ビジネスモデル
この領域の先駆者として有名なのは、「塚田農場」を運営するエー・ピーカンパニーだろう。宮崎県の日南市や日向市、鹿児島県の霧島市に自社養鶏場と契約農家を確保して、生産者からじかに仕入れることで、従来7000円前後の客単価が普通だった高品質の地鶏専門店を客単価3800円で成立させるようにした。
ところが、北海道八雲町のビジネスモデルは、同じ客単価3800円でありながら、地産の選りすぐりの食材の供給システムが、わずか3店舗という小規模運営で成立しているところが面白い。今回は、この「ご当地酒場北海道八雲町」のビジネスモデル
「自治体公認の居酒屋になる」というビジネスモデルだった。
公認とは、ここで、自治体の公認が生きてくる。役場の職員から、「これは八雲町のPRのためだから、例外的に対応してくれないか。また、八雲町の農産物がおいしいことを東京の人に知ってもらうことが目的だから、おいしいところを売ってくれないか」とお願いしてもらうことができるのである。
役場の職員のサポートはそれだけではない。地元漁協や農協も、ご当地酒場北海道八雲町を地元のPRのために支援してくれている。
八雲町は全国でも珍しい、太平洋と日本海両方に海岸線を持つ町だが、太平洋側に2つ、日本海側に1つの漁協が、ご当地酒場のための小口仕入れを支援してくれている。
具体的には、漁協のスタッフがfun functionの代理として競りに参加して、小口の注文分を競り落としてくれる。代わりにfun functionでは、それらの注文を10円でも高く買い付けることで、地元への還元をしっかりと行っているそうだ。また、農協が保有するご当地品種ブランドのメニューへの利用も許可してもらっているという。
、「鶏肉をやりたい」と合掌社長は考えた。そこで、全国から40種類以上の鶏肉を取り寄せて、佐賀県三瀬村のふもと赤鶏にたどり着いたそうだ。
北海道東の厚岸のカキや、青森県むつ市の大間のマグロについても同様である。
効率の中に1つ非効率を入れることが、顧客を惹きつけるフックになる。うちの場合は、仕入れを非効率にすることがフックになっている。