八十八夜

学生時代から大好きなマンガの2次小説です

転校生つくしちゃん6

2022-09-21 08:00:00 | 転校生つくしちゃん

 

 

邸で牧野の到着を、エントランスホールでウロウロしながら待った。

仕方ねーだろっ!

気になって仕方ねーんだ。

 

俺が送るっつーのを断ってきたのも、どこに寄るのかも気になって仕方ねー。

こうして俺が待っている間に、あいつが男に会いに寄っているかもしんねーなんて思うとイライラが最高潮になる。

 

イライラがマックスになって、エントランスホールでの俺のウロウロが高速ウロウロになりだした時─────。

あきらと人妻。

総二郎と、明らかに頭も股の締まりも悪そうな女がやって来た。

 

なんでどうでもいい奴らが来て、牧野が来ねーんだ?

心配とイライラのループを何度か繰り返した後に、牧野がやっと邸に到着した。

 

私服の牧野、スゲー可愛い。

残暑の厳しさからか、オフホワイトでノースリーブのマキシ丈ワンピース。

 

ウエスト部分が細くなっていて、牧野の細い腰が強調されている。

スカートの生地が軽そうで足が透けてねーのかと余計な心配をしながらも、俺だけには見えねーかなとか思ってしまってる。

 

牧野が歩くたびにワンピースの裾から─────。

牧野の細い足首からふくらはぎがチラチラと、俺を誘うかのように見え隠れする。

 

「すごい、お家(うち)やね。お家じゃないみたいや。お邸どころか、こんなんお城やん。」

こんなことを、エントランスホールを見上げながら言ってきた。

 

そして、笑いながら言ってきた。

「肝心なこと言うてないわ。お邪魔します。そんでな、これお土産。回転焼きやねん。類ん家までの行きしに買(こ)うてきた。」

 

空調が効きすぎているのか?

足先から一気に、俺の体温が失われていく。

 

『類ん家までの行きしに…』

寄りたいとこっつーのは、男の所で…。

まさかの類。

 

「…類の所に行ったのか?」

俺自身でも驚くような低い声が出た。

 

そんな俺の低すぎる声に、両肩をビクンとさせ牧野は─────。

少しだけ驚いたような顔をしつつも、頷きながらいつものように返事をしてきた。

 

「そや。」

「なんで行ったんだよ?」

 

「なんでって、あきらくんも総ちゃんもおるし…。類だけ声掛けへんかったら…悪いかなって思って…誘いに行ってん。」

なんとなく、歯切れの悪いこいつ。

 

でも、次の瞬間にはフツーに話しだした。

「でも、寝てたわ。何回か起こしてんけどアカンかってん。来(こ)ーへんねんて。」

 

あ"?

そのワンピース姿で、類の家に行ったのか?

類が寝てたってことは、類の部屋まで入ったのか!?

 

 

「今日は寝て過ごすんやって。無理矢理起こそうとしたら、私がベッドから落ちてもうてん。それ見て、類が大笑いしてな。失礼やろ?そんな時だけ起きんねんで。」

牧野はあっけらかんと言ってきた。

 

類の部屋まで入ったのかよ!

寝てる類なんて、どうでもいいじゃねーかっ!

なんで、類のベッドに入ったんだよっ!

 

イライラ…。

イライライラ…。

イライライライライライラ…。

怒りを静めるにも、静めようがねー。

 

「もう、あきらくんと総ちゃんは来てるんやろ?うちらも早(は)よ、行こ。プールどこなん?その前に、どこか空いてる部屋借りても良いかな?着替えたいんやけど…。」

こう聞いてきた、牧野の白い左肩に明らかに真新しい紅い印。

 

それって、キスマークじゃねーか?

急に立ち止まった俺が、牧野の真っ白い肩につけられた紅い印を凝視していたからか─────。

 

牧野は、困ったように言ってきた。

「これ、類の部屋で噛まれてん。」

 

!!!

類のヤロー、何考えてんだっ。

俺の気持ちを知ってて、なんでこいつにキスマークなんてつけたんだっ!

クソっ!!!

 

牧野も牧野だっ!

そんな見える場所にキスマークなんかつけられてるんじゃねー!!!

 

邸中に俺の声が響き渡った。

「おまっ!類の部屋でなにしてんだっ!!」

 

「うるさいなー。なんで怒鳴るん?なにしてんって、さっき言うたやん。プール誘いに行ったんやん。最初はちっこかってんけど、直ぐに大きなってきたんやろ。仕方ないやん。」

怒ってるのは俺だっつーのに、牧野まで怒りだした。

 

類も高校生男子なんだ。

一瞬でデカくなるだろ?

 

仕方ないってなんなんだっ!

お前は、付き合ってもねー奴とするのかよっ!

むっちゃ好きな人でないと無理って言ってたのは、どの口だ?

 

夏休み、俺たち殆ど一緒だったんだぞ。

だから、俺は─────。

もしかすると、お前も少しくらい俺のこと想ってんじゃねーかって思ってたんだ。

 

なんで、そんな所を噛ますんだよ。

なんで、よりによって類なんだよ。

お前の体についたキスマークなんて見たくもねぇ。

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございます。