mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

ヘアスプレー Hairspray

2008年05月06日 | Weblog
監督/振付/製作総指揮:アダム・シャンクマン『キャプテン・ウルフ』
製作:クレイグ・ゼイダン&ニール・メロン『シカゴ』
作曲/作詞/製作総指揮:マーク・シェイマン
作詞/製作総指揮:スコット・ウィットマン
脚本:レスリー・ディクソン
撮影:ボジャン・バゼリ
編集:マイケル・トロニック
出演:
ニッキー・ブロンスキー(トレイシー・ターンブラッド)
ジョン・トラヴォルタ(エドナ・ターンブラッド)
クリストファー・ウォーケン(ウィルバー・ターンブラッド)
ミシェル・ファイファー(ヴェルマ・フォン・タッスル)
ブリタニー・スノウ(アンバー・フォン・タッスル)『キャプテン・ウルフ』
アマンダ・バインズ(ペニー・ピングルトン)
アリソン・ジャネイ(プルディ・ピングルトン)
ジェームズ・マースデン(コーニー・コリンズ)
クイーン・ラティファ(モーターマウス・メイベル)
ザック・エフロン(リンク・ラーキン)
イライジャ・ケリー(シーウィード)
ジェリー・スティラー(ミスター・ピンキー)
2007/米/117min.  ☆☆☆☆☆

 この2007年版ヘアスプレー(Hairspray)は1987年のオリジナル同名映画(ジョン・ウォーターズ監督によるコメディ映画)を原作に舞台化し、2003年度のトニー賞で8部門を獲得した、大人気ブロードウェイ・ミュージカル劇を『シカゴ』の製作陣が映画化したものです。ジョン・トラヴォルタが特殊メイクで巨漢の女性を演じた事でも話題を呼びました。オリジナル映画から、ヒロインは新人を起用することや、母親のエドナ役は男性俳優が演じること等は、今回もしっかり踏襲しています。ヒロインを演じるのは、1000人以上の中から選出された18歳のシンデレラ・ガール、ニッキー・ブロンスキー。さらにエドナ役には、『シカゴ』への出演を3度断ったジョン・トラヴォルタを、約1年かけて口説き落としたそうです。この母と娘2人の息が不思議なほどピッタリだし、ニッキーから溢れ出る(!)“幸せ”パワーと言ったら、人種差別というシリアスな問題に話がいっても、ハッピーな作品の雰囲気がまったく色褪せません。ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、「ハイスクール・ミュージカル」で大人気のザック・エフロンなど、豪華な脇役陣の歌う各ナンバーも最高です(※文末参照)。60年代のヒットナンバーをあえて使わず、このミュージカルのために作曲したナンバーにしたのが、より良い結果につながった気がします。また映像は、60年代の小道具を使いつつも、現代のビデオクリップを観ている人でも飽きさせないような躍動感溢れるもので楽しめます。参考までに、1988年版の監督のジョン・ウォーターズは、「近所の露出狂のおじさん」役で少し顔を出しています。また、ジョン・ウォーターズ版で父親ウィルバーを演じたジェリー・スティラーが洋品店の主人役で出演しています。
 映画冒頭からまさに「ブロードウェイミュージカル」って感じのノリのいい曲に元気一杯の歌詞。朝だっていうのに主人公のトレイシーのテンションの高さ。始まってすぐにHAIR SPRAYの世界に引き込まれます。キャラクター達も魅力的です。ダサかっこいい主人公の憧れの人、リンク。見た目はド迫力なのに、実は乙女な主人公のママ。いつもは頼れる存在なのに、天然でどこか抜けてる主人公のパパ。そして、何と言っても主人公のトレイシー。彼女が持ち前の明るさとパワーで困難に立ち向かい、周りの人を変えて、勇気を与える姿があなたにも届きます。冷静に考えるとストーリー的に無理がある所もありますが、これはミュージカル、音楽、テンポの良さ、そして主人公トレイシーのパワーと底抜けの明るさがあれば大丈夫って思えます。彼女はとても活き活きしてます。踊っているときの笑顔と言ったらホントにキュートです。でも一番可愛いのは、なんと言っても母親役のジョン・トラボルタです。スタイルで勝負しているダンサーよりも年齢・性別を通り越して全然素敵なのです。彼女(?)だけでも見る価値があります。歌も踊りも見てるだけで楽しい気分になります。つらい時、ちょっと落ち込んでいる時にでも前向きな気持ちになれる、明るくてハッピーな映画です。
 
