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日本銀行の敗北(石井正幸著)

2006-04-10 12:59:20 | 読書
失われた10年の背信と表紙に印刷されているが、日本のエリートと自認している連中が10年どころか戦後今までの間、日銀という日本の経済を守る立場と役割を果たさずに高給を育んできたのではなかろうかと、日本国民を裏切る最大の背信行為を犯したのではなかろうかと、全く腹正しい気持ちになった次第である。

この本によると、日本経済の重大な局面における失政は下記の通りである。
1.70年代の前半の物不足、狂乱物価:ニクソンショックを契機として激動して  いた国債金融の中で、日銀および政府の為替政策の未熟さと決断力の不足で、  米国主導に依存し、過剰流動性を引き起こし、狂乱物価と物不足に陥り、金融  政策は全く機能しなくなった。
2.80年後半のバブル経済の発生、と拡散:景気の実態を見誤り、金融を引き締  めるべき時に、逆に公定歩合を引き下げて、バブル発生を許し、拡散させた。
  このときの判断も、米国からの圧力で欧米経済への配慮に傾注しすぎた。
3.バブル経済崩壊局面での問題の先送り:中央銀行の役割は金融機関が預かった  国民の金を謝った貸し手に貸していないか常に監視することが重要な役割であ  るが、金融機関の資産内容を厳格に審査せず、甘い検査基準で管理を怠り、抜  本的対策をせずに、問題を先送りした。大手金融機関の破綻を招き、金融破た  ん問題の解決を結局金融  再生機構、金融監督庁に負かさざるを得ないこと  になってしまった。
4.すでに破綻している日債銀、長銀、中小金融機関を闇特融で延命策をはかり、
  傷を広げて、財政負担を激増させた。その後も、信金、信組、拓銀、山一証   券と次々と、誤った判断で再生を目指したために、金融破綻を大きくし、対応  に手間取る結果となった。

以上のように日銀は本来なすべき役割を果たしていないために、金融混乱を引き起こし、平成不況を長引かせてしまったといっても過言ではないであろう。

新日銀法による金融政策の独立性とは、
政府の経済政策との整合性を保ちつつ、国会の同意を得て内閣が任命した3人の正副総裁と6名の審議員からなる9名の政策委員が一人一票の投票権を行使して、多数決で自主的に金融調整手段を決定することに、尽きる。


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