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大阪弁で何故ですか?という意味です。

シェールガス革命

2013-08-21 06:59:32 | 経済

 

 シェールガスという言葉を目にしたのは2年ほど前になるかもしれないが、このところ新聞、テレビ、ネットで賑わっている。しかしその内容は断片的であるため、その全貌と重要性を掴むことが難しい。
 「シェールガス革命」(泉谷渉)と「アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する」(中原圭介)の2冊の本を読んだが、
シェールガスは、世界の経済ばかりか、政治、社会構造を激変させるぐらいのインパクトをもつ「21世紀の産業革命」と言っても過言でない大事件であることを分かりやすく理解することが出来た。

これら2冊の本の要諦にネットで調べたデーターを交え、その重要性と全貌を順次解き明かしていきたい。

 

先ず、 シェールガスとは、
地下2000~3000メートルの固ーロッパやアジアほか世界中に埋蔵されている、天然ガスの一種。

 シェールガスの埋蔵量は既存の天然ガスと合わせて、アメリカだけで150年分、中国とロシアを除いた世界で400年分(中国ロシアの推測埋蔵量を含めた世界の埋蔵量は700年分)もある。石油は20~30年、石炭は100年以下で枯渇する状況にあり、懸念されていた世界のエネルギーの枯渇問題は完全に回避されたわけである。

 コスト(キロワット時当たり)も石炭6円、石油10円、水力13円、風力20円、太陽光25~30円と比べて、シェールガスはたったの6円と石炭並にやすい(ただし、石炭はCO2を大量に排出することを考えると安くても問題あり。) 

  CO2排出量についても、石炭より40%、石油より10~15%減で絶対優位に立つ。
シェールガスは、その一種である天然ガスの多くは、メタン、エタン、プロパン、飽和炭化水素を主成分とし、ベンゼンは含んでいない。主成分のメタン(CH4)で、水素にいちばん近く、燃やしても水素と水になるだけである。石油はCを多く含む炭化水素CHが主成分で、燃やすと炭酸ガスを多量に発生し、地球温暖化を招くことになる。従い天然ガスの一種であるシェールガスは地球上に存在する可燃性ガスの中で最もクリーンなガスと言える。  

以上の通り、在来のエネルギー資源が抱えている問題(エネルギー枯渇、コスト、CO2問題、危険な原発)の大半を解決してしまうエネルギー革命と言えるのである。

 在来型の天然ガスは世界中に存在しているが、地層から浅いところに存する油田、ガス田、炭田から掘るだけで自然と噴出するので、開発が進みとりすぎてしまい、世界から消えつつあります。
 非在来型のシェールガスが世界に潤沢に存在することは昔からわかっていたが、2000メートル~3000メートルの深いところにあり、採掘が容易でなく経済性が合わないことが難点とされていた。
 その商業化を無名の小規模のベンチャ石油企業(Mithcel Energy)が、アメリカエネルギー省の資金援助を受けて、30年以上の歳月を掛けて執拗懸命に開発した結果、2005年に実業化に成功した(Fracturing 垂直水平掘削破砕法の開発に成功)。 採掘可能なシェールガスの量は、在来型の天然ガスの20倍もあると見られている。
 

 大手のエクソンモービルなどが見向きもしないベンチャー技術を探求しようとする一介の小規模企業を、政府ともども、同社を支援する投資家も投資をし続け、シェールガス革命を実現させたことに、アメリカの懐の深さと活力を感ぜざるちそうを得ない。日本が学ばなくてはならないのはこうした取り組みである。
 
 アメリカではシェールガスの本格生産が始ま未だ10年もたっていませんが、ここ数年で急増し、現在では天然ガスの3割近くまで占めるに至っております。そのため天然ガスの価格は急落しており、2008年には 100万BTU(英国熱量単位)あたり12.5ドルを超えていた価格は、2012年には2ドルを割り込む価格まで下がるほどです。このようなシェールガスの価格破壊力が「革命」といわれる所以です。

シェールガス井戸が一万本も掘られ過剰供給で経営破綻:
 石油、ガスの製造の上場企業 CMX Resouces Incが4月に、天然ガスの価格が暴落した煽りで、経営破綻し、会社更生法(Chapter11)をオクラホマ州に申請したと、報じられた。http://yhoo.it/14BBtEX日本では、副H島原発事故後に長期契約した高値で輸入した天然ガスで、電力会社が値上げ申請しているというのに、米国ではシェールガスやシェールオイルを掘りすぎて、会社が倒産するほどに有り余っている。
  アメリカ政府エネルギー省も、価格維持のために天然ガスの輸出認可を広げて行くことを」決定したので、徐々に世界のエネルギー市場価格が下がっていくことが期待されている。、
 

                          

 グリーニューディール政策を声高に叫び、再生可能エネルギーの開発を奨励していたオバマがだんまりを決め込んでしまったのは・・・・・・。いつも難しい顔をしているプーチンが安倍首相にニコリと笑い「北方領土問題も何とかなるかもよ」言い出す始末。もちろんシェールガスが市場に出回って来ており、ロシアの天然ガスも売れなくなる事を心配して、「日本に天然ガスを買ってもらいたいと」思惑があることありあり・・・・・習近平がオバマにシェールガスの採掘法を教えてほしいと、腰を低め....。
我らの安倍さんもオバマにシェールガスを売ってほしいと懇願、オバマも「日本にシェールガスをバンバン出してもいいよ。TPP参加も大歓迎と笑いかける」・・・・・まさに世界の政治の世界に激震が走っているのです。 

シェールガス採掘に立ちはだかる中国の課題:
アメリカの1.5倍もの埋蔵量が眠っている中国であるが、中国内陸部の砂漠に近い大乾燥地帯にあるため、水源がないため、採取に大量の水が必要であるため、シェールガスの採掘は難しい。また、内陸部の農村部であるために、人材不足、採掘に欠かせない機材、部品の手当がしにくい、さらにロジスティック、技術的にもインフラがなく、当面、中国は豊富な埋蔵を生かし切れないであろう。

