ケニチのブログ

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大井剛史+東響=伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」他

2018-10-07 | 音楽 - 伊福部昭
 昼すぎ,ミューザ川崎にて行なわれた,東京交響楽団の演奏会をPと聴いた.めあての「タプカーラ」は,終始やや遅めのテンポを採り,歌うところでは伸びやかに歌い,踊りのリズムになれば大いに活気づいて烈しいオスティナートを叩き付ける,コントラスト豊かな充実の演奏.大井率いる東響は,ヴァイオリンソロなどに僅かなミスが出たのと,テンポの変わり目で指揮者のあいまいな棒に起因してアンサンブルの不揃いが聴かれたことのほかは,正確な技術に安定しており,また,伊福部の悠大な音楽に欠かせない管打楽器群の強奏はじゅうぶんで,迫力があった.

 珍しいほかのナンバーにも触れておくと,いずれも初めて接する曲で,少し緊張して聴き入った.深井曲は確かにフランス色に傾倒しがちで没個性的ではあるが,きめ細やかなオーケストレーションが目に耳に楽しく満足.いっぽうの早坂・小山曲はごくありふれた平凡な作風で,とくに前者の協奏曲は,抑揚に乏しい単調な楽想が30分余り延々と続き,退屈極まりなかった.


川崎定期演奏会 第68回
【演奏者】阪田知樹 (ピアノ),大井剛史 (指揮),東京交響楽団
【日時】2018.10.7 14:00-
【会場】ミューザ川崎 シンフォニーホール
【曲目】
■深井史郎: 架空のバレエのための三楽章
■早坂文雄: ピアノ協奏曲
■武満徹: 雨の樹素描II (ソロイスト・アンコール)
■小山清茂: 弦楽のためのアイヌの唄
■伊福部昭: シンフォニア・タプカーラ (1979年改訂版)
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藤田崇文+札響「伊福部昭トリビュート」(CD)

2018-08-22 | 音楽 - 伊福部昭
 先日買ったCDを聴いた.藤田崇文指揮+札幌交響楽団による,『伊福部昭トリビュート 春の音楽祭インキタラ』.

 伊福部昭のテレビ・映画音楽を中心にした祝祭的コンサートで,僕も会場で聴いたもの(「藤田崇文+札響「伊福部昭トリビュート」/2018-03-20」)のライヴレコーディング.作編曲をも兼任する藤田のタクトのもと,札響はやや表情が硬いながらも安定したアンサンブルを聴かせている.とくにパーカッションの強弱の表現にはじゅうぶんに気を遣っており,大音響続きのプログラムを,あくまで節度を持った迫力とアクセントのなかに再現する.録音は各セクションを鮮明に捉えて良好.

 それにしても,藤田・真島曲の吹奏楽サウンドは(ここではオーケストラにリダクションされているとはいえ),耳当りを繕っただけのいかにも「教化音楽」的な作風で,好きになれない.


伊福部昭トリビュート 春の音楽祭インキタラ
藤田崇文 (指揮),札幌交響楽団,
ポニーキャニオン,PCCR.90079
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A.バッティストーニ+東京フィル=伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」他

2018-05-04 | 音楽 - 伊福部昭
 先日買ったCDを聴いた.A.バッティストーニ指揮+東京フィルハーモニー交響楽団による,伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」ほか.

 全編とも極めて遅いテンポを採り,スコアを丁寧に再現した演奏であるが,その慎重な足取りが裏目に出て,音楽の流れがとかく疎かである.とくに,内声パートが終始うるさく,下手なアナリーゼを聴かされているような気分で,この曲が湛える北の大地の広々とした情景や,それを讃仰する人々の歌と踊りがまったく見えてこないのだ.東京フィルは安定した技術を聴かせるものの,ところどころで管打楽器セクションに譜読みのエラーあり.また,ラスト近くのピッコロの見せ場では,16分音符に勝手なレガートを付けており,ひたすらなオスティナートで駆け抜ける本来のニュアンスが殺されているのは残念.録音は鮮明であるが,各楽器群に近接しており,残響も少ないため,全体的な雰囲気に欠ける.
 併録の「新世界交響曲」についても,同様の感想.なお,終楽章コーダにシンバルの一撃が追加されているが,これは絶対に要らない.

