ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

中村亨「ガロアの群論」

2018-05-11 | 数学・科学
 先日買った本を読み終えた.中村亨・著『ガロアの群論』.

 ガロア晩年(といっても十代だが)の大きな成果である群論を用いて,代数方程式の可解性を詳述する.その内容はシンプルながらも本格的で,流し読みではなかなか理解に至らないところもあるが,ガロア理論の幾何学的な挙動は目に楽しい.また改めてじっくり読み返してみたい.


中村亨: ガロアの群論 ― 方程式はなぜ解けなかったのか ―
講談社,2010,
ISBN978-4-06-257684-0
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山田克哉「E=mc^2のからくり」

2018-04-12 | 数学・科学
 先日買った本を読み終えた.山田克哉・著『E=mc2のからくり』.

 有名なエネルギー質量の等価式の意味を解き明かすべく,ニュートン力学に始まり,エネルギー論,場の理論,もちろん量子論やアインシュタインの相対論を経て,最新の宇宙研究に至るまで,近代物理史の概観を述べる一冊.その語り口は厳密かつ分かりやすいというもので,しかも数式をほとんど用いない.それぞれの議題についても,簡略化しすぎることも,深入りすることもなく,ちょうどよい分量で解説しており,読み手に全体的な流れを掴ませることに十分な注意を払っていることが判る.ただ,肝心の等価式がそもそもどのような経緯で持ち出されたのかがまったく語られておらず,タイトルに適った内容であるかは少々疑問である.


山田克哉: E=mc2のからくり ―エネルギーと質量はなぜ「等しい」のか―
講談社,2018,
ISBN978-4-06-502048-7
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青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」

2017-12-30 | 数学・科学
 先日買った本を読み終えた.青木薫・著『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』.

 私たちの宇宙が,もしくはその仕組みを説明する各物理定数が,現在観測されるようなものに何故なったのか,「人間原理」の視点をも考慮に入れながら,科学史をいま一度洗い出すことによって明らかにする.そのなかで,近年にわかに定説となりつつある多宇宙の存在を前提にすれば,同原理はたんなる観測選択になるとの結論にいたるわけだが,そもそもこんな怪しげなアプローチを導入するまでもなく,宇宙のありようは「すべて偶然である」と済ませればよいのではないか?というのが正直な感想(そうすれば複数の宇宙すら仮定する必要がない).少なくとも,科学たるもの事実を事実として記述していれば十分なのであって,どういった理由で無用の解釈を持ち込もうとするのか,まったく理解できなかった.なお,この本,物理の基礎知識を網羅しようとして,却って本題がどこにあるのか判りにくくなってしまっている点は残念.「ところで」と言ってやたらと余談にずれ込むのも,著者のひけらかし以上のものではない.


青木薫: 『宇宙はなぜこのような宇宙なのか —人間原理と宇宙論—』
講談社,2013,
ISBN978-4-06-288219-4
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松浦壮「時間とはなんだろう」

2017-11-14 | 数学・科学
 先日買った本を読み終えた.松浦壮・著『時間とはなんだろう』.

 時間の実体をめぐって,ニュートン力学やマクスウェルの電磁気学から,相対論,量子論,最終的には超弦理論にいたるまで,物理学の発展のあらましを分かりやすく追った一冊.結局は,時間というものは僕たちが感覚的に捉えている以上に難しい存在で,それが何であるのか,ますます分からなくなってしまった感じもある.もちろん,これは宇宙のありようがそれだけ複雑で,依然として未解明の部分が多いということの顕れであるし,また,「時間」がどの研究分野にも不可欠のものとして登場することに,今さらながら驚くばかりだ.なお,全編に亘り,日ごろ文系学生を相手に講義するという著者の,専門家ぶらない柔らかな語り口は魅力.数式のたぐいはほとんど出てこないし,それぞれの理論にも深入りせず,概観を紹介するにとどめている.このなかではとくに,相対性理論での時間と空間の同一性,時間と重力の同一性に関する記述は,強烈かつ簡明で納得が行った.


松浦壮: 時間とはなんだろう —最新物理学で探る「時」の正体—
講談社,2017,
ISBN978-4-06-502031-9
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村山斉「宇宙は本当にひとつなのか」

2017-08-15 | 数学・科学
 先日買った本を読み終えた.村山斉・著『宇宙は本当にひとつなのか』.

 現代物理学において,暗黒物質・暗黒エネルギーがどのような経緯で存在せねばならなくなったか,また,それらと多元宇宙や超ひも理論との整合性を通じて,僕たちが生きる現宇宙の構造を読み解く.もちろん,研究はまだまだ発展途上にあり,いまどこまでが分かっていて,何が分かっていないのか,理路整然と説明してあるので非常に読みやすかった.また,量子論など詳述し出すと話が煩雑になるところはとことん「気にしないでください」と言ってノータッチだった(要するに自分で勉強しろの意味だ)のも,却って全体的な流れがはっきりして良かったと思う.


村山斉: 『宇宙は本当にひとつなのか —最新宇宙論入門—』
講談社,2011,
ISBN978-4-06-257731-1
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