まど

細く開いた窓を覗いてみると、そこにはNikonD70Sを前に困惑している女がひとり・・・

高崎で文化の風に当たる。  「アントニン&ノエミ・レーモンド展」

2008-04-11 23:42:53 | Weblog

高崎市美術館に「アントニン&ノエミ・レーモンド展 建築と暮らしの手作りモダン」を見に行ってきました。

この展覧会は、昨年神奈川県立近代美術館(鎌倉)でやっていたのですが、見そこなっていたのです。
次は高崎に巡回するからいざとなったら高崎で、とのんびり構えていたら本当に見そこなった・・・。
それにしても、なんで高崎?と訝しく思っていましたが、実はレーモンドは高崎に深い関係がありました。

「あの」高崎白衣観音を建立された高崎の実業家井上保三郎翁のご子息で、高崎の文化のパトロンとも呼ぶべき井上房一郎氏が群馬音楽センターの建設に関わっており、レーモンドに設計を依頼したのです。

今回、「アントニン&ノエミ・レーモンド展」高崎市美術館が第一会場、井上氏がレーモンドの笄町の自宅兼事務所を非常に気に入り、それをコピー・反転したものを高崎に建ててもらい、自宅とした「井上邸」(現高崎哲学堂)が第二会場、そして群馬音楽センターが第三会場となっています。
(群馬音楽センターは今回4月15日以降の公開、ただし通常のコンサート等で見ることが出来る)
うーん、こりゃ~、鎌倉を見逃して正解だったぞ?
長い人生、見逃して正解、ということが何回かあるものです。(あるか?)


さて、展覧会のほうですが、もともとレーモンド好きな私は大満足しました。
まず、霊南坂の自宅の模型に感激。
この敷地内はこれでひとつの宇宙です。この建物を含む空間そのものが美しい。
さらに、私の中ではレーモンドは直線の建築家というイメージがあったのですが、アールの使い方のうまいこと!
レーモンドという人は立体の感覚の優れた人だったのだなあ、と思います。

霊南坂の自邸   
写真でも雰囲気わかりますが、改めて模型の力って大きいと感じました。


 

さらに、リーダーズダイジェスト東京支社。
「あっ、これがリーダイか!・・・・・これが、リーダイだったのか・・・・。」(絶句。)
と思わず声が出た。でも、大丈夫。その部屋にいたのはうちのジイサンと娘だけですから。
リーダーズダイジェスト東京支社。以前、この建物を壊し、その後に建ったパレスサイドビルの事を調べたとき、その名前を知りました。
パレスサイドビルの設計担当だった林昌二さんは、名建築の誉れ高いリーダイビルを壊して建てるのだから・・、と相当プレッシャーがあったといいます。

そうか。そうだろうな。プレッシャーかかるわな、これじゃ。
パレスサイドビルも名建築で、大変好きな建物ですが、どっちが好きかと聞かれたら、私は・・・・・もうリーダイの虜よっ。移り気でごめんなさいよーん。
いま亡きものを「こんなに良かったんだよ」と言うのは、なんだか「昔は良かった」と言うのと通じるところがあって、ジジ臭さを感じないでもないのですが、剛速球でストライク!!なので仕方ありません。

で、どこがどう良いのか?プロの方ならきっちり説明出来るのでしょうが、所詮私は建築家の卵(しかもこれから勉強が続くかどうかもわからん)を産んだだけの母鶏、
ケッコウケッコウしか言えない。情けない。
無理やり感想を述べるとすれば・・・・、ものすごくレベルの高いゴシック体のロゴと同じ。・・・ますますわかんないか。

学校の先生が、ゴシックでインパクトのあるロゴが出来ればそれは最強のロゴだ、と言いました。
言われてみれば、National、HITACHI、SONY、Microsoft、TOYOTA、そうだ、忘れてはいけない、Nikon、みんな有名どころはゴシックです。
で、遠くから見てもすぐわかる、どんなロゴか、真似してそらで描ける。
どこがどう良いのか判らないけど、実にインパクトがある。
リーダイビルもそうです。(正しくは、私にとって、ですが)

永遠の基本形。装飾的でないのに強いインパクト、そして美しい。
あー、いいもん見た。
でも、これを肉眼見た人がいるんですね。
もっと言えば、ここで働いていた人たちがいるわけで。
うらやましいなあ。遅れて来たことが残念です。

んー、ちょっと興奮気味ですね。ちょっと頭を冷やして次は第二会場へ。



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2 コメント

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Unknown (carrot)
2008-06-11 15:33:55
遅レスすいません。
私もこの建築は素晴らしいと思います。
正面の開放性と妻面のソリッドな壁面の
バランスや水平線を強調した伸びやかなライン
など絶品だと思います。この辺りは
FLライトも水平線を大事にしてて欧米人
特有のものなのかなーー?
またこの時代の建築としては凄く軽い
地面から浮遊したかのような階段や床面の処理
は筆舌に尽くしがたいと思う。
まーレーモンド氏は舎弟の坂倉順三、前川國男など
建築界の巨匠を生み出した訳だから
その作品が凄くない訳がない筈だよ。
でもこの御人、東京大空襲に当たり東京の都市としての情報提供や作戦に関与したと言われていて
パレスサイド設計の林氏もこの辺りは芳しく
思ってないようだな。
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ひとつの建物でこんなにもたくさんの味わいがあるとは。 (うしろの正面)
2008-06-14 14:19:07
carrotさん、コメントありがとうございます。
お返事遅くなりまして、申し訳ありません。

私は建築の専門的なことはトンチンカンなので、立体として美しいか、否か、で感じ取るしかありません。
そしてその立体が、建築物なら尚一層良いわけで・・・。
リーダイビル、良いですよね。
おっしゃるように、この建物の開放感、軽さは日本人のものではないように感じます。
日本人と外国の人とでは自然(大気?)との関わり方が違うのでしょうか。
なんだかそんなことを考えて楽しんだりしています。

レーモンドの太平洋戦争に関してのかかわりについては残念に思っています。
アメリカにとっても「元外人」だった彼はそうすることで立場を保ったのだとしても。
なるほど、林さんの「リーダイに負けないものを作る」という気持ちの一部にはそういうものも含まれていたのですね。
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