 それにしても,『BEYOND THE STANDARD』と題されたこのシリーズ,クラシックのスタンダードナンバーと日本の作曲家によるオーケストラ曲をカップリングするものらしいが,いったいどのような購入者層を想定しているのだろう?日本の音楽を取り上げてほかとの差別化を図りたいが,それでは売れないので誰でも知っているような名曲をくっつけた,というような歯切れの悪さを感じるといえば邪推だろうか(ブックレット中の解説者もドヴォジャークと伊福部昭の共通点を何とかこじ付けようと躍起になっており,読んでいて気の毒なほどだ).実際,このアルバムの尻にも伊福部の「SF交響ファンタジー」からゴジラのメロディのみを抜粋して収録しており,聴き手はどうせ「タプカーラ」なんか知らねえだろうから,ゴジラでも入れておけば喜ぶだろう,という浅はかな発想が見え透いてしまうのだ.


ドヴォルザーク:「新世界より」/伊福部昭: シンフォニア・タプカーラ (UHQCD)
アンドレア・バッティストーニ (指揮),
東京フィルハーモニー交響楽団,
日本コロムビア,COCQ-85414
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大茂絵里子+名フィル=伊福部昭「ラウダ・コンチェルタータ」他

2018-04-20 | 音楽 - 伊福部昭
 夜,旧市民会館にて行なわれた,名フィルの定期演奏会を聴いた.めあての『ラウダ・コンチェルタータ』は,やや速めのテンポでたたみかけるオスティナートと,息を飲むようなマリンバの弱奏とが交互にやってくる,動静のコントラスト豊かな演奏.ゲルゴフ率いる名フィルの伴奏も,適度なアクセントを効かせた充実かつ品やかなサウンドで,ソロイストを引き立てていた.惜しむらくは,各フレーズの終わりに指揮者の要求によると思われるルバートが聴かれ,これが些かワンパターンの印象を与えないでもなかった.


名古屋フィルハーモニー交響楽団 第456回定期演奏会〈ドストエフスキー/死の家の記録〉
【演奏者】大茂絵里子 (マリンバ),ロッセン・ゲルゴフ (指揮),名古屋フィルハーモニー交響楽団
【日時】2018.4.20 18:45-
【場所】日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
【曲目】
■ヤナーチェク=イーレク編: 歌劇『死者の家から』組曲
■伊福部昭: マリンバとオーケストラのためのラウダ・コンチェルタータ
■日本古謡: さくらさくら (ソロアンコール)
■ゴレミノフ: 弦楽のための5つのスケッチ
■ヤナーチェク: シンフォニエッタ
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藤田崇文+札響「伊福部昭トリビュート」

2018-03-20 | 音楽 - 伊福部昭
 夜,札幌コンサートホールKitaraにて行われた,藤田崇文指揮+札幌交響楽団による,『伊福部昭トリビュート』を聴いた.伊福部曲に一貫した独特のオスティナートの手法はやはり圧倒的で,初めて聴く札響もごく自然で明るい音色のアンサンブル.とくに僕がめあてにしていた「タプカーラ」からの抜粋は,スタイリッシュさと熱気の両立した,快適な演奏だった.

 いっぽうのプログラム前半は,協賛会社の創業者による場違いなスピーチと,HBCアナウンサーの緩慢な司会にうんざりしていたところ,東北震災にちなんだという交響詩がこれまた,ムード音楽崩れのどうしようもない代物で,とにかく興醒めだった.演奏前に,今日の指揮者でもある作曲者が話したように,何かの悪い冗談であることを願うばかりである.


北海道命名150年“伊福部昭トリビュート”春の音楽祭
【演奏者】藤田崇文(指揮),札幌交響楽団
【日時】2018.3.20 19:00-
【会場】札幌コンサートホールKitara 大ホール
【曲目】
■ショスタコーヴィチ: 祝典序曲
■ハチャトゥリアン: バレエ組曲「ガイーヌ」より レスギンカ・剣の舞
■藤田崇文: 交響詩「奇跡の一本松」
■芥川也寸志: 交響管弦楽のための音楽 第2楽章
■真島俊夫=藤田崇文編: 交響詩「波の見える風景」
■伊福部昭: HBCラジオ・テーマ曲「ウポポ」
■ 〃 : HBCテレビジョン・テーマ曲
■伊福部昭=藤田崇文編: 交響詩「聖なる泉」
■伊福部昭: SF交響ファンタジー第1番
■ 〃 : シンフォニア・タプカーラ 第3楽章
■ 〃 : 北海道讃歌 (アンコール)
■藤田崇文: 伊福部昭に捧げる「北の舞」(アンコール)
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