イーズが本年1月に設立した「幸せ経済社会研究所」
(所長:枝廣淳子氏)は2011年1月25日、
「GDPに関する国民の意識調査」
の結果を発表しました。
この調査は「日本のGDP、中国に抜かれて世界第3位に転落」
というニュースを受け、
国民がこのニュースをどのようにとらえているか、
日本や世界のGDPの成長についてどのように感じているか、
を知るためにおこなったものということ。
さて、みなさんは、
●「中国のGDPが世界2位に、日本は3位に転落」
というニュースに対してどう思いましたか?
ちなみに我が家では、
夫は「何も感じない」
私は「先進国がたどったあやまちを繰り返してほしくない」
「中国のみなさん!経済成長の負の遺産から学んで!」
というかんじでした。
この問いに対して
51.6%が「別にどうということはない」と答え、
「ショック/がっかり/くやしい」と答えた41%を
上回ったということです。みなさん、冷静ですね。
ただ「別にどうということはない」の中でも、
若干違いがあるようでした。
「中国のGDPが伸びることは外需中心の日本にとって朗報」
「中国のGDPが伸びたとしても一人当たりで見れば
日本の方が高いので気にならない」
すなわち「日本や世界のGDPは伸びるべきもの」
という暗黙の前提があるようです。
次に
●「日本や世界のGDPが伸び続けることは必要だと思っていますか?」
に対しては
「必要だと思う」が44.8%
「必要ではないと思う」が19.4%
「わからない」が35.8%だったということです。
「必要だと思う」との回答の理由として
「経済が成長しないと、雇用も安定せず、
私たちの生活に影響をきたす」
「今の生活を維持するために必要」
「国民の幸せのために必要」
などの意見が多く見られたそうです。
「必要ではないと思う」の理由としては、
「永久に伸び続けることは不可能」
「もっと大切なものがあると思う」
「GDPが幸せの全てではない」
「物質的な豊かさを追い求める時代は終わったと思う」
などの意見が多く見られたそうです。
次に、
●「日本や世界のGDPが伸び続けることは可能だと思っていますか?」
と尋ねたところ、
「可能だと思う」が30.2%
「不可能だと思う」が25.8%
「わからない」が44.0%
「わからない」が最も多い答えだったということです。
それぞれの理由を尋ねたところ、
「可能だと思う」の理由として、
「日本には技術力があるから」
「新しい産業や潜在的な成長分野があるから」
「中国やインドなどこれから伸びる国があるから」
などの意見が多く、
「不可能だと思う」の理由としては、
「何事にも限界があるから無理」「地球の資源には限りがあるから」
という意見が多く見られましたそうです。
「わからない」の理由としては、
「GDPそのものがわからない」
「想像・予測がつかない」
といった意見が多く見られたということです。
さて、両問をあわせてみると、
「GDPが伸び続けることは必要」
だと思っている人の中にも
「可能ではない、可能かわからない」
という人が少なからずいることがわかります。
具体的には・・・。
「必要」と答えた224人中、
「可能」だと思っている人が53.1%
「不可能」だと思っている人が11.2%
「わからない」人が35.7%と、
半数近くの人が
「不可能、またはわからない」
という答えでした。
すなわち、
「現在の経済・社会システムの中では経済成長を
続けないと雇用や生活が不安定になってしまう」
と思う一方、
「地球の資源やエネルギー、CO2吸収源などの限界を
考えれば、永遠に経済成長を続けることは不可能である」
ということだと思います。
こうした状況は「経済成長のジレンマ」と呼ばれるそうで、
いま国際的社会でも政治の場でも、大きく取り上げられる
ようになってきており、私自身も非常に興味のあるテーマです。
今回のアンケート調査から、日本の国民の間にも
「GDPの成長は必要だ」という思いは強いものの、
地球の限界等を鑑みて
「それは不可能ではないか、可能かどうかわからない」
と「経済成長のジレンマ」を感じている人が
かなりいることがわかります。
同時に、
「GDPが何を測っているのかわからない」
「GDPは幸せを測っていない」
と感じている人もいるということがわかります。
「経済成長のジレンマ」・・・・。
押さえておかなければならないキーワードであると同時に
私たちの幸せや暮らしに直結する大切なことです。
ところで、「幸せはカネで買えない」
と思っている人は多いと思いますが、
国家というレベルになると、
なぜか「経済成長、経済成長」となる。
確かに「経済」は大切ですが、
無限に成長する経済って不自然で非現実的で
グロテスクに思えてしまうのです。
私たちの生活を不安定にすることなく、
どう地球の限界と折り合いをつけていくかは
私たち一人ひとりにとって、
避けることのできないテーマだと思います。
この潮流をマスコミのみなさんにもぜひ、
伝えてもらいたいと思います。
詳しくは・・・。
http://www.es-inc.jp/