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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ガレとジャポニズム展

2008-05-09 23:34:14 | ART
六本木のミッドタウンに赤坂見附から移転OPENしたサントリー美術館。
なかなか訪れる機会がありませんでしたが、4月末の雨の金曜日、人気の「ガレとジャポニズム展 Galle and Japonisme」を見て参りました。

初日早々に行った方のお話ですと、内容はとてもよかったけれどもヒトが多くて・・・とのこと。
サントリー美術館は週末、水曜から土曜、20:00まで夜間開館をしており、そのことがあまり知られていないせいか、大変ゆったりと展示を見ることが出来ました。



ガレは1834年生まれ。19世紀後半、日本からの美術工芸品が巻き起こしたジャポニズムと呼ばれるブームの只中で、「ナンシー生まれの日本人」と称されるほどに、日本の美術に影響を受け、ガラス工芸品を中心とする作品の中でその理解を深化させていきました。
上の写真は彼の最晩年1904年の作品で、心から愛したといわれる蜻蛉のモチーフが脚付杯に大胆に配されています。

展示は、ヨーロッパスタイルの工芸品に日本のモチーフを転用した初期のジャポニズムから、日本人画家との出会い、日本美術の精神面への開眼などを通して、独自の視点で新たな美を発見・表現していく後期の作品まで、30年あまりに渡る140点の作品で構成されています。



上は1881年の植込鉢、可愛らしい鳩をモチーフにしていますが、スタイルはヨーロッパのものですね。



1878年作品のバッタの花器。
ヨーロッパでは昆虫や野の花などを美術工芸品のモチーフとすることはなく、自然の中の”小さきもの”を観察し、慈しみ、詳細を絵柄として表現する日本画の視点が、当時、興味を持って受け入れられたことを示しています。



作品は1889年「アモールは黒い蝶を追う」という蓋付杯。
日本の茶碗で漢詩を記したものなど、詩画一致、をテーマに詩と工芸を一体化させるなど、次第にモチーフのみならず、その精神まで深く探求したガレの姿勢が見られます。

実際、当時彼らが参考にしたという江戸時代の文献などの展示もあり、また日本人にしてフランスに渡って画業を続けた高島北海との交流の様子なども興味深く、単なるエキゾチシズムではない、日本への憧憬・文化への理解がこの時代に息づいていたということが作品から伝わり、とても面白い展示でした。

11日の日曜日が最終日です。