ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

G.シュワルツ+シアトル響=ストラヴィンスキー「火の鳥」他

2018-11-22 | 音楽 - ストラヴィンスキー
 先日買ったCDを聴いた.G.シュワルツ指揮+シアトル交響楽団による,ストラヴィンスキー『火の鳥』ほか.

 同じ演奏を収めたディスクを15年ほど前にも購入して持っているのであるが,そちらはN.マカロワによるナレーションが重ねられており,これが終始うるさく肝心の音楽をかき消すのが鑑賞にあたり煩わしいため,本盤にリトライ.改めて感想を述べれば,全編を通して,やや遅めのテンポを採り,譜面を丹念に再現した演奏.シアトル響は,力強くも決してくどくならない明瞭なアンサンブルが魅力で,とりわけ木管ソロの美しくくぐもった独特の音色は印象に残る.ただし,曲中のところどころで譜読みミスが聴かれるのは残念.シュワルツの曲作りはパート間の音量バランスや,内声の動きによく耳を傾けた丁寧なものであるが,各フレーズの開始時にいちいち僅かな溜めが入り,音楽の横の流れを悪くしている嫌いあり.録音は鮮明.


STRAVINSKY: The Firebird・Fireworks
Seattle Symphony,
Gerard Schwarz (conductor),
NAXOS,8.571221
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R.ウォーターズ他=ストラヴィンスキー「兵士の物語」

2018-11-07 | 音楽 - ストラヴィンスキー
 先日買ったCDを聴いた.R.ウォーターズ語り+BCMFミュージシャンズによる,ストラヴィンスキー『兵士の物語』.

 一人で三役の語り手を担うR.ウォーターズの,穏やかながらも声色豊かな演じ分けは耳に快適.とくに,複数の俳優によってこれらを配役してしまう上演が増える昨今,どうしてもうるさくなりがちなストーリー描写を,絵本の読み聞かせのようにごく自然に進めていくところが良い.いっぽう,劇中たびたび聴かれる,作曲者が楽譜上にあえて指定してバンドの強奏時に語り手に喋らせるシーンは,音量バランスという点で二者をいかに両立させるのかが一つの聴きどころであるとも言えるのだが,ここでは語りのタイミングをことごとく前後へずらしてそのスリリングな衝突から逃げており残念.また,全編に亘りストーリー上の効果音をパーカッションによって再現するのは,そんなもの聴き手に自由に想像させればじゅうぶんなのであり,まったくの蛇足と感じる.さらに,ラミューズの原作をもとに新しく書き改められたテキストは,意欲作であるとともに分量が増え,ストーリーの進行を重くしてしまった印象も(なにしろ全体で80分近くかけている).
 BCMFミュージシャンズによる演奏隊は,やや遅めのテンポを採って曲の造形を細部まで描き出す,譜面遵守と高い技術のアンサンブル.ただ,緩徐ナンバーなどでその丁寧な足取りがたたって,音楽が停滞ぎみになるのは遜色.録音は極めて優秀.


IGOR STRAVINSKY: THE SOLDIER'S TALE
Roger Waters (narrator),
BCMF Musicians,
Sony Music Entertainment,19075872732
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G.ヒメノ+ルクセンブルクフィル=ストラヴィンスキー「バレエ作品集」

2018-11-05 | 音楽 - ストラヴィンスキー
 先日買ったCDを聴き終えた.G.ヒメノ指揮+ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団による,ストラヴィンスキー・バレエ作品集.

 どのナンバーもやや遅めのテンポを採り,譜面の隅々まで正確に再現した演奏.ルクセンブルク・フィルは,特色には乏しいながらも高水準の技術に安定しており,何より強奏時にも混濁しない率直なアンサンブルは魅力だ.ヒメノの曲作りは,各パートを明るい音色で鳴らしてストラヴィンスキーのきめ細かいオーケストレーションをじゅうぶんに聴かせるいっぽうで,音楽の生き生きとした流れやスピード感といったものには関心がないようだ.いっさいのカンタービレを排した旋律の扱いもぎこちなく,終始平板な印象をあたえる.つねづね思うに譜面を大切にするというのは本来,表現の結果として譜面どおりになることであり,「ただ譜面をなぞれば譜面どおりの演奏」というのでは,まったく転倒した方法論と言わざるをえない.録音は極めて優秀であるが,弦セクションにいささか近接.
 おととしの蘇演以来,このごろ演奏機会が急増する「葬送の歌」は,初期のストラヴィンスキーらしいロマンティックな作風が美しく響くものの,やはり曲全体としては冗漫で,繰返し聴きたいとは思わない.というのも,いくら恩師の死に寄せて書かれたものとはいえ,むやみに悲痛な曲想があるだけで,そこへこちらが共感していく余地を残していないのだ.「悲しみ」を「悲しみ」で塗りたくって描写してしまう感性というのは,例えるなら,舞台上で自分が泣いてみせれば観衆も泣くと勘違いしている三流役者のようだ.


