早朝から、初雪の中を頑張って行ってきました。
中村屋の出店をサポートするためなのですが、
なぜか本業を忘れて…そっちのけで…?
サービスセンターの照井社長と『ねちねち』と
787Bを眺めているとそこに…
今回、岡山国際に持ち込まれた787Bは製造された
3台の787Bで一番後から製造された
シャシーNo.003号機です。
午前中によだれを垂らしながら見ていると、
担当のメカニックの方(適当に以下N氏)があらわれたので
『エンジンのウォームアップは何時からですかぁ~』とか言って
接近すべく怪しまれないようにコンタクトしてみる。
N氏は親切に答えていただき。
『非常に好印象』な方でした。ここで中村屋のティッシュを渡す。
ちなみに今回の003号機は、チャンピオンマシーン(002号機)とは
カラーリングが異なります。
オレンジと緑の配色が逆で、
耐久に出場しないためライトがありません。
↓2011年に走行したチャンピオンマシーン
そうこうしていると、
N氏と我々の会話に割り込んできた、
中年のおっさんが787Bのドアを開けて
荷物を置いて行った…
よく見ると本日の787BのドライバーMr.ルマン 寺田氏であった。
少々タイムテーブルとは時間が押してきておりますが、
無事に走行も終了して再びピットに帰ってきた
787Bは、エンジンが冷めるのを待って、
次回の走行の為に色々とメンテされていきました。
ボディーについて
ジャッキアップはエアジャッキによる3点支持です。
フロントが2か所、リアに1か所の3点で、
リアのエアシリンダは外付けです。
ひっかけ式のフレームのホルダーにシリンダをひっかけて
エアーを入れると立ち上がります。
↓リアの取付け部
ちなみに、ホルダーの右側の赤いターミナルは
外部バッテリー接続用のターミナルです。
タイヤ、ホイール、ブレーキ関係
タイヤはルマン当時はダンロップですが、
現在はLMPのタイヤに近似サイズがあるので
それを使っているとのことでしたが、
お値段はびっくりお値打ち価格でした
迂闊にパンクも許されない
孤高のレーシングカーの宿命と思いました。
ホイールは、当時のままのVOLKRacingのマグネシウムです。
走行用と、移動用の2セットでしたが、
移動用はほんとの”転がし用”でした。
走行後清掃の為、タイヤが外されました。
キャリパーはブレンボの対向4ポッドです。
ローターは当時のままの、カーボンローターです。
一部報道では引退後スチールローターに
換装されたとかありますが、
そのまんまのカーボンでした。
断面に冷却用の穴が多数開いておりますが、
予選用は小さい穴のローターで早く稼働温度になるように
仕様が違うとのことです。さすが贅沢です。
フロントブレーキは、
カウルの前面ダクトから冷却用エアーを取り込んでいます。
リアはリアカウルの煙突から引き込んでいますが、
デモ走行の場合は負荷が軽すぎて
ブレーキの温度が上がらないので、
大抵の場合煙突の2/3はテープで塞がれています。
ブレンボのわがままな冷却の要求に合わせたのが、
当時はマツダのみだったというは有名な話です。
前輪のホイールには空気抵抗の減少の為
カバーがついていますが、
内面には放熱用のフィンがついていました。
ホイールはセンターロックですが、ハブについている金色の突起が
ホイールの内面と噛み合ってハブのセンターが正確に出るようです。
ロックナットは当然テーパー式で、右側は走行中に緩まないように
逆ねじのナットです。
エンジン関係
R26Bは4ローターロータリーエンジンで800馬力くらいです。
レブリミットは通常8000~8500rpmくらいで、
サーキットによってギアが合わないときは
9000rpm位までは許容範囲とのことでした。
(それより回すと燃費が悪くだけですよとのことです)
点火プラグは各ローターあたり3プラグ方式で
コイルはFDよりも小ぶりですが、各プラグに1個づつついてます。
エアセパレータータンクのキャップのリリーフ圧は88kpsでしたので
約0.9㎏/c㎡でFDと同じでした、
現地では13psiの表示を勘違いして1.3㎏/c㎡と思い込みましたが、
実際は違っておりました。
水量のセンサーはFDのものとそっくりです、
インジェクターがプライマリー/セカンダリーの2本立てかを
見逃しましたが、デリバリーの燃温センサもFDのと同じで
実に親近感がもてます。
ECUについては、当時(1991年)としては最先端の多分16Bit制御
256kb位のROMにデータ書いてあるようです。
この辺の仕組みはECO CPUと同じです。(本当か??)
さすがにECUは特注の一発物のようで、
サーキットごとにメインマップ書いてから
フィードバック部分で細かく調整するということでした。
テレメーターも色々な情報を送れるようになっていて、
リアルタイムにピットとやり取りするデータ(エンジン回転数等)は
無線で送り、
周回ごとに測定するデータは光ビーコンで送っていたらしいです。
天井にアンテナが2本立っているのは、1本は音声の通信用で
もう一本が無線のテレメーター用。
ウインカーの上にLEDのデカいようなものが
埋め込んであるのが光ビーコンだそうです。
吸気系は自慢の『可変ファンネル』です。
エンジン回転数に応じて、インテークのファンネルが
可変する、リニア可変吸気機構つきです。
この可変吸気は走行時はエアクリボックス内にあり見えませんが、
このボックスをメカのオジサンが開け始めましたので、
『これは見える!』と直感しオジサンの横でスタンバイしております。
そのうち蓋がはずれ、そこにはファンネルが~~
メカのN氏曰く『次いつ走るかわからないので~』とかいって、
注油してます。
すげ~伸びたり縮んだりギミック満載~
バタフライが見えるか挑戦してみました。
冷却系
ラジエータはフロントです、エンジンの吸気は車体右サイド
左サイドはオイルクーラー、
リアウイングの前にミッションオイルクーラーがあります。
フロントラジエータの為コクピットの足元がかなり熱くなるようです。
コクピットはカウルからエアーを導入してベンチレーションや
デフロスターに利用しています。
エアクリボックスの吸入口にはスポンジのフィルターがありました。
実際に触ってみたので間違いありません。
二人であれやこれやとN氏に質問しています。
N氏も嫌な顔せず親切に丁寧に説明していただけるので、
何とかコクピットに座らせてもらえないかと思いましたが、
さすがに言い出せませんでした。
跳ね上げたドアの内側の赤いハンドルで
内部からドアが開けられます。
レギュレーションで緊急時は決められた秒数以内で
脱出できることが条件づけられているとのことでした。
車体の装飾はカッティングシートです。
当時のスポンサーレナウンも中国企業の傘下に入るなど、
少々残念な部分もあります。
今回は、某なんとかエンターテイメントさんのスタッフが
走行中のエンジン音をサンプリングすべく、
最先端デジタル録音機材を積み込んで走行するために
各所にマイクをセッティングしておりました。
ちょっと目を離すと照井氏は、外したカウルを持ち上げてみたり、
大人気無い行動をしておりましたが、
我々が787Bを好きすぎるということがアピールできたと思います。
次回こそは大胆に操縦編をお送りしたいと思います。
まあ、まずはライセンスが必要です。