 1962年、アメリカ合衆国ボルチモアに住む16歳のトレイシーは、ダンスとおしゃれが大好きなビックサイズの女の子。夢はヘアスプレー企業が贈る、ティーンに人気なボルチモアで最高にホットなダンステレビ番組『コーニー・コリンズ・ショー』に出演して憧れの人気ダンサー、リンクと踊るという、体型など一向に気にしない天真爛漫ぶりであった。
 ある日、ショーのメンバーのオーディションが開催されることを知ったトレイシーは一生のチャンスと思い、受けさせて欲しいと両親にお願いする。巨漢の母親エドナは、体型の事を言われてトレイシーが傷つくのではないかと心配して反対する。しかし父親のウィルバーから「ビッグなのだからビッグになれ」と激励され、明るく前向きに生きるトレーシーは学校を休み、オーディションに飛び込み参加する。結果は、番組のプロデューサーのヴェルマから、太っているとの理由で一方的に落とされてしまう。その日、オーディションのために遅刻したトレイシーは居残りをさせられることになり、教室に向かうと、そこではシーウィードを始めとする黒人の生徒達が踊っていた。すぐに皆と打ち解け、教えてもらったR&Bのステップを踏むトレイシーをリンクが目撃、「君なら番組に出られる」と言われてトレイシーは有頂天。また、トレイシーの親友ペニーはシーウィードと恋に落ちる。その後、学校のダンスパーティーにたまたまいたコーニーのお眼鏡に叶い、コーニー自らのスカウトにより番組出演の夢が叶う。トレイシーのおかげでヘアスプレーは売れ、スポンサーも大喜び。初めは反対していたエドナもテレビで活躍する娘の姿に父親ウィルバーと共に娘を応援するようになる。それと共に、今まで家事とクリーニングの仕事だけで家に引きこもりがちだった生活から、外の世界へと足を踏み出す変化を遂げる。しかしプロデューサーのヴェルマはトレイシーの成功が面白くなく、父親のウィルバーを誘惑しようとしたり、あの手この手でトレイシーを番組から追い出そうとしはじめる。
 『コーニー・コリンズ・ショー』には月に1回“ニガー・デー”(劇中訳では“ブラック・デー”)という黒人のみが出演する日があったが、司会者のコーニー・コリンズは差別の廃止を提案。しかしヴェルマは聞く耳を持たず、“ニガー・デー”自体を廃止してしまう。気落ちした黒人たちは、トレイシーの発案でテレビ局までデモ行進をすることにする。デモはつつがなく進行したが、テレビ局の前で警官ともみ合いになり、逃げたトレイシーは警察から追われる身となってしまう。明日は「ミス・ヘ アスプレー・コンテスト」。トレイシーはコンテストに出場できるのだろうか…?
 

1. グッド・モーニング・ボルチモア:ニッキー・ブロンスキー オープニング場面で、トレーシーがダンサーになる夢を元気いっぱい歌うナンバー。
2. ザ・ナイセスト・キッズ・イン・タウン:ジェームズ・マースデン ボルティモア中の高校生が夢中のTV番組「コーニー・コリンズ・ショー」のオープニング曲。
3. イット・テイクス・トゥー:ザック・エフロン 番組の中でリンクが歌うドゥーワップ・ソング。
4. (ザ・レジェンド・オブ・)ミス・ボルチモア・クラブス:ミシェル・ファイファー 番組のプロデューサー、ヴェルマが昔の栄光を貫禄たっぷりに歌います。
5. アイ・キャン・ヒア・ザ・ベルズ:ニッキー・ブロンスキー 憧れのリンクと急接近したトレーシーが、乙女心を歌ったラブソング。
6. レディーズ・チョイス:ザック・エフロン 映画版のための新曲。オーディション場面でリンクが歌います。
7. ザ・ニュー・ガール・イン・タウン:ブリタニー・スノウ アンバーが番組の中で歌うガールズ・ポップ。ミュージカル版では未使用曲ですが、今回の映画版で陽の目を見ました。
8. ウェルカム・トゥ・ザ・60s:ニッキー・ブロンスキー&ジョン・トラヴォルタ トレーシーが母エドナを外に連れ出す場面で、二人が歌うデュエット。
9. ラン・アンド・テル・ザット!:イライジャ・ケリー トレーシーの友人、シーウィードが黒人の素晴しさを歌うソウルフルなナンバー。
10. ビッグ・ブロンド・アンド・ビューティフル:クイーン・ラティファ 黒人居住区を初めて訪れたトレーシーたちを、シーウィードの母メイベルが迎えるブルース。 11. ビッグ・ブロンド・アンド・ビューティフル(リプライズ):
ジョン・トラヴォルタ&ミシェル・ファイファー
映画版のための新アレンジ。ヴェルマがトレーシーの父ウィルバーを誘惑する場面で使用。
12. (ユアー・)タイムレス・トゥ・ミー:ジョン・トラヴォルタ&クリストファー・ウォーケン
エドナとウィルバーが夫婦愛を確かめ合う、ゴージャスなデュエット。
13. アイ・ノウ・ホエア・アイヴ・ビーン:クイーン・ラティファ
公民権を求めるメイベルたちが、抗議デモで歌う感動的なナンバー。
14. ウィズアウト・ラヴ:ザック・エフロン、ニッキー・ブロンスキー、イライジャ・ケリー、アマンダ・バインズ
リンクがトレーシーへの想いを歌い上げるラブソング。
15. (イッツ・)ヘアスプレー:ジェームズ・マースデン
生放送番組「ミス・ヘアスプレー・コンテスト」のオープニング曲。
16. ユー・キャント・ストップ・ザ・ビート:
ニッキー・ブロンスキー、ザック・エフロン、アマンダ・バインズ、イライジャ・ケリー、ジョン・トラヴォルタ、クイーン・ラティファ
コンテストのクライマックスを盛り上げる、圧巻のアンサンブル・ナンバー。
17. カム・ソー・ファー(ゴット・ソー・ファー・トゥ・ゴー):
クイーン・ラティファ、ニッキー・ブロンスキー、ザック・エフロン、イライジャ・ケリー 映画版のための新曲。エンドロールで流れます。
18. クーティーズ:エイミー・アレン
エンドロール使用曲。
19. ママ、アイム・ア・ビッグ・ガール・ナウ:リッキー・レイク、マリッサ・ジャレット・ウィノカー、ニッキー・ブロンスキー

最後にクィーン・ラティファが歌っていたお気に入りのフレーズを!
 「♪自分を見て あなたは最高に魅力的♪」