 アメリカの製造業が安いエネルギーを国内に手にし、労働者の賃金の低下で米国内での製造業が競争力を付け、国内回帰が進んでおり、中国からの輸入を減らすことになり、輸出と海外からの投資で成り立っていた中国経済は悪化の一途を辿っていくことになるであろう。現に中国の2013年第一四半期のGDP7.5%は前年四半期より鈍化している。

ロシアに揺さぶりをかけるウクライナやポーランド:
ヨーロッパにもシェールガスブームが到来しているが、ウクライナ政府はロイヤル・ダッチ・シェルと合意し、国内の大型シェールガス田開発をシェルに任せることを決定した。投資額は9000億円。 


下記グラフは2005年から2012年の天然ガスの生産と市場相場の推移

 シェールガスの採掘、回収に使われている同じ技術を用いて、シェールオイルの生産も急増しています。世界最大のエネルギー消費国で、今まで国産の石油、ガスがあるものの輸入に頼らざるを得なかったのが、自国生産のシェールガス、オイルが増え、国際エネルギー機関によれば、2015年までに天然ガスでロシアを抜き、2017年には原油でサウジを抜いて、両方の資源の世界最大の生産国となる見通しです。

 今まで、原油、ガスを輸入していたアメリカが輸出国に転ずれば、貿易赤字が縮小し、経常収支が好転し、その結果ドルが強くなり、円安になっていく、もうすでにその兆候が出ている様相を呈しています。日本では、福島原発事故以降原発停止に伴い、天然ガスの輸入の急増で2011年に31年ぶりに貿易赤字を計上し赤字が拡大しつつあり、経常収支も赤字に転落する寸前にあります。その結果ドルが強くなり、円安になっていく、もうすでにその兆候が出ている様相を呈しています。安倍首相が日米首脳会談でオバマ大統領にシェールガスを売ってもらいたいと懇願し、その代償としてオバマからのTPPへの参加のお誘いもすんなり受け、その後のTP0交渉で譲歩してでもシェールガスの輸入に道筋を立てねばならない状況にあることは、新聞に報道されている通りです。(参考資料 シェールガスの輸入にに伴う問題点 http://nkbp.jp/12x0q34 )

アメリカの製造業の復活: 
シェールガスはエネルギーとしての安いだけがメリットだけでなく、メタンもエタンもプロパンも取り出せるし、エチレンも作ることができる。プラスチック、自動車材料、繊維、電子材料の素材の原料になるわけであり、石油由来に対し20分の一から30分の一のコストで作れてしまう。
石油からつくられる化学品をシェールガスを使った生産方式に切り替える動きが広がっております。石油化学大手のダウケミカルは石油ではなくシェールガスを原料としたエチレン工場に建設する大型投資3000億円を決定しました。(参考: http://bit.ly/19Ho7I4) これは石油化学工業がガス化学工業への産業転換を示唆しております。
 エネルギーや化学、鉄鋼などアメリカ国内の投資額はすでに870億ドルを突破しております。カリフォルニア、テキサスなどの地域で、発電所、精製施設、パイプライン、地下貯蔵施設の建設に今後5年間で2260億ドルの設備投資が予定されている。
 鉄鋼分野でも、アメリカ鉄鋼大手ののニューコアがルイジアナで、7億500ドルを投じて製鉄所を、世界最大手の身たるスティールの米国部門もシェールガス活用の設備を検討中である。自動車用鋼板の技術で神戸製鋼と提携しているUSスティールも シェールガスを使って純度の高い直接還元鉄を製造する投資をする。死んだと思っていたオールドエコノミーまでも蘇る勢いには驚きである。
景気の話はまだまだ続く。
あのフォードがミシガン州でガスプラグインハイブリット車の大型投資をすると。その後近い将来大型の新工場をデトロイトに、GMやクライスラーもデトロイトhttp://bit.ly/14wVP2fへの復帰を考えていると、死の町と化したデトロイトが、安く、クリーンなガスの出現で生き返るのである。

割安なシェールガスの普及は、ガス火力発電所の建設ラッシュのほかに、パイプラインの敷設や貯蔵施設の建設など、ガス社会へ対応すべくインフラ整備が急ピッチで進んでいるのです。このように、シェールガスの普及で製品の製造コストが下がり、アメリカの製造業の競争力が付きつつあるのです.実はこのことで、アメリカの基幹産業が復活し、アメリカはブッチギリの最強国に復帰することは間違いない。
 
リーマンショックから5年、アメリカは中国から製造業を取り戻し、再び「世界の工場」として復活する。ー中原圭介の意見
 上述した安いエネルギーを手にした米国では、シェールガス革命が騒がれる前から、製造業の国内回帰が始まっていると中原氏は自らの著作本で述べております。
金融危機を受けて、経営に行き詰った自動車大手3社は大幅な賃金下げに踏み切り、例えばジェネラルモーターズは、労働者の福利厚生を含めた賃金を自給80ドルから2009年からの新規雇用労働者を19ドルまで下げ、黒字転換に成功したのです。こうした賃下げは全産業に波及していき、GEは中国の家電工場をケンタッキーに移し、新雇用労働者の時給は13ドルと引き下げました。このように金融危機後アメリカの製造業は国内復帰を進めているのです。一方、圧倒的安い賃金で「世界の工場」となって発展してきた中国においては、賃上げのストライキが拡散し、大幅な賃上げをせざるをえない状況にあり、中国からアメリカに工場を移転する企業が増えているのです。

 シェールガスに伴うエネルギーコストの低下、と賃金コストの低下が相まって、国際競争力をつけようと、アメリカ国内への復帰が進んでおりますが、アメリカの製造の国内復帰だけでなく、欧州や日本の企業さらには台湾、メキシコ、ブラジルなどのまでも、安価なシェールガスに吸い込まれるようにアメリカでの工場建設を決定しているのです。英蘭ロイヤルダッチシェル、旭化成、クラレ、台湾プラスチック、ブラジルのジーンズデニム大手のサンタナ・テキスタイル、南アフリカのエネルギー大手サソールナなどまさに工場建設ラッシュが起こっているのが現実なのです。
 こうした設備投資が増え続け、雇用環境が改善され、経済が悪いとされていた米国が急速に復活しようとしていると、中原圭介氏が述べております。このようなシェールガス革命の現実を
大手メディア報道では知る術もないでしょう。

世界はデフレへ:中原氏の意見
 エネルギーコストの低下により、電力が安くなり、化学品の素材の製造コストが下がり、アメリカの製造業が生産する製品価格が下落し、安い製品がアメリカから世界にあふれ世界中にデフレ圧力が広がっていきます。
 デフレが常態化すれば、安い賃金でも国民は豊になれるし、企業は競争力を高めることができ、通貨安と同じ効果を発揮することが可能となります。国内外から設備投資を呼び込み、アメリカ人の雇用を生み出し、オバマ政権以降の政権は、ドル高が進んでも、寛容な態度で、デフレ礼賛するようになり、まさに、アメリカの復活はデフレとともにやってくると言えるのです。中原氏の意見によると、アメリカ経済の復活とは、物価変動の影響を除いた実質GDPが飛躍的に上昇する中で、国民の生活が豊かになるという本当の意味での復活のことを指していると。もっと言えば、物価変動が影響する名目GDPなどは、いくら下がっても構わないのです。


 世界経済の歴史を遡れば、インフレになるのは戦争か財政難といった一時的な現象であり、18世紀後半から19世紀後半にかけてのイギリスの産業革命の隆盛期や、19世紀後半の大デフレ期(グレイトデフレっション)においては、技術革新の飛躍的な進展が世界的なデフレをもたらしました。しかしながら。これらの時代に平均寿命が大きく伸びるなど、人々の生活は極めて豊かになりました。アメリカのシェールガス革命が産業構造そのものを変える「第2次産業革命」であることを考えると、歴史に照らし、デフレになっていくことが避けられないでしょう。

アメリカの世界戦略を理解すること:
 アメリカは数年のうちに世界最大のエネルギー資源大国となる状況下、中東産油国への依存が低くなるわけで、中東地域を守る理由がなくなってしまいます。アメリカ自身が世界で最も成長が見込まれるアジア地域への経済的関与を強めたいと考え、その地域での中国の軍事的経済的台頭を警戒するために、安全保障の軸足をアジア・太平洋地域に移す世界戦略に着手し始めております。
 このアメリカの戦略を達成させるには、信頼に足る長年の同盟国であり、世界3位の経済規模と技術力をもつ日本とタッグを組むことが望ましいとの、深淵な構想があると考えるのが自然でしょう。それを裏付けるように、尖閣問題で中国が攻撃すれば、安保条約に基づき、日本を守ると明確に中国に伝えております。また、日本にTPP参加するように促し、先ごろ経済的同盟国である日本へのシェールオイルの輸出を認可しました。 アメリカの政治は日本が考えている以上に、「日本もアメリカと同じように、中東への依存を低下させなければならない。そのためにアメリカと日本はエネルギー安全保障で強く結びつかなければならない」と世界の
大局を見ながら判断しているのです。(あくまで中原圭介氏の主観であると思いますが、見事な先見であると感心した次第、大いに参考に術すべきでしょう)

日本の技術力が頼りにされる:
 日本のシェールガス埋蔵量は微々たるものである。だがシェールガス革命を後押しする技術を持っている点で、アメリカから頼りにされる技術排出国であります。シェールガスを掘り出してから基地にため、液化した後に専用タンカーで輸送するという一連のプロセスに必要な、素材、プラント、線あp九、汚染処理システムに至るまで、日本の技術が縦横無尽に活用されている、日本の技術がなくてはシェールガスの実用化はままならないといえるのです。

 とりわけ、日本の素材企業群が大きな役割を果たしております。
住友ベークライトフェノール樹脂はシェールガスを採掘する場面で、砂をこの樹脂でコーティングすると地熱で固まり、隙間からガスが流れ出る道を作ることが出来ます。採掘には必須の素材です。アメリカのオハイオ州に追加投資をして、増産することを決定しました。
クレハはシェールガスの掘削に必要な樹脂・ポリグリコール酸の量産化を世界で初めて成し遂げました。
新日鉄住金・和歌山 鋼管パイプは、2000-3000メートルにパイプを入れて明日を地表に上げていく掘削にはなくてはならない必須、その地圧に耐えれるシームレスのパイプを作ることができるのは、世界でただ一社。 アメリカではまるでゴールドラッシュさながらのシェールガスのラッシュが続いており、シームレス鋼管は年間600万トンの特需に沸いている。現在1万本の井戸を掘る経過鵜が進行しているが、同社が独占している。アメリカで2015年本格生産をスタートすべく、大型投資を進めている。
 

汚染水処理も日本企業の独断場:ガス採掘には化学薬品も使用され、汚染水を処理することも早晩問題になってくる。オルガノ、栗田工業、東レ、日東電工、旭化成の技術が重要となってくる。

