八十八夜

学生時代から大好きなマンガの2次小説です

転校生つくしちゃん9

2022-09-27 08:00:00 | 転校生つくしちゃん

 

 

「しかも、発音ぜんぜんちゃうしな。」

キスの後だっつーのに、関西弁には厳しいこいつ。

 

そして、文句を言いながら、俺の胸を押してくる。

「名前で呼んだら、離してくれる言うたのに…。もう、離して。」

 

そんな力じゃ、ビクともしねーよ。

 

「離さねぇ。」

俺の言葉に、

 

つくしは困った顔をしながら─────。

上目使いで俺を見上げてきたんだ。

 

!!!

うぉっ。

お前、今、俺の胸の中にいるんだぞ!

そんな可愛い顔で見上げてきたら、ムチャクチャにしたくなるじゃねーかっ!

 

そして、言ってきたんだ。

「うち、ほんま恥ずかしいねん。離してよぉ。道明寺は、いけずや。」

 

こいつの上目使いに『離してよぉ』に『いけずや』だぞ!!

牧野のあまりの可愛らしさに、俺の腕は一瞬緩んでしまった。

 

 

あの後、直ぐにプールから出た俺たち。

こいつの可愛らしさに、俺の腕が緩んでしまったのが原因だ。

 

そして、その可愛いつくしは、

「人様のお家で、お昼寝なんてよーせんわ。」

なんて言っていたのに…。

 

つくしは、俺のベッドで2時間も爆睡した。

その間、俺もこいつの可愛い寝顔を堪能した。

 

流石に、一緒のベッドで寝るっつーことだけは…。

なんとなく止めた。

でねーと、目が覚めたこいつがデケー声で叫びそうだろ?

 

目が覚めたこいつは、開口一番。

「なんであんたが、ここにおるん?」

こんな可愛くねーことを、言ってきた。

 

「ここは俺の部屋だ。」

っつー俺の返事に、

 

「えー!!そうなん。ごめん。ベッド占領してもうたなぁ。あんた、何人も寝れそうなベッドに寝てんやなぁ。」

一瞬で驚いて謝って、感想まで話すこいつ。

 

「何人もは無理だろ。」

「そうかなぁ?ごっつい大きいからいけるで。」

 

この会話の後、

「俺は、お前と2人で使いてーんだけど…。 」

こう言った俺が、ベッドに片膝を乗せると─────。

 

つくしは、一瞬にしてベッドから飛び下りた。

なんでそんなに素早いんだよ。

 

そして、廊下へ続くドアに駆け寄りながら─────。

噛みまくりながら、言ってきたんだ。

「あ、あ、あっ。う、うちお腹空いたわ。せ、せ、せや、持ってきた回転焼き、みんなでた、食べよう。ぷ、ぷ、プールの後って、むっちゃお腹空くでな、なっ。」

 

 

つくしは持ってきた回転焼を、邸の連中と食べだした。

なんでも、黒あん・白あん・カスタード・抹茶にチョコ味があるらしい。

すっかり邸の連中と、仲良く楽しそうに過ごしている。

俺が視線を送っても全く気付かねー。

 

そのくせ、心配そうに言ってくるのが、まさかのこんなこと。

「なぁ、道明寺。あきらくんと総ちゃんに声、掛けんでえーかな?回転焼き、無くなってしまうんやけど…。」

 

・・・・・。

男と女が、それぞれの部屋に消えていったんだぞ!

回転焼きの為に、声を掛ける必要があるか?

あきらや総二郎のヤッてる所なんて、俺は見たくねー。

 

それよりも!!

つくしのこの辺りの感覚は、どうなってんだ?

俺が告ったっつーのに、こいつは嬉しそうに回転焼きを食ってる。

 

まさか、昼寝して忘れたわけじゃねーよな?

なんとなく不安に思いながら、俺たちは夕食の為にダイニングに移動した。

 

回転焼きを食った後でも、こいつの胃袋は一瞬にして圧縮されるみてーでバクバク飯を食い出した。

 

食べ終わった後、つくしは両手を合わせて

「美味しかったです。ごちそうさまでした。」

俺と邸の奴らに、礼を言ってきた。

 

学校で弁当を食った後は、『ごちそうさん』っつーて手を合わしているこいつが、『ごちそうさま』っつーのに、俺が笑うと─────。

 

「私もきちんとした所では、少しくらいきちんとするの。」

こんなことを笑いながら言ってきた。

 

まさかの『私』発言に、俺が笑うと─────。

「もう!何で笑うんよー。」

なんて言ったつくしが笑い出す。

 

そんな俺たちを見て、邸の奴らも口元を綻ばせている。

タマは皺だらけの顔が、ますます皺だらけだ。

このダイニング、こんなに明るい雰囲気だったか?

いつも俺が一人で食っている時なんて、殺風景で音もねー。

つくしがいるってだけで、こんなに明るくなるのか?

 

ダイニングを明るくしたつくしは、自分の使った食器を厨房へ運ぼうとした。

そんなつくしを見て、邸の奴らが慌てて止めに入る。

 

邸の奴らは、客に皿を運ばせることなんてっつーので止めているのに─────。

「大丈夫ですよー。高そうなお皿なんで、気を付けて運びますね。」

なんて言ってるこいつ。

 

俺も思わず、コーヒーをふき出しそうになった。

皿の値段なんて、誰も気にしてなんかいねーよ。

あきらや総二郎が連れ歩いてる女たちと、違いすぎだろ?

 

邸の奴らがいくら止めても、つくしは食器を厨房へ運び、シェフたちにお礼を言いだした。

いつもは職人面しているシェフ達が、スゲー嬉しそうに笑いだす。

 

そんな邸の奴らやシェフたちを眺めながら─────。

つくしと結婚すると、邸はとこんな感じになるのか?

っつーことを、俺は想像してしまった。

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございます。