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大阪弁で何故ですか?という意味です。

日本の行方。日本は米国の借金を支えているというが、どの程度なのでしょう

2007-05-16 07:26:31 | 経済
なんでや露店でアメリカの借金額を聞かれ、あまり正確にこたえられなかったので調べてみた。すると驚く数字が現れてきた。

以下、アメリカの借金=三つ子の赤字の額です。
(円換算は1ドル=120円で計算)

①財政赤字
これは、ネットで調べても総額がはっきりわからなかった。特にアメリカの地方自治体に当たる州政府の債務がわからない。そこで本で調べてみたものです。
以下は「実物経済の復活」(副島隆彦氏)からの引用。
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>2002年版のアメリカの経済白書(アメリカ財務省発行)では「2001年の連邦政府の累積債務は5兆7703兆ドル」となっている。・・・・この殆どは米国債の発行残高であろう。日本円に直すと693兆(約700兆)にしかならない。
>しかし実はアメリカでは連邦政府だけではなく50個ある州と、そのなかのさらに市や郡といった地方政府の債務が巨額なのである。
これがアメリカ財務省の累積債務には含まれていない。

>アメリカは、日本よりももっと高福祉国家であるから、公務員の数がものすごく多い。特に地方政府の公務員の数がものすごい。各種の福祉公務員が膨大な数で存在する。・・・・だから福祉国家の重圧に押されて州や市、郡が巨額の地方債を発行している。その額がおそらく6兆ドル(700兆円)を超えるだろう。だから連邦政府の分の700兆円と合わせると1400兆円になる。実に日本の2倍弱である。
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2005年ではいくらになるのか?
2004年の単年度で連邦政府の赤字が約50兆円なので、地方(州)の分も同額と想定してみると
1400兆+50兆×3年×2=1700兆円!!

②貿易赤字(モノとサービスを合計した国際収支)
2003年で約52兆円の赤字!(リンク)単年度でこれだけの赤字ってすごい。
では、いままでの貿易赤字の累積値っていくらになるのか?それは、対外債務として現れるはず。これがはっきりしたデータがなかったが、
>九九年時点で約一兆四〇〇〇億ドルに達して・・(リンク)

99年時点で約160兆円であり、それ以降の単年度債務を(上記債務50兆から)おおよそ年平均約40兆と想定すると、2005年の対外債務は、
160+40×6年=400兆円 ・・・程度に膨らんでいることになる。

③家計の赤字
>2005年10月19日の日本経済新聞によれば、アメリカ家計の借金が、連邦政府(アメリカ)の債務を上回る8兆ドルに上っているそうです。住宅価格の上昇で借り入れの余力が増し、それが住宅取得目的以外の借り入れも広まったようです。
ちなみに8兆ドルという金額は日本円になおすと、約920兆円! (リンク )

★以上単純に合計してみると借金の合計:
1700兆+400兆+920兆=3020兆円!!

もちろん家計の資産に国債があったりして単純には合計できないし、想定の部分を含んでおり大雑把だが、おおよその目安になると思います。それにしても、すごい額です。(もしより詳しいデータをご存知の方は教えてください。)
※日本の借金1000兆円といっても、家計部門や貿易収支は黒字で、+-すれば借金はかなり少なくなるはず。(詳しくは調べる必要がありますが。)

アメリカのGDPが約1400兆円だから、借金はその2倍以上になる。こんな国が持ちこたえているのも日本などの買い支えがあるからだろう。それにしても実態は分かりにくい。
ムーディーズなどの格付け機関を使ったりして、表向き国債の健全性や競争力などをアピールしつつ必死にごまかしているのではないだろうか?中国やロシアが資産をユーロに移しているのもリスク回避のためだろう。

日本がアメリカを買い支えているのはいったい何百兆円なのか?どこまで買い支えるつもりなのか?・・・・そしてアメリカが暴落したら・・道連れ?

> 日本がアメリカを買い支えているのはいったい何百兆円なのか?
(101718)

確かに、この辺の全体像と正確なデータは掴み辛い。まず、財政の面について、官民の公表データを繋ぎ合わせてみた。

■米国の財政規模と財政赤字
2006年度(05年10月~06年9月)予算教書(財務省統計月報リンク (pdf)より)によると、米国中央政府の予算規模は、
歳入 2兆1780億ドル(約259兆円)※1ドル120円換算。以下同
歳出 2兆5680億ドル(約306兆円)
財政赤字 3900億ドル(約46兆円)
となっている。財政規模は日本の4倍(但し、日本の特別会計を入れると同等?)、毎年度の財政赤字額は日本並みである。

■財政債務の残高(中央政府)
同予算教書によれば、2004年度末の米国連邦債務残高は7兆3280億ドル(約879兆円)。GDP比は約63%となっている。これが2005年度には8兆50億ドル(約961兆円)、2010年度には11兆1140億ドル(約1334兆円)まで上昇すると予測されている。財政赤字は当面拡大を続ける公算だ。

■海外保有の米国債
UFJの調査レポートリンク (pdf)によれば、2004年末段階で海外が保有する米国債(財務省証券)の残高は1兆9360億ドル(約232兆円)。発行残高全体に対する海外保有分は43.5%に上る。逆算すると、米国債の発行残高は約4兆4500億ドル(約534兆円)、2004年度の連邦債務残高全体の約6割ということになる。残り4割は米国債以外の政府機関債等と考えられる。

■日本の米国債保有
上記の海外保有の米国債のうち、日本政府は36.8%に当たる7120億ドル(約85兆円)の米国債を保有している。発行残高に対する比率は、約16%になる。第2位は中国の1940億ドル(約23兆円)、3位は英国の1640億ドル(約20兆円)で、日本の比率がダントツである。このほぼ全てが、政府・日銀による円売りドル買いの為替介入の結果、外貨準備リンクとして積み増されていっている。

■地方政府の債務
ここまでは中央政府の話。地方政府はどうだろうか。
アメリカの地方債については、内閣府社会経済総合研究所のレポートリンクが詳しい。このレポートによれば、米国の州・地方政府の債務残高は2000年時点で1兆4500億ドル(約174兆円)、GDPの15.7%、連邦政府債務の約1/4となっている。この時の連邦政府債務が約6兆ドル弱だから、現在は地方債も増加している可能性は高い。米国の地方債は市場公募型となっていて、直接・間接を含め7割弱を家計が保有しているようだ。日本など海外の保有は明確には分からない。

この点は、
> その額がおそらく6兆ドル(700兆円)を超えるだろう。
とする副島隆彦氏の著作の記述とは違っていて検証が必要だと思う。

総合すると、日本は、現在約1000兆円強ある米国の中央・地方政府の累積債務のうち、約1割弱を支えているということになる。1割という数字だけでも米国債の市場価格を動かすには十分だろう。しかし、これは日本政府保有分のみで、これに一般の銀行や生保、ファンドなど機関投資家の保有する米国債その他の政府機関債、あるいは地方債が加わると思われる。

さらに、貿易、投資、家計のそれぞれの領域について、日米経済の相互依存関係がどうなっているのか整理していく必要がある。


(佳作)