アメリカへの投資が急増:
先述のごとく、石油化学の大手ダウ・ケミカルシェールガスを使い、化学製品の基礎原料となる「エチレン」を製造する 工場へ大型投資を決定しました。日本の場合は石油を原料とするナフサ(粗製ガソリン)からエチレンを製造するのを得意としており、シェールガスから抽出できるエタンを原料とするエチレンの20-30倍のコストがかかり、勝ち目がありません。住友化学は千葉県のエチレン工場を閉鎖してしまいました。欧州エネルギー企業の大手英蘭ロイヤルダッチシェルもエチレン製造工場をアメリカに建設する大型投資を決定。出光興産も三井物産、ダウ・ケミカルと連携して、ダウがテキサス州に建設するエチレンの大型工場のp隣接地に製造プラントを建設する。総投資額は1000億、2016年稼働の予定。ここで生産されるのはこそ化学品のアルファオレフィンという製品だが、製造コストの50%を占めるエチレンをシェールガスを原料にすることで、利益率を高められるし、競争力をつけることができる。
三菱ケミカルホールディングス、ダウ・ケミアカルと組んでシェールガスを活用した石油化学コンビナートを構築する。同社が世界一のシェアーをもっているアクリル樹脂メチルメタクリートの工場を建設する。自動車の塗料、携帯電話の表示窓ほか多様な用途に使われる。
旭化成はアクリルニトリルという化学品素材をシェールガスから量産する技術の開発に成功した。これまでの石油から分離したナフサから得られるプロビレン原料とする方法と比べ低コストの量産が可能となる。2018年操業を開始する予定で、工場稼働後世界第2位のシェアーをアップすることが期待される。その他、クラレ、三菱重工、炭素繊維メーカーの東レ、帝人、三菱レイヨン、などなど技術力のある製造業の米国への投資増強が目白押しである。

 

 アメリカのシェールガス革命は石油社会からガス社会への転換であり、モノづくりを根本的に変えるだけでなく、社会構造を変えるほどの21世紀最大のイノベイションであり、18世紀の英国に始まった産業革命に次ぐ、第2次産業革命と言っても過言ではないと思います。

アメリカが本格的にシェールガスを輸出するようになったら、世界のエネルギー価格が下がり、資源で外貨を稼いできた国々の経済は疲弊させてしまうでしょう。

こうした激動の世界で、日本が復活するには、アメリカの世界戦略に乗るしかありません。
アメリカも世界戦略を達成するには、日本の協力が必要不可欠となっております。
日本の政治は世界の情勢とアメリカの世界戦略を理解して、当たり前の適切な対応が求められると考える。

  

 

 

 

 


keynes 経済学の復活

2010-07-20 11:34:37 | 経済
100人の 20世紀  ケインズ 1/2

リーマン危機以降世界は経済的困難に直面しており、不況から脱出すべく喘いでいる。
20世紀初頭の欧州の状況に似ており、そのころの世界の覇者英国が採用したKeynes 経済学が、今また米国を始め先進各国で、不況からの脱出の処方箋として見直されている。
わが国だけは例外的に財政健全化を目指し、公共投資額を減らすことで、経済の復活を果たそうとしているが、そこにシッカリとした考えがあるのであろうか。

ギリシャ危機と日本の借金

2010-06-21 16:48:14 | 経済
金をジャブジャブに市場に流し、突然蛇口を閉めるようなことをすれば大変なことになることぐらい、金融の専門家が分からないこと自体が不思議である。20年前に日本もバブルを作ったのは政府や日銀が資金をジャブジャブに流しために、土地バブルをつくり、総量規制で資金供給を閉めたことが原因であった。米国でも同じような状況になっている。米連邦準備理事会(FRB)は住宅ローン担保証券を買い支えてきたが3月に買取を終了してしまった。住宅クローン担保証券の価格が大きく下落し、金融機関の含み損が増え、金融機関は住宅ローン融資を縮小し、住宅販売は減少して、住宅価格は下落することになる。日本でもECでも米国でも同じような構図でバブルが崩壊しているのである。

日本の行方。日本は米国の借金を支えているというが、どの程度なのでしょう

2007-05-16 07:26:31 | 経済
なんでや露店でアメリカの借金額を聞かれ、あまり正確にこたえられなかったので調べてみた。すると驚く数字が現れてきた。

以下、アメリカの借金=三つ子の赤字の額です。
(円換算は1ドル=120円で計算)

①財政赤字
これは、ネットで調べても総額がはっきりわからなかった。特にアメリカの地方自治体に当たる州政府の債務がわからない。そこで本で調べてみたものです。
以下は「実物経済の復活」(副島隆彦氏)からの引用。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
>2002年版のアメリカの経済白書(アメリカ財務省発行)では「2001年の連邦政府の累積債務は5兆7703兆ドル」となっている。・・・・この殆どは米国債の発行残高であろう。日本円に直すと693兆(約700兆)にしかならない。
>しかし実はアメリカでは連邦政府だけではなく50個ある州と、そのなかのさらに市や郡といった地方政府の債務が巨額なのである。
これがアメリカ財務省の累積債務には含まれていない。

>アメリカは、日本よりももっと高福祉国家であるから、公務員の数がものすごく多い。特に地方政府の公務員の数がものすごい。各種の福祉公務員が膨大な数で存在する。・・・・だから福祉国家の重圧に押されて州や市、郡が巨額の地方債を発行している。その額がおそらく6兆ドル(700兆円)を超えるだろう。だから連邦政府の分の700兆円と合わせると1400兆円になる。実に日本の2倍弱である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
2005年ではいくらになるのか?
2004年の単年度で連邦政府の赤字が約50兆円なので、地方(州)の分も同額と想定してみると
1400兆+50兆×3年×2=1700兆円!!

②貿易赤字(モノとサービスを合計した国際収支)
2003年で約52兆円の赤字!(リンク)単年度でこれだけの赤字ってすごい。
では、いままでの貿易赤字の累積値っていくらになるのか?それは、対外債務として現れるはず。これがはっきりしたデータがなかったが、
>九九年時点で約一兆四〇〇〇億ドルに達して・・(リンク)

99年時点で約160兆円であり、それ以降の単年度債務を(上記債務50兆から)おおよそ年平均約40兆と想定すると、2005年の対外債務は、
160+40×6年=400兆円 ・・・程度に膨らんでいることになる。

③家計の赤字
>2005年10月19日の日本経済新聞によれば、アメリカ家計の借金が、連邦政府(アメリカ)の債務を上回る8兆ドルに上っているそうです。住宅価格の上昇で借り入れの余力が増し、それが住宅取得目的以外の借り入れも広まったようです。
ちなみに8兆ドルという金額は日本円になおすと、約920兆円! (リンク )

★以上単純に合計してみると借金の合計:
1700兆+400兆+920兆=3020兆円!!

もちろん家計の資産に国債があったりして単純には合計できないし、想定の部分を含んでおり大雑把だが、おおよその目安になると思います。それにしても、すごい額です。(もしより詳しいデータをご存知の方は教えてください。)
※日本の借金1000兆円といっても、家計部門や貿易収支は黒字で、+-すれば借金はかなり少なくなるはず。(詳しくは調べる必要がありますが。)

アメリカのGDPが約1400兆円だから、借金はその2倍以上になる。こんな国が持ちこたえているのも日本などの買い支えがあるからだろう。それにしても実態は分かりにくい。
ムーディーズなどの格付け機関を使ったりして、表向き国債の健全性や競争力などをアピールしつつ必死にごまかしているのではないだろうか?中国やロシアが資産をユーロに移しているのもリスク回避のためだろう。

日本がアメリカを買い支えているのはいったい何百兆円なのか?どこまで買い支えるつもりなのか?・・・・そしてアメリカが暴落したら・・道連れ?

> 日本がアメリカを買い支えているのはいったい何百兆円なのか?
(101718)

確かに、この辺の全体像と正確なデータは掴み辛い。まず、財政の面について、官民の公表データを繋ぎ合わせてみた。

■米国の財政規模と財政赤字
2006年度(05年10月~06年9月)予算教書(財務省統計月報リンク (pdf)より)によると、米国中央政府の予算規模は、
歳入 2兆1780億ドル(約259兆円)※1ドル120円換算。以下同
歳出 2兆5680億ドル(約306兆円)
財政赤字 3900億ドル(約46兆円)
となっている。財政規模は日本の4倍(但し、日本の特別会計を入れると同等?)、毎年度の財政赤字額は日本並みである。

■財政債務の残高(中央政府)
同予算教書によれば、2004年度末の米国連邦債務残高は7兆3280億ドル(約879兆円)。GDP比は約63%となっている。これが2005年度には8兆50億ドル(約961兆円)、2010年度には11兆1140億ドル(約1334兆円)まで上昇すると予測されている。財政赤字は当面拡大を続ける公算だ。

■海外保有の米国債
UFJの調査レポートリンク (pdf)によれば、2004年末段階で海外が保有する米国債(財務省証券)の残高は1兆9360億ドル(約232兆円)。発行残高全体に対する海外保有分は43.5%に上る。逆算すると、米国債の発行残高は約4兆4500億ドル(約534兆円)、2004年度の連邦債務残高全体の約6割ということになる。残り4割は米国債以外の政府機関債等と考えられる。

■日本の米国債保有
上記の海外保有の米国債のうち、日本政府は36.8%に当たる7120億ドル(約85兆円)の米国債を保有している。発行残高に対する比率は、約16%になる。第2位は中国の1940億ドル(約23兆円)、3位は英国の1640億ドル(約20兆円)で、日本の比率がダントツである。このほぼ全てが、政府・日銀による円売りドル買いの為替介入の結果、外貨準備リンクとして積み増されていっている。

■地方政府の債務
ここまでは中央政府の話。地方政府はどうだろうか。
アメリカの地方債については、内閣府社会経済総合研究所のレポートリンクが詳しい。このレポートによれば、米国の州・地方政府の債務残高は2000年時点で1兆4500億ドル(約174兆円)、GDPの15.7%、連邦政府債務の約1/4となっている。この時の連邦政府債務が約6兆ドル弱だから、現在は地方債も増加している可能性は高い。米国の地方債は市場公募型となっていて、直接・間接を含め7割弱を家計が保有しているようだ。日本など海外の保有は明確には分からない。

この点は、
> その額がおそらく6兆ドル(700兆円)を超えるだろう。
とする副島隆彦氏の著作の記述とは違っていて検証が必要だと思う。

総合すると、日本は、現在約1000兆円強ある米国の中央・地方政府の累積債務のうち、約1割弱を支えているということになる。1割という数字だけでも米国債の市場価格を動かすには十分だろう。しかし、これは日本政府保有分のみで、これに一般の銀行や生保、ファンドなど機関投資家の保有する米国債その他の政府機関債、あるいは地方債が加わると思われる。

さらに、貿易、投資、家計のそれぞれの領域について、日米経済の相互依存関係がどうなっているのか整理していく必要がある。


(佳作)

日本の国際収支の状況

2007-05-15 09:47:15 | 経済
COLUMN

2005.11.24
経済金融調査部 亀岡裕次 [profile]
日米の所得収支が示唆すること

日本の所得収支が半期ベースで初めて貿易収支を上回った。2005年度上半期(4~9月)の貿易収支黒字が原油高の影響から前年同期比31%減の4.9兆円となったのに対し、所得収支黒字は同24%増の5.7兆円となった。アジアなどへの対外直接投資の拡大を背景に直接投資収益の受取が増え、また、対外証券投資の拡大に伴い利子収入など証券投資収益の受取が増えたことによる。

「国際収支発展段階説」によれば、一国の経済発展に伴い国際収支は以下に示す6つの段階を循環的に辿るとされている。

貿・サ収支 所得収支 経常収支 資本収支
(1) 未成熟債務国 赤字▲ 赤字▲ 赤字▲▲ 黒字++
(2) 成熟債務国 黒字+ 赤字▲▲ 赤字▲ 黒字+
(3) 債務返済国 黒字++ 赤字▲ 黒字+ 赤字▲
(4) 未成熟債権国 黒字+ 黒字+ 黒字++ 赤字▲▲
(5) 成熟債権国 赤字▲ 黒字++ 黒字+ 赤字▲
(6) 債権取崩し国 赤字▲▲ 黒字+ 赤字▲ 黒字+

現在、日本は(4)の「未成熟債権国」であり、経常収支の黒字と資本収支の赤字が膨らみやすい状況にある。貿易・サービス収支の黒字がたとえ増えなくても、一方で所得収支の黒字が拡大することで、経常収支の黒字は高水準を維持しやすい。経済財政諮問会議の『日本21世紀ビジョン』(2005年4月)は、 2030年には、貿易・サービス収支が赤字に転じる一方で東アジアからの直接投資収益が拡大し、日本は輸出立国から投資立国に変貌するとしている。つまり、(5)の「成熟債権国」となり、経常収支黒字の対GDP比が今より低下することになりそうだが、それはまだかなり先の話である。

一方、米国の所得収支は2005年4-6月期に▲4.5億ドル(季節調整済)となり、3年ぶりに赤字を記録した。民間部門の直接投資収益収支は対GDP比で1%前後の黒字を維持しているものの、財政赤字に伴う利払いで政府部門の所得収支赤字が拡大しているためだ。米国は上記(6)の「債権取り崩し国」にあたるが、経常赤字を背景に対外純債務が積み上がっていけば、所得収支が恒常的に赤字化し、(1)の「未成熟債務国」の国際収支パターンとなる。それは、もし貿易・サービス収支の赤字が減らないと、経常収支赤字がさらに膨らんでしまい、赤字発散の危機につながりかねないことを意味する。

準備通貨のドルを発行している米国だからといって無尽蔵に対外赤字を増やせるわけではなかろう。米国は昨年来、利上げにより実質金利を引き上げてきた。今後、貯蓄率の上昇と投資率の低下により、経常収支赤字が縮小に向かう可能性はある。ただし、米国景気の悪化を伴うリスクもあり、“持続性のある経常赤字縮小”となるかは不透明である。日米の所得収支にみる対照的な動きは、国際収支の不均衡拡大を示唆する注目点と言えるだろう。

磯村秀孝氏の論文を転載
(四)国際収支の赤字を武器に他国を搾取するアメリカの金融帝国主義

 ニュースウィーク誌の一二月二五日号は、「九〇年代を席巻したグローバリズムの甘すぎた幻想が、ついに終ろうとしている」と指摘し、交易を世界中に広めれば、戦争がなくなるといった楽観的な議論はglobaloney(地球規模の妄言)であると指摘している。
 アメリカ式のグローバリゼーションが広まったのは、第二次大戦以後のことだが、国連の九九年人間開発報告は「富める国々は益々裕福になり、貧しい国々は益々貧困の度合を強めている」と指摘している。反グローバリゼーションの人々は、これを根拠にして各地で反対運動を繰り広げているが、コロンビア大のハビエル・サライマルティー教授は「確かに国ごとの貧富の差は拡大しているが、貧しい国々もそれなりにグローバリゼーションの恩恵を受けており、生活水準は飛躍的に向上している」と分析している。グローバリゼーションの反対派は「アメリカ政府と企業は、自分達の利益を守って生き延びるために、世界を支配する必要に迫られている」と主張するが、アメリカの経済学者のマイケル・ビーセスは「マクドナルドという米国企業が世界のファーストフードを支配している訳ではなく、地域の企業家が経営しているのだ」と反論する。
 しかし我々は、このような矮小化された議論に組みしてはなるまい。

 現在のアメリカが構築したものは、これまでの国家には例を見ないような巧妙な形で、世界から資金を吸い上げるメカニズムである。九七年のアジア通貨危機の際の韓国やインドネシアのように、債務に喘ぎドル不足に悩む国々に対しては、IMF(国際通貨基金)や世界銀行を通じて、工業化や農業化を阻むような緊急政策を押し付け、極端に切り下げられた通貨の下で、原料の輸出や安価な労働力の提供をする道を歩まされる。他方で、ドルが過剰になっている日本やヨーロッパなどの国際収支黒字国に対しては、国際経済の危機を避けるためという大義名分の下に、余剰のドルでアメリカの国債を買い続け、黒字の蓄積をアメリカに還流するように要求する。

 アメリカが行っているこのような新たな金融帝国主義の特長は、経済的な余剰を吸い取る主体が民間企業ではなく、アメリカの中央銀行であり国家自体であるという点にある。そして、この金融帝国主義を謳歌できるのは、国際通貨であるドルを発行できるアメリカ一国だけであるという事実である。
 しかし注意すべきことは、この型の金融帝国主義は、資本主義に固有のものではないということである。曾ってソヴィエト連邦は、貿易、投資、金融のルールを握る機関に対して支配権を行使していた。貿易価格や支払いシステムを支配していたソ連は、ルーブルが金との交換性がないことを前提に、コメコンの衛星諸国を搾取したのである。

 もしも、莫大な請求権を持っている日本やヨーロッパの国々が、債権国の伝統的な特権に従い、(一九二〇年代のアメリカがイギリスその他の同盟国に対して振舞ったと同じように)アメリカに対して主要な企業や美術館の所蔵品を投げ売りするように迫ったどうであろうか。しかし、日本もほとんどのヨーロッパ諸国も、この債権国としてのカードを使わなかった。逆に日本は、まるで債務国のように振舞い、八〇年代の中ごろ、アメリカの不自然な金利引き下げ要求を、飲んだのである。その結果、日本の財政は借金漬けとなり、株価や地価が暴騰し、バブル時代に突入した。そしてバブルが弾けた後遺症に、我々は現在も悩まされているのである。


(五)世界最大の対外純資産国家日本の予想される陥穽

 日銀の調査月報によると、〇一年末の日本の対外純資産は一七九兆三〇〇〇億円(前年度比三四・七%増)となり、過去最高を記録して、九一年以来一一年連続して世界一の債権国となっている。