IGOR STRAVINSKY: Le Sacre du Printemps et al (2SACD-Hybrid)
Orchestre Philharmonique du Luxembourg,
Gustavo Gimeno (conductor),
PENTATONE,PTC 5186 650
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V.ゲルギエフ+マリインスキー劇場管=ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」「カード遊び」

2018-10-19 | 音楽 - ストラヴィンスキー
 先日買ったCDを聴いた.V.ゲルギエフ指揮+マリインスキー劇場管弦楽団による,ストラヴィンスキー『ペトルーシュカ』&『カード遊び』.

 両ナンバーとも,やや遅めのテンポを採り,バレエの各場面を力強く描き出した演奏.マリインスキー劇場管は,アンサンブルというよりむしろソロイスト集団というような,即興的かつ競奏的な趣きに満ちたサウンドがある種の魅力だが,パーカッションを中心に平凡なミスや譜読みのエラーが散発するのはやはり看過しえぬ瑕疵である.ゲルギエフの曲作りは,ところどころで粘っこいアーティキュレーションを聴かせるもので,とくにそれは『ペトルーシュカ』で土俗的な曲想を強調する.ただし,そのことが裏目に出て音楽の流れを停滞させる傾向がないではない.録音は鮮明であるが,弦楽器群に些か近接.


STRAVINSKY: PETRUSHKA | JEU DE CARTES (SACD-Hybrid)
Valery Gergiev (conductor),
Mariinsky Orchestra,
MARIINSKY,MAR0594
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石丸幹二他「兵士の物語2018」

2018-10-04 | 音楽 - ストラヴィンスキー
 夜,大垣市民会館にて行なわれた,石丸幹二ら出演の『兵士の物語 2018』を観た.全体として,ラミューズの台本からいったん離れて,ありふれたファンタジックなおとぎ話の一つとして再構成した,現代人向け「兵士」であるが,そのあまりに丁寧なシーンの作り方が説明的にすぎる印象.舞台装置と衣裳はえらく豪華で,俳優の人数も多い.そうして細部までじっくりと描くストーリーの展開が,一通りの見方しか許さぬようで押し付けがましく,そのスピード感としても,とかく間延びして鈍重であった.また,悪魔はあんなにグロテスクな出立ちで現れる必要があっただろうか?悪魔は,怖い格好をしているから怖いのではなく,いつでも平凡で善良な人間を装ってさりげなく接近し誘惑してくるからこそ,怖いのではないのか.今日のステージを眺めながら,この音楽劇は,少人数で素朴に演じられて初めて,その不条理さとワケの分からなさが際立って面白いのだということに,却って気付くことになった.前口上での無関係なドンチャン騒ぎも品がなく,心底退屈だった.
 いっぽう,主役たちの「音楽的分身」でもある楽隊はといえば,コルネットに僅かなミスが出た以外は,正確な演奏とアンサンブルに安定していた.何より,全編に亘りフォルテとそれ以上の強奏しかないのではないかというようなパワフルな音響が,電子増幅を通した俳優たちの演技やせりふをもかき消さんばかりに,広すぎるホールの隅々にまで音楽を行き渡らせてやろうという率直な意志に満ちており,まさに劇伴バンドの真骨頂を見せられた思いがした.

 それにしても,会場である大垣市民会館は,敷地内に歩行者のための通路がまったく存在せず,公共交通機関として唯一のアクセス手段である路線バスも,ホール前まで乗り入れながら来場一般の車輌に入り混じって,客を乗せたまま立ち往生するなど,いかにも旧態依然の公立施設といったふう.できればもう二度と行きたくない.


兵士の物語 2018
【出演者】石丸幹二 (語り手),首藤康之 (兵士),渡辺理恵 (王女),串田和美 (悪魔) ほか
【演奏者】郷古廉 (ヴァイオリン),谷口拓史 (コントラバス),カルメン・イゾ (クラリネット),長哲也 (ファゴット),多田将太郎 (トランペット),三田博基 (トロンボーン),大場章裕 (パーカッション)
【日時】2018.10.4 19:00-
【会場】大垣市民会館 大ホール
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