今日の夕方前、不思議な体験をしました。
お隣に配りものをするために道を歩いていると、周囲の林からメリ、ミシという音とともにパラパラと小枝が落ちてくる。
林の中の雪もなくなってきたので、誰かが山に入ってるのかと気にもしなかったのですが、それが比較的広い範囲なので不思議に思い、目を凝らしても人影は見えない。おかしいな、動物かな、こちらは徒歩なのでイノシシなら出くわすとまずいな、シカだって最近は恐ろしい。
22日の夕方前、連れ合いを迎えにJR駅に向かっている途中、シカが横切るので止めた私のクルマの前を、次から次へと5頭6頭7頭と悠然と横切るほど大胆になっている。など思いながらお隣に通じる道まで来た。そう、昨日の写真を撮った場所。背中が林になります。
ここも同じような音がして小枝が落ちてくる。
この周りは開けていて木立は全体が見えるので正体を突き止めようとしたけれど見えない。リスかな…でも見えない。
で、しばらく見つめていると、動物も風もないのに木が揺れだし、揺れたかと思うと上の方でメリ、ミシと音がするとバラバラと小枝が落ちてくる。
そうか、木々たちが、長くて寒い冬から目が覚めて伸びをしているのだ。寒さで枯れてしまった小枝を振り払っているのだ。
そうだ、木も身震いするのだ。
ファンタジーのようだけれどそう思うようにしました。
さて、前置きが長くなってしまいましたが今日の本題。
1カ月以上も前の話になって恐縮なのですが、おコメすべて売り切りました。
この2月早々、ご近所の分を取りまとめて下さっている方から注文があり、前回送ったおコメの味と値段が好評だったためリピートが多く、結局希望の量に対し「満額回答」できませんでした。
でも折角だからということでできる限りご希望に応えるべく、耕作者本人であるマサカズさんのこの秋までの自家消費分と、私宅用2か月分も吐き出したのですが、それでも足りませんでした。
で結局マサカズさんは、当地区内にある国内でも有数の種もみ生産地域のコメ専業農家から買うことになりました(マサカズさん曰く。「やっぱりウチのコメの方がうまい!」)
一方の私は同じムラのシズオさんに、売ってくれるコメがあるかどうか聞いたのですが、残念ながら今年は全部売ってしまったので無い、ということでした。
私には考えがあります。つまり、
農家は無理せず身の丈に合った量を生産し、売れる分を売る。消費者は希望する量全量を求めたいという気持ちは分からなくはないが、足らない分は近所の小売店で買ってもらう。
理由は
生産者の立場からは、無理をすると必ず無理・無駄が生じて、使わなくても良い肥料や農薬、追い詰められれば生産地偽装という最悪の道に踏み入れる可能性もあるし、あるいは生産物に余剰が出た場合、それを一手に引き受けなければならないリスクをも持っている。
売らんがために、あるいは求めに100%こたえんがために、結局、双方の信頼が損なわれてしまう、ということはあってはならない。
これは、今の流通-小売業界の姿を見ていると、そう思いたくなる。
現状をみれば、泣くのはいつも農家、(語弊を恐れずに言うと)ワリを食っているのは消費者、どう転んでも儲かるのは流通業者。「商売とは三方両得の世界」から離れてしまっています。
消費者は、確保の手段は多様な道を持っておくことと、生産者との繋がりを作っておくことが必要だと思うのです。
日本の平均的農家はカロリーベースでは23人を養うことができると、どこかで読んだ記憶があります(中山間地のわがムラでは無理ですが)。食べ物を確保できるところは信頼できる所…こんな安心感は他にありましょうや。
もう一つ。
お金はできるだけ狭い範囲で回したい。
つまり私がコメをスーパーで買うなら、同じムラの人から買う。
大工仕事を頼みたいなら、都会の建築会社に頼むより近くの大工さんにお願いする。
100円がA-B-C-D…に回るより、A-Bで完結、というように。
こんな考えから、シズオさんに声をかけたり、直販に力を入れたいという訳です。コメをはじめとして野菜、納豆などの加工品もそうなればいいのですが。
今回の経験から、これからの課題も見えてきました。
1.せめてもう少しコメの量を確保したい。
2.輸送料。これは高い! なんとか安く送れる方法を考えなくては。
3.コメ以外の他の農産物、加工品でもいいが都会の人が求める何かを作りたい。
4.まとめ役の人の負担軽減。
きっとまだあるでしょうね。
でもね、嬉しいことがあるんですよ。
買ってくださった人たちが、コメのできる環境や田圃を見たい、作っている人と会って話をしたい、と希望しているそうです。もちろん私もマサカズさんもOK。こういう交流はホントにいいですね。
もし来てもらったら、まず寝るところは我が家でもいいし、公民館でもいい。夏でもひんやりした朝、これは喜ぶはず。
ごちそうは、シシ鍋やシシ焼肉がいいかな。
またまた「妄想」が膨らみます。
最後に一言。
「今だからこそ、あなたも信頼できる農家と繋がりを持ったらどうですか」