うたた寝映画日記

米子ではたらく税理士の個人的映画論

『マルサの女』(伊丹十三監督作品)

2007年03月28日 21時34分12秒 | 映画論
数年ぶりに『マルサの女』を観る。最後に観たのは私が税理士になる前。今こうして税務知識を踏まえた上で観直すと、伊丹監督の取材・調査の徹底さに驚かされる。
食料品店を営む老夫婦に「毎月どれくらいお店の食料品を自分たちで食べていますか?」という調査官の問いに、
「月8万円くらいかな」と正直に答える老夫婦。
すると
「お宅は法人にされたから、毎月8万円の1年分で96万円の売上の計上漏れと代金は社長さんへの売掛金にしといてね」と調査官。
「自分の店の商品を食べて何が悪い。何で税金とられんねん」と納得いかない社長。
いわゆる自家消費。税務上は売上計上が当たり前でも、一般常識からいえば摩訶不思議な細かいネタです。伊丹監督も疑問に思ったから取り上げたのでしょう。
徹底した取材をもとに社会風刺を織り交ぜながら極上の娯楽作に仕上げる伊丹監督の手腕は、さすが。今それができるのは「それでもぼくはやってない」の周防監督ぐらいか!?