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仏首相、若者向け新雇用制度を撤回

2006-04-11 01:25:50 | 海外
Top News Article | Reuters.co.uk              フランスのドビルパン首相は10日、国民向けに演説し、26歳未満を雇えば理由を示さず解雇できるとする新雇用制度(CPE)を、最近成立した機会平等法から削除する方針を発表した。労働組合や学生団体が大規模な抗議行動で強く反発したCPEの事実上の撤回だ。07年大統領選に意欲を燃やす同首相の政治力は大きく傷ついた。若年失業の抜本解消策は先送りされた形で、「痛みを伴う改革」の難しさを浮き彫りにした。  首相と与党・民衆運動連合(UMP)の幹部はこの日、大統領府に集まって協議。シラク大統領がCPEを規定した機会平等法第8条の削除を決断した。協議後の演説で首相は「(CPEが)国民全員に十分理解されなかったことは残念」と述べた上で、「若年失業という深刻な問題に即座に立ち向かわねばならない」として、第8条を若者の雇用促進を図る別の条項に差し替えることを表明した。進退を含む自らの政治責任には触れなかった。  UMPのアコワイエ国民議会(下院)議員団長は、数日中にCPEに代わる条項案をまとめることを明らかにした。AFP通信は代替案について、低学歴や移民社会の若者の就職を支援する措置になると報じた。その場合、「解雇しやすくすることで雇用を創出する」ショック療法は放棄される。  首相演説を受けて野党や労組、学生団体は「CPEは死んだ」などと次々に勝利宣言。一部の学生団体は大学の封鎖解除を決めた。  ドビルパン首相は1月、22%を超す若年失業率対策としてCPEを打ち出した。だが、野党や労組との事前協議、議会審議を省いて法案を採択した強硬姿勢が強い反発を招き、3月28日と4月4日の反対デモでは参加者が記録的な100万人(警察発表、主催者発表は300万人)に達した。大学や高校の封鎖も全国に広がった。


朝日社説より抜粋:
フランス 雇用を生み出す苦しみ

 若者向けの新しい雇用制度の導入をめぐってフランスが揺れている。

 抗議する学生たちのデモは全土に広がり、高校や大学の多くが休校になった。100万人を超えるデモは、学生運動が燃えさかった68年の5月革命以来だという。労働組合もストライキで共闘している。

 26歳未満の若者を雇った企業は、採用から2年間を試用期間とし、理由を告げることなく解雇できる、というのが新制度の主な内容だ。

 背景にあるのは、深刻になる一方の若者の失業問題だ。政権側は「解雇の自由を高めれば企業の雇用意欲が高まるはずだ」と説明する。学生たちは「我々の立場が一層不安定になるだけだ」と強く反発し、制度の撤回を求めている。

 労組によるストが日常茶飯事のお国柄とはいえ、街頭で政治要求を政府にぶつける若者の行動からは、市民意識の確立したこの国の伝統を感じさせられる。

 結局、デモの勢いに押されて、シラク大統領は制度の見直しを約束した。試用期間を1年に縮め、解雇理由を通知するといった修正の考えを示している。

 この制度の導入を主導してきたドビルパン首相にとっては痛い失点だ。

 若者の失業率は英国やドイツで10%台なのに、フランスは22%に達する。昨年秋、各地で暴動を起こした移民子弟たちの失業率はそれをさらに上回る。新制度は、そうした状況の打破を狙った改革案でもあった。

 グローバル化の波が押し寄せる中で、企業の競争力や経済の体質強化を迫られているのはフランスも例外ではない。だが英米など市場主導の経済運営を進める国々と異なり、フランスでは規制緩和や市場原理への警戒心が根強くある。

 仏企業の海外移転や、中東欧や北アフリカからの外国人労働者の流入によって、自分たちの仕事が奪われかねない。そうした不安感が広がっていた時に示されたのが、この新制度だった。

 企業の雇用意欲を高めるためには、解雇規制など労働者を保護してきた仕組みの見直しがしばしば求められる。雇用創出の悩ましさだ。

 フランスは欧州の中でも手厚い労働者の保護制度で知られる。新制度でも試用期間が終われば保護されるが、その間の解雇リスクが高まるというのでは若者たちは受け入れられない。

 大統領の決断を受けて、与党の党首でもあるサルコジ内相を中心に労組、学生、経営者団体との対話が始まった。

 サルコジ氏は昨年の暴動の際に強硬な治安対策でならした。ドビルパン氏と並んで、来年の大統領選の有力候補と目される。この事態の収拾に成功すれば、優位に立つのは間違いないだろう。

 混乱が長引けば、この国への信頼が揺るぎかねない。既得権と競争力、雇用の三つが絡み合ったパズルをフランスがどう解くか。日本も含め、先進国は行方を注視している。
         


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