 これに対して、米商務省が〇二年六月二八日に発表した〇一年末の国際投資統計によると、外国政府・企業等が保有する米国内の資産(米国の債務)は、二・七%増の九兆一七二〇億ドルであったのに対して、米国が外国に保有する対外資産は、六・六%減の六兆八六二九億ドルに留まった。その結果、米国政府・企業等が外国に保有する〇一年末の「対外純債務残高」は、前年比四五・九%増の二兆三〇九一億ドルと大幅に悪化し、世界最大の債務国アメリカは、ストックとしての負の財産を益々増加させつつあることが解る。

 更に米商務省が〇二年九月一二日に発表した〇二年上期(一~六月)の経常収支の赤字額は、累計で二四二四億一三〇〇万ドル(前年同期比で一七・一%の増加)となり、上半期ベースで、過去最大の赤字額を計上した。フローとしての経常収支においても、アメリカは赤字を益々増加させつつあることが憂慮される。

 アメリカは、政府も企業も個人も、能力以上にカネを使い、豊かな生活をしていることになる。アメリカ経済の本質は、商品を輸入により海外から供給させ、赤字国債を海外政府に消化させることにより、資金を海外から供給させる構造に他ならない。冷戦終結後も、アメリカは湾岸戦争で多国籍軍の中核となり、コソボ紛争でもNATO軍の主力として参戦した。現在もイラク戦に供えて、大量の軍事力をイラク周辺に集結させている。膨大な軍事支出を賄うために、アメリカは赤字国債に依存せざるを得ないが、赤字国債のかなりの部分は、アメリカ人の貯蓄ではなく、日本を初めとする諸外国の資金によって消化しているのが現状である。

 国の対外債務が増加していくと、その借金に対する利子の支払いが増え、受取り利子よりも支払い利子の方が大きくなることは必至である。アメリカの場合、投資収益収支がマイナスに転じたのは九八年からである。〇〇年においては、海外投資からの受取りが三五二八億ドルであるのに対して、外国への支払いは三六七五億ドルとなった。

 ※ 諸外国の対米直接投資の収益性が二・四八%に対して、アメリカの対外直  接投資の収益性は六・〇五%と、約二・四倍の高収益率を誇っている。しか  し、それにもかかわらず、投資収益収支がマイナスに転じている点に、注目  しなければなるまい。

 しかしアメリカといえども、際限なく借金を累積し続けることは不可能であろう。お金の流れと経済の実態とは、いずれ調整されなければならない筈である。その調整の代表的なシナリオを予想してみることは、日本のような最大の対外純資産国にとって、極めて大切なことと思われる。

 第一のシナリオは「債務返済の拒否」である。アメリカは一九世紀に、イギリスに対して鉄道債の支払いを拒否したことがある。もしも、対外債務の支払いをアメリカが拒否すれば、ドル・レートが暴落して大不況を招き、世界金融は大混乱を引き起こすことになろう。

 第二のシナリオは、インフレーションである。アメリカ経済の健全性を損なうことを覚悟の上で、経済をインフレに誘導し、ドルの価値を暴落させ、アメリカ政府の実質的な債務を軽減する方法である。日本などの債権国が大きな損失を被ることは必定である。

 第三のシナリオは、急激なドルの切り下げを断行する方法もある。アメリカ国債はドル建て債券であるから、ドル・レートの大幅で急激な切り下げは、日本とヨーロッパのドル建て債券の保有国に、もっとも大きな打撃を与えることになろう。最大の対外資産を保有する日本は、そのほとんどがドル建てであるから、ドル切り下げは日本に甚大な損害を与えることになり、日本の富みは一瞬にして収奪されてしまうだろう。
 
 第四のシナリオは、アメリカの国内需要の抑制である。しかし消費を喚起することで国内景気の浮上を図ってきたアメリカが、このようにIMF(国際通貨基金)の緊急対策のような政策を上手に実施できるかどうかは、甚だ疑問である。

 第五のシナリオは、何も手を打たずに放置することである。つまり現状の問題を放置しても、今まで通り外国から資金が大量にアメリカに還流するというシナリオである。このシナリオは、ドルという基軸通貨が喪失してしまう危機を回避するために、債権国がアメリカにやむを得ず融資を継続する方が好ましいという債権国の合意によってのみ可能となる。そしてこのシナリオは、ドルに変わる基軸通貨が永久に登場しないという前提に立っている。
 しかし現実には〇二年一月から、欧州連合の加盟国のうち、経済通貨統合に参加している一二ヶ国で、ユーロ貨幣が共同通貨として流通し始めたので、将来は世界各国の外貨準備高に占めるユーロの割合は、ドルと同じくらいになることが期待されている。また円の地位は、ドル、ユーロに比べて相対的に低いと言われているが、日本はアジア諸国などに対して、円・ドル・ユーロなどを組み合せた「通貨バスケット」方式の為替制度を導入することを提案している。これらの動きは、基軸通貨としてのドルの地盤沈下を前提にした動きとも考えられる。いずれにしても、金との交換が保証されない一国の通貨が、基軸通貨として信用を保ち続けることは不可能であるから、将来はドル、ユーロ、円などの複数の通貨が、競争原理を介在させながら、基軸通貨の役割を分担することになろう。

FRB Bernanke-金利政策誤りか?インフレ抑えれるか?

2006-05-01 08:39:57 | 経済
Treasury 10-Year Returns Jeopardized by Bernanke's Rate Plans
May 1 (Bloomberg) -- U.S. 10-year Treasuries may underperform two-year notes for the first time since 2003 after Federal Reserve Chairman Ben S. Bernanke raised investor concerns the central bank will fail to keep inflation in check.

Longer-maturity debt fell and Treasuries with shorter- maturities rallied last week as Bernanke suggested the central bank may slow the pace of interest-rate increases. Ten-year yields ended the week 19 basis points above those on two-year notes, the most since Nov. 4. The difference, known as the yield curve, was flat a month ago.

