本朝徒然噺

着物・古典芸能・京都・東京下町・タイガース好きの雑話 ※当ブログに掲載の記事や写真の無断転載はご遠慮ください。

雪対策

2006年01月20日 | 着物
明日21日は、関東地方の平野部でもうっすらと積雪があるかもしれない、との予報が出ています。

明日は、またまた歌舞伎座へ行くことになっていて当然着物を着る予定。
いつもなら、雪が積もる時はさすがに洋服で行くことを考えるのですが、坂田藤十郎襲名披露興行なので何としても着物で行きたい!

「雨の日の着物」は何度も経験してすっかり慣れています。しかし、雪となると勝手が違うのが「足元」。
雨の時は草履カバーを使えば、普通の草履を雨用草履として使えます。しかし、草履カバーはビニール製なので、雪の上を歩くと安定感が悪そう……。
それに、ある程度草履の高さがないと、雪を踏んだ時に足が濡れてしまうし……。

うーむ、やはり「備えあれば憂いなし」、少々の雪に対応できる履物を探してみるべし!

……と考えたまではいいのですが、銀座や浅草の履物屋さんは、仕事が終わってからでは間に合いません。
かといって、会社の周辺には若い人向けのおしゃれな「靴屋さん」はあれど、「履物屋さん」なんて粋なものは見当たりません。
さてどうしたものか……。

そこでふと思いついたのが「麻布十番商店街」です。
麻布十番は、繁華街六本木の近くにありながら、老舗や地域密着型のお店が並ぶ商店街があって何となく落ち着ける雰囲気の街です。
商店街なら、きっと履物屋さんの一軒くらいあるはず!

ランチを食べながら、さっそくケンサク、検索。
ちゃんと、麻布十番商店街のホームページがありました。
しかも、なかなかしっかりと作られているホームページです。見やすいし、情報も探しやすいし、きれい。
さっそく履物屋さんを探してみたら……ありました!「だいこくや」さんというお店です。

お昼休みはもうすぐ終わってしまうから行ってこられないし……よし、今日は何としてでも仕事を定時で終えてだいこくやさんへ行くのだ! と決意して、サクサクと仕事。しかし、打ち合わせなどが入ったため、会社を出るのが7時半になってしまいました。
急げば10分ちょっとで麻布十番商店街に着けるはず、お店は8時までだから、道に迷わなければ間に合うはず!
会社を出て、とにかく走る、走る、走る……。
途中、イルミネーション輝く「けやき坂」を転がるように駆け下りていたら、若いカップルからけげんそうに見られましたが、なりふりかまっちゃいられません。
それもこれも、みんな着物のためや!(←「浪花恋しぐれ」風)

やはり気合いの入り方が違ったのか、方向音痴の私が、夜目にもかかわらず迷うことなく麻布十番商店街へたどり着きました。
夏に「麻布十番納涼まつり」へ行っておいて本当によかったです……。
「豆源」さんで揚げおかきを買ったついでに、だいこくやさんの場所を聞きました(本当はそれが主目的……)。
豆源さんから目と鼻の先だったので、すぐにたどり着きました。よかった、まだ開いてる……。

さっそくお店に飛び込んで、「雨用草履で、雪にも使えるもの」を尋ねてみました。
すると、ありました!

雨雪用草履

雨草履と同様、ビニールのつま先カバーがついていますが、普通の雨草履と違う点は、草履の底です。
真ん中の部分が少しくびれた右近下駄のような形になっていて、底面には滑り止めのゴムが貼ってあります。つま先に比べてかかとの部分が高くなっています。

時雨下駄(雨用の下駄)とどちらにしようか迷ったのですが、履いてみるとやはり下駄よりもずっと安定感があったので、こちらにしました。

これで、雪でも槍でもかかってこい! という感じです(笑)。
襦袢の裾は残して着物の裾をまくり、帯の上部に着物クリップでとめます。
その上から道行コート(寒いのでベルベットのコート)を着て、さらに上から雨コートを着ます。
衿も、ショールなどでガード。
足元は、まず足袋の上に「足袋カバー」を履きます。そしてこの雨雪用草履で完全武装。
普通の草履を持っていき、劇場に着いたら履き替えます。
足袋も、濡れてしまった時のために替えを持っていきます。
雨や雪の日は、荷物が多くなって面倒だけれど、やはり「備えあれば憂いなし」です。

だいこくやさんのおかげで、明日は心おきなく着物で出かけられます。
応対してくださったおかみさんもとても気さくな感じで、気持ちよく買い物ができました。やっぱり商店街っていいなあ……。

それにしても、麻布十番商店街までダッシュしたら、その後しばらく足がガクガクしていました……。寄る年波には勝てない……。

そういえば、明日は大学入試センター試験が行われる日なのだとか。
受験生のみなさん、お家を早めに出て、気を付けて試験会場へ行ってくださいね。サクラサク! 健闘を祈ります!