横浜にぎわい座での「上方落語会」が終わると、東京・千駄ヶ谷の国立能楽堂へ移動。
茂山(しげやま)一門による狂言の会「納涼茂山狂言祭」が行われたのだ。
茂山一門は、京都の狂言の家で、流派は「大蔵(おおくら)流」。
狂言には和泉流、大蔵流という大きな二つの流派があるが、流派が同じでも、家によって芸風は少し異なる。
茂山家では、「お豆腐狂言」という言葉を家訓にしてきたという。
京都では、湯豆腐をはじめとして、お豆腐が身近な献立として使われる。しかもお豆腐は、料理の仕方しだいで、様々に変化する。
狂言も、お客さんの身近なところで、その時々のニーズにあわせて柔軟に変化していかなければいけないというのが、「お豆腐狂言」の意味するところだそうだ。
その家訓を体現してか、茂山家の狂言は、とても大らかな芸風だ。大らかだが、決して雑ではない。型を丁寧にやることはもちろんだが、そのうえで、型を追うだけではない「何か」が見える。
茂山一門には、人間国宝の茂山千作さんを筆頭に多くのメンバーがそろっているが、一族がいつも仲良く集まって、楽しそうに狂言をやっている。その雰囲気が、私はとても好きだ。
最近では、茂山一門の東京公演も盛んに行われており、東京でのファン、若い人のファンも増えたようだ。
今日、何年かぶりに能楽堂へ行ったのだが、若い女性が圧倒的に多かったので驚いた。
私も学生のころ、能を習っていたので能楽堂へちょくちょく行っていたが、そのころは若い人は本当に少なかった……。
最近は、歌舞伎や落語のブームが波及しているのか、能楽堂にも若い人が多く集まっているようで、とても喜ばしいことだと思う。
それはいいのだが……、一つ気になったのは、客席に、ある種の「内輪うけ」的な雰囲気が見られたこと。
おそらく、「狂言が好き」というよりも、「茂山一門が好き」という人が多かったのだろう。それはそれで、もちろん良いことなのだが、「同好会・同人誌的なノリ」になってしまうのは、演者にとっても観客にとっても、そして、何となく興味をもって初めて観に来てくれた「ファン予備軍」にとっても、あまり良いことではない気がする。
狂言の世界だけに当てはまることではないと思うが、ブームに流されることなく、いや、ブームの今だからこそ、しっかりと地に足をつけて歩んでいくことが肝要なのだろう。
ともあれ、ベテラン勢と若手が力を合わせてがんばっている、茂山一門ならではの良い舞台だったと思う。
茂山一門の将来を担う若い人たちの今後の活躍にも、大いに期待したい。
<本日のキモノ>
横浜の寄席から東京の国立能楽堂へ大移動しなければならなかったので、動きやすくてそれなりにきちんと見えるよう、7月24日、7月30日と同じ「小千谷縮」にしました。
ただし帯は、先日とは変えて、麻の名古屋帯にしました。
![「うさぎの行水」の帯](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/be/960a879138c3863a8bb0fe0012d70a20.jpg)
この帯の柄は、「うさぎの行水」です。
とてもかわいらしい絵柄で、夏物の帯のなかで一番のお気に入りです。
私が買うものなので、当然のことながら高価な物ではなく、インターネットショッピングのバーゲンでの戦利品です。でもとても気に入っています。
このように、お太鼓の部分と帯前だけに柄があるのを「お太鼓柄」というのですが、こういった絵を楽しめるのも、お太鼓柄の帯の魅力の一つです。
![金魚の帯留と唐辛子の根付](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/73/86f732870f23655f2149faa345f175ed.jpg)
帯留は、金魚。根付は青い唐辛子です。
帯留があるので、帯の前の柄は、中心をはずすようにしました。根付も、柄のないほうにつけました。
唐辛子の根付は、中華街で売られていたストラップです。
中国では、唐辛子はその赤い色と辛さから、魔よけとされているそうです。
安かったので、色ちがいのものをいくつか買いました。着物の色にあわせて楽しみたいと思います。
唐辛子のストラップを売っていた中国人の女性が、私がつけていたレンコンの根付を見て「いいですねー。それは何ですか?」と興味を示してくださいました。そこで、「レンコンという野菜なんですが、レンコンは穴があいていて向こうが見えるので、『見通しがよくなる』といって日本では『縁起の良いもの』とされているんです。だから、お正月に食べたりするんですよ」と説明しました。その女性は、興味深そうに聞いていました。こんなふうにちょっとしたところでお互いの国の文化を理解しあえるのは、うれしいことです。
扇子は、浅草の文扇堂で作ってもらったばかりの、縞の扇子です。
![文扇堂の縞の扇子](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/c6/457c66b7c85bd3956888d96071a512fa.jpg)
茂山(しげやま)一門による狂言の会「納涼茂山狂言祭」が行われたのだ。
茂山一門は、京都の狂言の家で、流派は「大蔵(おおくら)流」。
狂言には和泉流、大蔵流という大きな二つの流派があるが、流派が同じでも、家によって芸風は少し異なる。
茂山家では、「お豆腐狂言」という言葉を家訓にしてきたという。
京都では、湯豆腐をはじめとして、お豆腐が身近な献立として使われる。しかもお豆腐は、料理の仕方しだいで、様々に変化する。
狂言も、お客さんの身近なところで、その時々のニーズにあわせて柔軟に変化していかなければいけないというのが、「お豆腐狂言」の意味するところだそうだ。
その家訓を体現してか、茂山家の狂言は、とても大らかな芸風だ。大らかだが、決して雑ではない。型を丁寧にやることはもちろんだが、そのうえで、型を追うだけではない「何か」が見える。
茂山一門には、人間国宝の茂山千作さんを筆頭に多くのメンバーがそろっているが、一族がいつも仲良く集まって、楽しそうに狂言をやっている。その雰囲気が、私はとても好きだ。
最近では、茂山一門の東京公演も盛んに行われており、東京でのファン、若い人のファンも増えたようだ。
今日、何年かぶりに能楽堂へ行ったのだが、若い女性が圧倒的に多かったので驚いた。
私も学生のころ、能を習っていたので能楽堂へちょくちょく行っていたが、そのころは若い人は本当に少なかった……。
最近は、歌舞伎や落語のブームが波及しているのか、能楽堂にも若い人が多く集まっているようで、とても喜ばしいことだと思う。
それはいいのだが……、一つ気になったのは、客席に、ある種の「内輪うけ」的な雰囲気が見られたこと。
おそらく、「狂言が好き」というよりも、「茂山一門が好き」という人が多かったのだろう。それはそれで、もちろん良いことなのだが、「同好会・同人誌的なノリ」になってしまうのは、演者にとっても観客にとっても、そして、何となく興味をもって初めて観に来てくれた「ファン予備軍」にとっても、あまり良いことではない気がする。
狂言の世界だけに当てはまることではないと思うが、ブームに流されることなく、いや、ブームの今だからこそ、しっかりと地に足をつけて歩んでいくことが肝要なのだろう。
ともあれ、ベテラン勢と若手が力を合わせてがんばっている、茂山一門ならではの良い舞台だったと思う。
茂山一門の将来を担う若い人たちの今後の活躍にも、大いに期待したい。
<本日のキモノ>
横浜の寄席から東京の国立能楽堂へ大移動しなければならなかったので、動きやすくてそれなりにきちんと見えるよう、7月24日、7月30日と同じ「小千谷縮」にしました。
ただし帯は、先日とは変えて、麻の名古屋帯にしました。
![「うさぎの行水」の帯](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/be/960a879138c3863a8bb0fe0012d70a20.jpg)
この帯の柄は、「うさぎの行水」です。
とてもかわいらしい絵柄で、夏物の帯のなかで一番のお気に入りです。
私が買うものなので、当然のことながら高価な物ではなく、インターネットショッピングのバーゲンでの戦利品です。でもとても気に入っています。
このように、お太鼓の部分と帯前だけに柄があるのを「お太鼓柄」というのですが、こういった絵を楽しめるのも、お太鼓柄の帯の魅力の一つです。
![金魚の帯留と唐辛子の根付](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/73/86f732870f23655f2149faa345f175ed.jpg)
帯留は、金魚。根付は青い唐辛子です。
帯留があるので、帯の前の柄は、中心をはずすようにしました。根付も、柄のないほうにつけました。
唐辛子の根付は、中華街で売られていたストラップです。
中国では、唐辛子はその赤い色と辛さから、魔よけとされているそうです。
安かったので、色ちがいのものをいくつか買いました。着物の色にあわせて楽しみたいと思います。
唐辛子のストラップを売っていた中国人の女性が、私がつけていたレンコンの根付を見て「いいですねー。それは何ですか?」と興味を示してくださいました。そこで、「レンコンという野菜なんですが、レンコンは穴があいていて向こうが見えるので、『見通しがよくなる』といって日本では『縁起の良いもの』とされているんです。だから、お正月に食べたりするんですよ」と説明しました。その女性は、興味深そうに聞いていました。こんなふうにちょっとしたところでお互いの国の文化を理解しあえるのは、うれしいことです。
扇子は、浅草の文扇堂で作ってもらったばかりの、縞の扇子です。
![文扇堂の縞の扇子](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/c6/457c66b7c85bd3956888d96071a512fa.jpg)