Economists at Barclays Capital Inc. said in an April 28 report that the reaction shows investors expect the Fed ``may fall behind the curve.'' Bernanke's comments in testimony to Congress caught investors off guard because commodity prices are close to records, sparking concern faster inflation will erode the purchasing power of fixed-coupon payments on 10-year notes.

``A declared bias by the Fed to pause imminently, with upside risks to inflation and inflation expectations, means the central bank risks not being credible,'' Wan-Chong Kung, whose group invests $20 billion at First American Funds in Minneapolis, said last week. ``We see the curve continuing to steepen.''

Steeper Curve

The Treasury's 4 1/2 percent note due February 2016 fell to 95 3/4 on April 28 from 96 1/16 a week earlier, sending its yield 4 basis points higher to 5.05, according to New York-based Cantor Fitzgerald LP.

The 4 7/8 note due April 2008, auctioned April 26, the day before Bernanke spoke, ended the week at 100 1/32 to yield 4.86 percent. The note yielded 4.975 percent when it was sold.

The gap in yields expanded by 8.2 basis points last week, the most since the period ended March 10, when a report showed wage growth accelerated in February.

The Fed's success under Alan Greenspan in keeping inflation subdued gave investors confidence to buy longer-maturity debt even as the central bank raised rates 15 times beginning in June 2004. Ten-year notes were little changed over that time while two year yields rose from 2.68 percent. Bernanke took over from Greenspan on Feb. 1.

``The Fed pausing or stopping means they're less vigilant in fighting inflation,'' Jeff Given, part of a group that manages $10 billion of bonds at John Hancock Advisers LLC in Boston, said last week. ``It will be a steeper Treasury curve going forward.''

Another Rate Rise

Two-year notes have returned 0.61 percent this year, compared with a loss of 4 percent for 10-year notes, according to Merrill Lynch & Co. index data. The last time 10-year note returns were lower than two-year securities was 2003, when they handed investors 1.32 percent. That was the year that the Fed was concerned consumer price gains were too low.

The Labor Department on April 19 said core consumer prices rose 0.3 percent in March, the most in a year.

Andrew Harding, who oversees $16 billion in cash and bonds at Allegiant Asset Management in Cleveland, said in an interview last week the yield curve may reach 50 basis points this year. He is considering adding to his holdings of two-year notes.

``Even if in the committee's judgment the risks to its objectives are not entirely balanced, at some point in the future the committee may decide to take no action at one or more meetings in the interest of allowing more time to receive information relevant to the outlook,'' Bernanke said.

The Fed has raised its target rate by 3.75 percentage points to 4.75 percent. Interest-rate futures, or bets on where the Fed's rate may be in a particular month, show traders are certain policy makers will boost rates on May 10 to 5 percent. There is a 28 percent chance of another quarter-point increase by July, down from 64 percent on April 26, futures show. The odds of it reaching 5.25 percent in August are 52 percent.

Risk Compensation

Long-term securities typically yield more than short-term debt because investors want to be compensated for the risk that inflation accelerates over the life of the bond.

Over the past 20 years, 10-year Treasury yields exceeded two- year yields by an average of 88 basis points. The curve inverted for the first time since 2001 on Dec. 28, and two-year yields exceeded 10-year yields by as much as 16 basis points on Feb. 23 after the Fed raised its target rate by a quarter point to 4.50 percent and signaled more were on the way.

Michael Roberge, who oversees $40 billion as chief fixed- income officer at MFS Investments in Boston, said April 28 that the yield curve is about where it should be.

``The steepness of the curve now is fair,'' he said. ``We would become more concerned if the economy continues to grow pretty rapidly and the Fed prematurely goes on hold.''

Inflation Protection

First American's Kung said she's concerned high energy and commodity prices will seep into core inflation after reports last week showed consumer confidence and new and existing home sales all unexpectedly rose.

Yields on 10-year Treasury inflation-protected securities, or TIPS, declined more than those on regular Treasuries, as investors were willing to pay more for bonds that protect them against rising consumer prices.

The gap between yields on TIPS and regular Treasuries due in 2016 widened 6 basis points after Bernanke's testimony to as much as 2.68 percentage points, the highest since April 2005. The difference is the average inflation rate investors expect over the next decade.

``The market is beginning to price a Fed that may fall behind the curve,'' Dean Maki, chief U.S. economist at Barclays in New York wrote in the report. ``The risks in the near term are a continuation of this move with higher rates and a steeper curve as risk premium and increased inflation expectations are priced in.''




To contact the reporter on this story:
Deborah Finestone in New York at dfinestone@bloomberg.net;
Al Yoon in New York at ayoon@bloomberg.net.

Last Updated: April 30, 2006 11:

消費者購買意欲がバブル期並みに改善?

2006-04-17 21:09:21 | 経済

http://www.asahi.com/life/update/0417/010.html

 内閣府が17日発表した3月の消費動向調査によると、今後半年間の購買意欲を示す消費者態度指数(2人以上の一般世帯、季節調整値)は、昨年12月の前回調査より0.3ポイント高い48.2だった。バブル景気が終わったばかりの91年6月以来、約15年ぶりの高水準。バブル景気にわいた88年12月と89年12月に記録した過去最高値の50.8に近づいた。

 同指数を構成する4項目のうち「雇用環境」は、前回比1.6ポイント増の53.7と、過去2番目の水準。「暮らし向き」は前期と同じ。「収入の増え方」と「耐久消費財の買い時判断」はやや悪化した。


2大政党制による国会正常化がなるかどうかー民主党代表選

2006-04-07 09:05:16 | 経済
asahicom:小沢陣営、過半数に自信 民主代表選-政治
日本は戦後70年の間に、焼け野原から立ち上がり世界第2位の経済規模の豊かな国になったといわれている。しかし、財政破綻、教育の劣悪化、年金福祉不安、社会モラルの欠如、極悪非道の犯罪の多発などからみて、日本は住み心地のよい苦になったとは思えない