雨音問診

灰色のぬめっと襞ができている曇空なんだけど、多少まだ空が明るくって。それでポツリポツリと、幅広のバナナの葉っぱや、青い防水シートの鈍い音を立てて。さほど矢継ぎ早な急ぐでもない雨音を聞くのがけっこう好きである。
すこし、歩みを早めて車のギアのローからセカンドでもない、その中間ぐらいで。そう気持ちは、こどもの三輪車の速度ぐらいやな。
だから、まだ雨の間を抜けられるような気になる。木々の間をゆっくりとすり抜け歩くように。頭の天辺にピシャリと雨粒が当たると負け。耳や頬骨がけっこうあたるのに、これが中々あたらない。よほどの夕立・大粒の雨滴でないかぎり覿面に感じるコトがないというのがミソでもあるのですが。
でついつい、生ゴミをコンポートに捨てに行ったり。貯めている雨水の調整をしにいったり。肩先も、足の太腿辺りはけっこう濡れてゆく、雨の陣取りゲーム。
雨に「王（負う）手」と詰まれるのは分かっているのですが。ジタバタ、あれやこれやと濡れ事を。
猛烈な土砂降りの「雨喜劇」でもなく、シトシト降る「雨人情家庭劇」でもない。「雨のクロスワードパズル」？「雨のアヤ取り」近いナ…などととっぷりくれた闇夜の雨音を聞きつつ。