本朝徒然噺

着物・古典芸能・京都・東京下町・タイガース好きの雑話 ※当ブログに掲載の記事や写真の無断転載はご遠慮ください。

アークヒルズ秋まつり

2004年09月19日 | 伝統文化あれこれ
アークヒルズ秋まつりに行った。

アーク・カラヤン広場で、屋台が並ぶとともに、技が冴える指人形、昔懐かしい紙芝居、江戸の伝統芸「曲ごま」(こまの曲芸)、越中国(えっちゅうのくに)富山で300年以上の伝統を持つ「おわら風の盆」など、様々なパフォーマンスが行われていた。

指人形は、もともと油絵画家だった作者による、手作りの人形を使ったパフォーマンス。人形の緻密な作りもさることながら、指で操作しているとは思えないほどの細やかな動き。
酔っ払いや夫婦げんか、釣りなど、ユーモアあふれる小劇で、観客を楽しませていた。

紙芝居は、ふだんは浅草で人力車を引いているというおねえさんが一生懸命やっていた。子どもたちもたくさん集まっていた。
今の子どもたちは、昔とちがって物や娯楽に不自由していないので、はたして紙芝居に興味を示すのだろうか、と思っていたのだが、みんなかなり真剣に見ていた。
パソコンやテレビゲームに慣れている今の子どもには、却って新鮮だったのかもしれない。
子どもの情操教育には、生身の人間が演じるものを目の前で見ることがいちばんだと思う。演劇でも、音楽でも。

江戸曲ごまをやっていたのは、三増流江戸曲独楽宗家である三増紋也師匠とお弟子さんの三増れ紋さんだった。
扇の上でこまを回したり、刀の刃の上でこまを渡らせたり、糸の上を渡らせたり、キセルの上で風車のように回したり、江戸前の伝統の芸を披露していた。

パフォーマンスのなかでいちばん人気を集めていたのが「おわら風の盆」(写真)。
富山の山里、八尾(やつお)で300年以上の歴史を持ち、民謡「おわら」の唄や、三味線や胡弓の音色に合わせ、編笠をかぶった男女が踊りながら歩く。
唄は、静かな、どこかさびしげな感じのする節回しで、踊りもそれによく合った、美しく優雅なものだった。
「おわら風の盆」は、富山では毎年9月のはじめに行われるが、現地の人々は、この行事が終わると稲刈りに入るらしい。

ビルの谷間で、古きよき日本の伝統と人間らしい心を感じることのできた一日だった。


追伸:
もちろん着物で出かけた。9月なので、当然のことながら、単(ひとえ。裏地のついていない着物)である。屋外にいるので、汚れてもいいように、洗えるポリエステルの着物にした。気軽な場へ行く時にふだん着として着るなら、ポリエステルの着物は手軽でいい。単の着物は、6月と9月にしか着ないためぜいたくだと言われていたが、今はインターネットで、洗える着物だけでなく、正絹の仕立て上がりでお手軽なものもけっこう売られている。
着物を着る時にいちばん大切なのは、「季節感」と「TPO」である。季節と場に合ったものでなければ、どんなに本人がいいと思っていても、恥をかいてしまうし、結果的に周りの人に失礼になってしまう。着物を着て街を歩こうという人は、まず着物の本で決まり事をお勉強しましょう。
アークヒルズには、京都物産館もある。京都では10月1日から12月15日まで、着物で観光をする人にさまざまな特典があるキャンペーンをやるらしい。
旅行シーズンの秋、着物で京都にでも行ってみようかな。
ちなみに私は、京都に行く時と歌舞伎座などへ観劇に行く時だけは、絶対にポリエステルの着物は着ていかない。夏以外は、絶対に絹の着物を着て絹の帯をお太鼓に締めるし、夏でも、浴衣に下駄ばきなどでは絶対に歩かず、悪くても麻や綿絽のものに半衿・襦袢を合わせ、お太鼓の帯を締めて足袋と草履を履く。
着物通の人がたくさんいるところで、うかつなかっこうではこわくて歩けません。




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