be動詞を使うな!
    ・受動態でなく能動態を使え!
    ・誰でも知っている平易な単語を使え!
 とくに,三番目の項目に関しては,僕が今なお信条にしている,D.バーカー直伝の「辞書を引くな!知っている単語だけを使え!」にも大いに通ずるものだ.日ごろ高度な文法を用いようとして,却ってコミュニケーションを困難にしてしまいがちな僕たち日本人にとって,耳の痛い,しかし有益な教本だ.


中山裕木子: 会話もメールも英語は3語で伝わります
ダイヤモンド社,2016,
ISBN 978-4-478-06940-0
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むすび座「チト」

2017-08-25 | 日本語・言葉
 昼すぎ,緑文化小劇場にて上演された,むすび座『チト』を観た.石油利権をめぐって戦争は起ることや,軍事産業が現代社会を潤していること,法治主義の建前と現実,それらが生み出す貧富の差など,目をそむけたくなるような世の中の病理を,ごまかすことなく露骨に描いた脚本に対して,チトがあまりに幼稚で,いかにも「日本人受けする子ども」として演じられたことに大きな違和感.せっかくのバンド伴奏による歌のシーンも意外に少なく,打込みの音楽やSEに圧倒されていたのは残念だったし,その少なかった歌も,フォークソング崩れの粗末な代物ばかりでさらにがっかり.それでも,死んだヒゲさんを追いかけて主人公が天上へ行くラストシーンは美しく,ちびっ子のお客も多い会場を独特の静寂と共感が流れた(ように思った).また,ステージだけでなく客席にまで花がいっぱいに咲くしかけが施されていたのは壮観だった.

 帰りの電車内で,思いがけずHとKにそれぞれ会った.


人形劇団むすび座: チト みどりのゆびをもつ少年
【出演者】人形劇団むすび座
【日時】2017.8.25 14:00-
【場所】名古屋市緑文化小劇場
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