信州山里だより

大阪弁しか話せないの信州人10年目。限界集落から発信している「山里からのたより」です。

『Y区臨時総会』 こんなことを決めました②

2012年02月21日 23時06分22秒 | Weblog
2012年02月21日(火) 記

今日の昼間は暖かかったですね。実はここ信州の山里ではこれから一番危険な時期になってきました。
というのは、最低気温はいまだ氷点下6℃、7℃となるので、暖かい昼間にとけた雪が凍って道路はまさにアイスリンク状態。で、ちょっと油断するとツルッです。今日は危険と思われるところに塩化カルシウムを撒いてきました。

撒くとすぐ音が鳴ります。シヤーッとかピシピシとか。これは雪や氷が解けていく音です。これも冬の終わりの季節の音といえます。


さて前置きはこれくらいにして、今回は3号議案の「道普請の出不足金徴収に区の草刈りも加えるについて」です。

「道普請」とは、道を直す作業のこと。年に2回、春先と秋にあります。特に春先は重要で雪国は冬を過ごすと道が傷んでいるのでその修理だったり、雪で道に覆いかぶさっている竹や樹木の伐採などします。
「草刈り」は文字通り草刈り。夏のはじめとお盆前の2回あって、これは欠席しても出不足金は取られない。

これを「平成23年度 Y区基本方針」では、

3.出不足金について
 (1)道普請一日4,000円(女世帯3,000円)。半日作業は半額とする。
 (2)区有林作業も道普請と同額とする。
 (3)区有林作業免除世帯  4月1日現在 男性75歳以上、女性70歳以上の世帯
 (4)世帯主が入院・病弱等の場合は、各組長と区・植林委員会が協議し決定する。

とあります。

これを修正案として

3.出不足金について
 (1)区(の)道普請および草刈りは、一日4,000円(女世帯3,000円)。半日作業は半額とする。
代替者に対しては、差額を徴収しない。世帯で1人出動。
 (2)区有林作業も(1)と同額とする。
 (3)区有林作業免除者は、 4月1日現在 男性75歳以上、女性70歳以上の人、その他免除者は、各組長と区・植林委員会が協議し決定する。

が提案されました。

さて、ここでまたさまざまな意見が出ました。
「当日所要のため出席できず、その代り前日草刈りした場合はどうするのか、誰が確認するのか」
「なんでもカネというのはどうか。草刈りは本来ボランティア作業。それを欠席だからカネをとる、というのは反対。今まで通りでよい」
「いや、出ない人は決まってる。人が少ないのに出た人ばかりに負担がかかっている。今ウチの組では午前中では終わらない。毎回刈残しがある」
「そう。組担当の範囲、人が減ってアンバランスが大きくなっている」
「組担当から、ここからあそこまで何人、あそこからあの地点まで何人と、その都度人の配置を考えたらどうか」などなど。
出てくる意見はそれぞれ今抱えている問題そのものでした。

特に出不足金を取る、という点については数人の方から反対意見があがりました。
「ボランティア」作業から「強制力を持つ」作業へと変化していくことへの違和感、反発ということでしょう。

こうした問題が起こってきた背景には、やはり高齢化と人口減が最大の理由です。ここでは人口減もさることながら75歳以上になるのが急ピッチなので、当然作業に出てくる人が急速に減ってきています。
60代がまだ多くいた時には、出席した人への負担はそれほどでもなく何の不満も非難も問題も起きることはなかった。したがって23年度方針(3)の「……の世帯」という文字が残り続けていた。(修正案では「……の世帯」から「……の人」に変更される)

採決で、議長が「賛成14 委任状28で案の通り決まりました」というと「それで決まったのか」という不満の声もあがったけれど、24年度から実施ということになりました。確かに賛成者は少なく、委任状を出している人の多くは高齢の方が多いので、出席者がもう少し多ければ結果は逆になっていたかもしれません。


このお便りでは前々回と今回とも、総会の様子をできるだけありのままに書きました。言ってみれば一つのことを決めるのに時間もかかれば、半順番制である区の役員さんへ風が当たる時もある。今回の役員さんは本当にご苦労さまでした。

さてさて、こんな様子からあなたは「田舎とは難しいところだ」と思いますか、それとも「田舎にこそ民主主義が息づいている」と感じましたか。あるいはまた、別の見方をされますか。
少なくともこのY区には「ボス的」存在はいない、というのが私の感想です。



この総会があってすぐ、こんな本が新聞広告に載っていました。

『限界集落株式会社』(黒野伸一 著)
ルールは変わった。新しい公共がここに!
「限界集落」、「市町村合併」、「食糧危機」、「ワーキングプア」、「格差社会」などなど日本に山積する様々な問題を一掃する、前代未聞! 逆転満塁ホームランの地域活性エンタテインメント!!
起業のためにIT企業を辞めた多岐川優が、人生の休息で訪れた故郷は、限界集落と言われる過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難な土地だった。優は、村の人たちと交流するうちに、集落の農業経営を担うことになる。現代の農業や地方集落が抱える様々な課題、抵抗勢力と格闘し、限界集落を再生しようとするのだが……。
ルールは変わった!
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私、2週間ほど前に買ったリンゴの剪定の本、まだ読んでいない!